過去問

「労災保険法 5分で分かる!特別加入についての論点」過去問・労災-38

特別加入といえば、中小事業主一人親方海外派遣者が加入するものですよね。

加入するためにはどんな要件が必要なのか、一般の労災保険との違いなどが社労士試験で出題されています。

難しいのは一人親方についての論点ですが、あまり深入りせず、過去問やテキストに書かれていることをまず押さえていくようにしましょう。

それでは最初の問題ですが、中小事業主の特別加入についての定義についての過去問です。

そもそも中業事業主はどうすれば特別加入できるのでしょうか。

 

中小事業主が特別加入するには?

(平成29年問7C)

最高裁判所の判例においては、労災保険法第34条第1項が定める中小事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を労働者とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である旨解説している。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

中小事業主特別加入するには、まず労働者がいてその労働者に対して労災保険が成立していることが前提になります。

その上で、中小事業主や代表者も労働者と同じ仕事をしている労働者としてみなすことで労災保険を適用しようしているのです。

また、中小事業主が特別加入するには、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している必要がありますのでセットで抑えておきたいですね。

次は業種別の特別加入の加入要件についての論点ですが、こちらは主に数字がメインになっていますので確実に押さえていくようにしましょう。

 

特別加入できる業種と労働者数の関係とは

(平成22年問4)

労災保険法第4章の2は、中小事業主及び一人親方等労働者に当たらない者であっても一定の者については、申請に対し政府の承認があったときは、 労災保険に特別に加入できるとしている。次の者のうち、特別加入を認められる者として正しいものはどれか。

問A

常時100人の労働者を使用する小売業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者は、申請に対し政府の承認があったときは、労災保険に特別加入できる。

解説

解答:誤

問題文の場合は特別加入できません。小売業は、常時50人以下の労働者を使用する事業主が対象になっています。

 

問B

常時100人の労働者を使用するサービス業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者は、申請に対し政府の承認があったときは、労災保険に特別加入できる。

 

解説

解答:正

問題文のケースでは特別加入できます。サービス業は、常時100人以下の労働者を使用していることが要件です。

 

問C

常時100人の労働者を使用する不動産業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者は、申請に対し政府の承認があったときは、労災保険に特別加入できる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合では特別加入できません。不動産業については、常時50人以下の労働者を使用する事業主であることが必要です。

 

問D

常時300人の労働者を使用する金融業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者は、申請に対し政府の承認があったときは、労災保険に特別加入できる。

 

解説

解答:誤

この場合は特別加入できません。金融業は、常時50人以下の労働者を使用する事業主が対象です。

 

問E

常時300人の労働者を使用する保険業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者は、申請に対し政府の承認があったときは、労災保険に特別加入できる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は特別加入できません。保険業は、常時50人以下の労働者を使用する事業主が対象です。

つまり、中小事業主が特別加入できるのは、使用している労働者数が

  • 金融業・保険業・不動産業・小売業 → 常時50人以下
  • 卸売業・サービス業 → 常時100人以下
  • その他の事業 → 常時300人以下

ということになります。

さて、次の問題は海外派遣者の特別加入になるのですが、事業主も海外へいく場合はどうなるのでしょうか。

事業主というだけで特別加入できないのでしょうか。。。?

 

事業の代表者が海外で事業するとき、特別加入できる?

(平成24年問5E)

海外派遣者について、派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業に該当する場合であっても、その事業の代表者は、労災保険の特別加入の対象とならない。

 

解説

解答:誤

派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業であれば、事業の代表者も特別加入の対象になります。

つまり、海外派遣者の場合、労働者として派遣される人だけでなく、代表者も特別加入の対象になります。

ただし、

「厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業」 →  先述の労働者数の要件を満たしている中小事業主

であることが必要です。

次は一人親方の特別加入のお話に移りますが、下の過去問は農業の事業をしている人が論点になっています。

 

農業の事業をしている場合に特別加入するには?

(平成24年問5A)

年間農業生産物総販売額300万円であって経営耕地面積1ヘクタールの農業の事業場における土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽培若しくは採取の作業で、動力により駆動される機械を使用するものに従事する者は、労災保険の特別加入の対象となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

要件は全部で3つあり、それを満たすと特定作業従事者(特定農作業従事者)として特別加入することができます。

1つ目の要件は、

  • 「年間の農業生産物の総販売額300万円以上」または「経営耕地面積2ヘクタール以上」の規模であること

2つ目は、

  • 土地の耕作・開墾や、植物の栽培・採取であったり、家畜や蚕の飼育の作業のいずれかを行う農業者であること(労働者以外の家族従事者も含みます)

最後3つ目の要件は

  • 下の5つのいずれかの作業に従事していること
    1. 動力により駆動される機械を使用する作業
    2. 高さが2メートル以上の箇所における作業
    3. 労働安全衛生法施行令別表第6第7号に掲げる酸素欠乏危険場所における作業
    4. 農薬の散布の作業
    5. 牛、馬又は豚に接触し、又は接触するおそれのある作業

つまり、農作業でもケガや病気になる危険のある作業をする場合に特別加入ができるようですね。

では、次は一人親方と通勤災害についての関係について見ていくことにしましょう。

業種によっては通勤災害が認められないことがありますのでそちらを確認しましょう。

 

個人貨物運送業者に通勤災害は適用される?

(平成26年問7A)

特別加入制度において、個人貨物運送業者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、個人貨物運送業者には通勤災害は適用されません。

これは個人タクシーをしている人もそうなのですが、自宅に仕事で使う車を置いていたり、自宅でなくても近所の駐車場に停めていたりするので、通勤の概念に合わないのでしょうね。

最後にもう1問見ておきましょう。

家内労働者に通勤災害は??

(平成26年問7B)

特別加入制度において、家内労働者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

家内労働者にも通勤災害は適用されません。

ちなみに、家内労働者とは、一般的に自宅を作業場としていて、メーカーなどの委託者から部品などを受け取って製品を作ったりする人のことを指します。

なので、自宅を仕事の場としているわけですから、そもそも通勤がないですね。

 

今回のポイント

  • 中小事業主特別加入するには、まず労働者がいてその労働者に対して労災保険が成立していることが前提になり、その上で、中小事業主や代表者も労働者と同じ仕事をしている労働者としてみなすことで労災保険を適用しようしているのです。

  • 中小事業主が特別加入できるのは、使用している労働者数が
    • 金融業・保険業・不動産業・小売業 → 常時50人以下
    • 卸売業・サービス業 → 常時100人以下
    • その他の事業 → 常時300人以下

    ということになります。

  • 派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業であれば、事業の代表者特別加入の対象になります。
  • 個人貨物運送業者家内労働者には通勤災害は適用されません。

 

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