過去問

「健康保険法 被扶養者についての要件ガイド」過去問・健保-29

〜「健康保険法 被扶養者についての要件ガイド」健保-29〜

健康保険で被扶養者になるためには、いろいろな要件があります。

令和2年度の法改正でも、国内居住用件が追加になりました。

被保険者一人の保険料だけで被扶養者も健康保険が使えるのですから、要件が厳しくなるのも当然かもしれませんね。

社労士試験でもいろいろな角度から出題されていますので、重要事項と言えるでしょう。

では最初に、被扶養者に入れる被保険者についての過去問から見ていくことにしましょう。

 

共働き夫婦のどっちの健康保険の被扶養者になるべき?

(平成29年問6C)

共に全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者である夫婦が共同して扶養している者に係る被扶養者の認定においては、被扶養者とすべき者の人数にかかわらず、年間収入の多い方の被扶養者とすることを原則とするが、夫婦双方の年間収入が同程度である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とすることができる。

 

解説

解答:生

問題文のとおり、夫婦双方の年間収入が同程度の場合は、「主として生計を維持する者」の被扶養者とすることができます。

これは通達からの出題ですが、そこにも、

「夫婦双方の年間収入が同程度である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とすること。」

となっています。

収入が同じくらいなのであれば、職が安定している方の被保険者の被扶養者にしときましょう、っていうことですかね。

ちなみに、基になった通達をご覧になりたい方は、下記のリンクからどうぞ。

 

参考記事: (昭和六〇年六月一三日) (保険発第六六号・庁保険発第二二号)

 

被扶養者の要件とは?

(平成28年問10A)

被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するものは被扶養者となることができるが、後期高齢者医療の被保険者である場合は被扶養者とならない。(国内居住要件は満たしているものとします。)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

被扶養者の要件として、

「被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの」

というものがあります。

その中に、直系尊属が要件に入っていますが、直系尊属の方を被扶養者に入れたいと思っても、75歳以上の方か、65歳以上74歳以下の方で、寝たきり等一定の障害があると認定された方の場合、

後期高齢者医療制度の被保険者に該当しますので、被扶養者になることができず、保険料が発生することになります。

ちなみに、「生計を維持」というのはどういうことかというと、被保険者が相手の生活の面倒を見ている状態を指します。

なので、必ずしも同居している必要はありません。

たとえば、下宿をしている学生さんに仕送りをしているお父さんをイメージするといいでしょう。

同居はしていませんが、仕送りをすることで、学生であるお子さんを経済的に支えていますね。

ちなみに、その他の要件として、

被保険者の3親等内の親族で直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

というのもありますので合わせて押さえておきましょう。

次は、事実婚の場合、言い換えると内縁の夫婦についての過去問です。

 

事実婚である配偶者の父母や子は被扶養者になれる?

(平成23年問1D)

被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者の父母及び子は、被保険者と同一世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持されていれば被扶養者となるが、その配偶者が死亡した後は、引き続きその被保険者と同一世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持されている場合であっても被扶養者となることはできない。(国内居住要件を満たしているものとします。)

 

解説

解答:誤

問題文の場合、事実上婚姻関係と同様の事情にある者の死亡後についても、引き続き被扶養者となります。

ポイントは、事実婚の方の死亡後も、その父母及び子が、「同一世帯」+「生計維持」の状態であれば引き続き被扶養者となります。

一つずつ整理しましょう。

規定では、

法3条7の三 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

というものがあります。

つまりは、事実婚をしている方の親御さんと子どもさんも、被保険者と同一世帯で、被保険者が生活を経済的に支えている状態であれば被扶養者になることができます。

ちなみに同一世帯というのは、同居していて家計のお財布が同じ環境で暮らしている状態を指します。

これが問題文の前半部分にあたりますね。

で、不幸にも事実婚をしている方が亡くなった場合、残された親御さんやお子さんが被扶養者から外れてしまう、となるとちょっと酷ですよね。

なので、その後に続く規定でも、

法3条7の四 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

となっています。

さて、健康保険の被扶養者になるためには、収入についての要件もあります。

次の過去問で確認しましょう。

 

被扶養者になるため収入の要件を確認しよう

(平成27年問8B)

年収250万円の被保険者と同居している母(58歳であり障害者ではない。)は、年額100万円の遺族厚生年金を受給しながらパート労働しているが健康保険の被保険者にはなっていない。このとき、母のパート労働による給与の年間収入額が120万円であった場合、母は当該被保険者の被扶養者になることができる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は、被扶養者になることができません。

被扶養者候補の方が被保険者と同居(同一世帯)の場合は、

「認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者」

となります。

これを問題文に当てはめた場合、同居している58歳の母の収入は、①遺族厚生年金の100万円、②パートのお給料120万円で合計220万円になります。

ということは、上限の130万円を超えているのでアウトということになりますね。

遺族厚生年金であっても収入には変わりありませんのでパートのお給料と合算されます。

ちなみに、同一世帯でない場合の収入の要件もチェックしておきましょう。

「認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合」には、被扶養者となります。

 

今回のポイント

  • 夫婦双方の年間収入が同程度の場合は、「主として生計を維持する者」の被扶養者とすることができます。
  • 後期高齢者医療の被保険者である場合は被扶養者になることができません
  • 「生計を維持」というのは、被保険者が相手の生活の面倒を見ている状態を指します。
  • 事実上婚姻関係と同様の事情にある者の死亡後についても、「同一世帯」+「生計維持」の状態であれば、引き続き被扶養者になることができます。
  • 被扶養者候補の方が被保険者と同居(同一世帯)の場合は、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者になることができます。
  • 同一世帯でない場合の収入の要件は、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合」には、被扶養者となることができます。

 

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