過去問

「雇用保険法 今さら聞けない給付制限のルールとは」過去問・雇-37

雇用保険法での給付制限については、不正受給時の3倍返しなどがありますが、今回は自己都合退職や職業指導などの拒否にちなんだ給付制限を取り上げてみました。

さまざまなケースで出題されているのでややこしいイメージを持ってしまうかもしれませんが、一つ一つ丁寧に押さえていけば大丈夫ですので見ていきましょう。

最初の問題は「自己都合退職」がテーマになっています。

自己都合退職をすると職業紹介や職業指導を受けることができないのでしょうか。。。

 

自己都合で退職すると職業紹介してもらえない?

(平成28年問5E)

管轄公共職業安定所の長は、正当な理由なく自己の都合によって退職したことで基本手当の支給をしないこととされる受給資格者に対して、職業紹介及び職業指導を行うことはない。

 

解説

解答:誤

正当な理由がなくて自己都合で退職した受給資格者についても職業紹介や職業指導は行われます。

上記の人については基本手当の給付制限はありますが職業紹介などをしないということはありません

ハローワークの職業紹介なんて要らないよ、と自信満々に自己都合退職する人がどれだけいらっしゃるかわかりませんが、その辺りはちゃんと面倒みて欲しいですよね。苦笑

次は公共職業訓練についての過去問ですが、訓練の受講を拒んだらどうなるか、について問われていますので見てみましょう。

 

公共職業訓練の受講を拒んだら、、、?

(平成28年問5D)

公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることを拒んだ受給資格者は、当該公共職業訓練等を受けることを指示された職種が、受給資格者の能力からみて不適当であると認められるときであっても、基本手当の給付制限を受ける。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は基本手当の給付制限は受けません。

基本的には、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることを拒むと、拒んだ日から起算して1か月間は、基本手当が支給されません。

ですが、問題文では「公共職業訓練等を受けることを指示された職種が、受給資格者の能力からみて不適当」となっているわけで、そんな状況で受給資格者が拒むのは当然といえば当然ですよね。

なので問題文のケースでは基本手当の給付制限はありません。

受給資格者が公共職業訓練の受講を拒んでも基本手当が止まらないケースは以下の規定で定められています。

(給付制限)
法32条
1 受給資格者(中略)が、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けること拒んだときは、その拒んだ日から起算して1箇月間は、基本手当を支給しないただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
① 紹介された職業又は公共職業訓練等を受けることを指示された職種が、受給資格者の能力からみて不適当であると認められるとき。
② 就職するため、又は公共職業訓練等を受けるため、現在の住所又は居所を変更することを要する場合において、その変更が困難であると認められるとき。
③ 就職先の賃金が、同一地域における同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。
④ 職業安定法第20条(第2項ただし書を除く。)の規定に該当する事業所に紹介されたとき。
⑤ その他正当な理由があるとき。

さて、次も公共職業訓練と基本手当の問題なのですが、今度は自己都合退職ではなく、自己の責に帰すべき重大な理由で「解雇」されたケースが追加されます。

はたして基本手当はどうなるのでしょうか。

 

自責で解雇されても公共職業訓練を受講したら、、、

(平成26年問7C)

被保険者が自己の責に帰すべき重大な理由によって解雇された場合であっても、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練の受講開始日以後は、他の要件を満たす限り基本手当が支給される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、自己の責に帰すべき重大な理由によって解雇された場合でも、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練の受講開始日以後は、所定の要件を満たせば基本手当が支給されます。

先ほども述べたように自己都合退職の場合や、今回の自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合には待期期間満了後1箇月以上3箇月以内の間は基本手当は支給されません

しかし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等受ける期間公共職業訓練等を受け終わった日後の期間については基本手当が支給されることになっています。

いくら自分の責任で解雇されたとしても職業訓練を受けていれば就職活動ができないわけですから基本手当を支給してもらわないと生活できないですもんね。

しかし、今度は職業指導を「拒んだ」ときにどうなるのかが次の問題になっています。

正当な理由もなく拒否したら基本手当の支給はどうなるのでしょう。。。

 

正当な理由がないのに職業指導を拒否したらどうなる?

(平成25年問6C)

受給資格者が、正当な理由がなく、厚生労働大臣の定める基準に従って公共職業安定所が行うその者の再就職を促進するために必要な職業指導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して1か月を超えない範囲内において公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

受給資格者が、正当な理由がなく職業指導を受けることを拒んだら、その拒んだ日から起算して1箇月を超えない範囲内で基本手当が支給されなくなります。

ポイントは「職業紹介」を拒否した場合は「1か月を超えない範囲内」ですので押さえておくようにしましょうね。

先ほどの公共職業訓練の受講を拒んだときは「1か月」でしたもんね。

それでは最後に、上記の問題で職業指導を拒んだら基本手当が支給されなくなるのはわかりましたが、他の要件を満たせば、技能習得手当はもらえるのか、そんな問題が出ていますのでチェックしましょう。

 

でも技能習得手当はもらえる??

(平成28年問5C)

受給資格者が、正当な理由がなく職業指導を受けることを拒んだことにより基本手当を支給しないこととされている期間であっても、他の要件を満たす限り、技能習得手当が支給される。

 

解説

解答:誤

正当な理由がなく職業指導を受けることを拒んで基本手当が支給されないときは技能習得手当も支給されません。

これは寄宿手当についても同様で、

職業指導だけでなく

  • 公共職業訓練の受講を拒否した時
  • 自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇された時
  • 正当な理由がなく自己の都合によつて退職した時

は、基本手当だけでなく技能習得手当や寄宿手当も支給されなくなります。

 

今回のポイント

  • 正当な理由がなくて自己都合で退職した受給資格者についても職業紹介や職業指導は行われます。
  • 基本的には、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることを拒むと、拒んだ日から起算して1か月間は、基本手当が支給されませんが、受給資格者の能力からみて不適当な場合はその限りではありません。
  • 自己の責に帰すべき重大な理由によって解雇された場合でも、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練の受講開始日以後は、所定の要件を満たせば基本手当が支給されます。
  • 受給資格者が、正当な理由がなく職業指導を受けることを拒んだら、その拒んだ日から起算して1箇月を超えない範囲内で基本手当が支給されなくなります。
  • 正当な理由がなく職業指導を受けることを拒んで基本手当が支給されないときは技能習得手当寄宿手当支給されません

 

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