強制適用事業所は次に該当する事業所になります。
- 法定16種の事業所で、常時5人以上の従業員を使用している
- 国、地方公共団体、、法人の事業所で、常時従業員を使用している
- 船員法1条に規定する船員として、船舶所有者に使用される者が乗る船舶
です。
ちなみに、健康保険法では、船員保険法が別にあるので、船舶は強制適用事業所から外されています。
他の要件については、法定16種も含めて同じです。
法人や船舶はそのまま押さえるとしても法定16種を覚えるのは大変です。
なので、法定16種「以外」の業種を押さえた方が早いです。
法定16種以外の業種は以下のとおりです。
- 農林水産畜産業
- サービス業(旅館、理容業、料理店、飲食店など)
- 法務業(弁護士、弁理士、税理士、社会保険労務士など)
- 宗教業(寺院、神社、教会など)
ですので、適用事業についての問題にあたったときは、16種類以外の業種が強制適用業種になる、という考え方で解いていくようにしましょう。
では過去問でチェックしましょう。
学習塾は強制適用事業所?
(平成28年問1オ)
常時5人の従業員を使用する、個人経営の学習塾の事業の事業主は、適用事業所とするためには任意適用事業所の認可を受けなければならない。
解説
解答:誤
問題文の学習塾のの事業主は、その事業所を適用事業所とするために任意適用事業所の認可を受ける必要はありません。
まず、学習塾は、法定16種「以外」のどの業種にも当てはまらないので、適用業種に該当します。
なので、常時5人以上の従業員を使用する場合は、強制適用事業所となるので、任意適用事業所の認可を受けるに及びません。
では、次の問題も見てみましょう。
理容業はサービス業なので、、、?
(平成28年問1ウ)
常時5人の従業員を使用する、個人経営の理容業の事業主は、適用事業所とするためには任意適用事業所の認可を受けなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、個人経営の理容業は、その事業所を適用事業所とするためには任意適用事業所の認可を受けなければなりません。
個人経営の理容業は、法定16種「以外」の業種に該当するので、使用する従業員の数に関係なく、強制適用事業所になりません。
したがって、適用事業所とするためには、任意適用事業所の認可を受ける必要があります。
では、ダメ押しの問題で締めましょう。
個人経営の社労士事務所は法定16種???
(平成29年問4D)
常時従業員5人(いずれも70歳未満とする。)を使用する個人経営の社会保険労務士事務所の事業主が、適用事業所の認可を受けようとするときは、当該従業員のうち3人以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。なお、本問の事業所には、厚生年金保険法第12条各号のいずれかに該当し、適用除外となる者又は特定4分の3未満短時間労働者に該当する者はいないものとする。
解説
解答:正
問題文のとおりで、個人経営の社会保険労務士事務所は、法定16種「以外」なので、適用事業所の認可を受けようとするときは、
当該従業員のうち3人以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければなりません。
任意適用事業所の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければなりません。
問題文の事業所の場合、常時使用する従業員が5人なので、3人以上の同意があれば任意適用事業所の認可申請を出すことができます。
では、任意適用事業所をやめたいときの規定も確認しておきましょう。
任意適用事業所をやめたいときの同意の規定は?
(平成30年問5A)
任意適用事業所を適用事業所でなくするための認可を受けようとするときは、当該事業所に使用される者の3分の2以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請することとされている。なお、当該事業所には厚生年金保険法第12条各号のいずれかに該当し、適用除外となる者又は特定4分の3未満短時間労働者に該当する者はいないものとする。
解説
解答:誤
「3分の2以上の同意」ではなく、「4分の3以上の同意」となります。
任意適用事業所の取消の認可を受けようとするときは、事業主は、事業所に使用される者の4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければなりません。
今回のポイント
適用事業所かどうか判断するために、法定16種以外の業種を覚えましょう。
法定16種以外の業種は以下のとおりです。
- 農林水産畜産業
- サービス業(旅館、理容業、料理店、飲食店など)
- 法務業(弁護士、弁理士、税理士、公認会計士、社会保険労務士など)
- 宗教業(寺院、神社、教会など)
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