〜「国民年金法 被保険者の届出に関するポイント」国-29〜
国民年金の場合、厚生年金と違って会社が届出をしてくれるわけではないので、被保険者自身が届出をすることが多いです。
なので、届出に関して、被保険者に対しての規定があり、社労士試験でも出題されています。
今回は被保険者の届出に関する過去問を集めてみましたので見ていくことにしましょう。
世帯主が被保険者の代わりに届出ができる?
(平成29年問1D)
第1号被保険者の属する世帯の世帯主は、当該被保険者に代わって被保険者資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項について、市町村長へ届出をすることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
第1号被保険者は、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を、自分で市町村長に届け出るのが原則です。
が、世帯主が、その第1被保険者の代わりに、これらの届出をすることができることになっています。
たとえば、引っ越しをして世帯内の第1号被保険者の住所変更の手続きを、世帯主の方がまとめてするようなイメージですね。
一人一人が手続きをしなければならないとなると大変ですもんね。
次の問題は、その引越しに関して、住所変更の届出の過去問です。
住所変更の手続きを省くことができるケースがある?
(平成22年問6C)
第1号被保険者及び任意加入被保険者の異動に関して、住民基本台帳法による転入、転居または転出の届出がなされたときは、その届出と同一の事由に基づくものについては、その届出があったものとみなされる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
引っ越しをして、住所が変わる場合は、市役所などに行って住民票を移したりしますよね。
国民年金の住所変更も同じ役所で手続きするわけですから、手続きが重複しなくて済むようにしてくれているんですね。
さて、次の問題は、第1号被保険者が第2号被保険者になったときの手続きについての過去問です。
たとえば、大学を卒業して会社に就職するようなイメージですね。
会社に就職した時は市役所に届け出は必要?
(平成27年問8C)
第1号被保険者であった者が就職により厚生年金保険の被保険者の資格を取得したため第2号被保険者となった場合、国民年金の種別変更に該当するため10日以内に市町村長へ種別変更の届出をしなければならない。
解説
解答:誤
第1号被保険者が、会社などに就職して第2号被保険者となった場合に、被保険者の種別の変更の届出は必要ありません。
ただ、会社を退職したことで第2号被保険者から第1号被保険者へ種別変更する場合や、結婚したことによる、第3号被保険者への種別変更の場合は「14日以内」に届出をする必要があります。
さて、次の過去問は、あまりあって欲しくはないことですが、配偶者からの暴力による種別変更についての届出に関する問題です。
配偶者からの暴力による種別変更の場合、届出は不要?
(平成25年問5エ)
配偶者からの暴力を受けた第3号被保険者については、当該被保険者がその配偶者の収入により生計を維持しなくなった場合であっても、第1号被保険者への種別変更の届出は不要である。
解説
解答:正
残念ながら問題文のような規定はありません。
問題文のケースでも、第1号被保険者への「種別変更の届出」をする必要があります。
この「配偶者からの暴力」という論点については別の規定が存在します。
知識を確実に定着させておかないと、いかにももっともらしい問題文に振り回されることになりますので、きちんと整理しておきましょう。
次の過去問が「配偶者の暴力」を論点にした問題です。
「配偶者からの暴力」と「申請免除」の関係
(平成25年問5オ)
配偶者からの暴力を受けた第1号被保険者からの保険料の免除申請については、配偶者の所得は審査の対象としない。
解説
解答:正
通常、国民年金の保険料の申請免除を行う場合、本人はもちろん、配偶者や世帯主の前年(場合によっては前々年)の所得が一定額以下である必要があります。
もし、暴力を振るっている配偶者の所得が多いために、暴力を受けている第1号被保険者の申請免除ができないとなると困ることになりますね。
なので、問題文のような規定があるわけです。
ちなみに、この論点は通達からの出題です。
リンクを貼っておきますので、興味のある方はご覧ください。
参考記事:配偶者からの暴力を受けた者に係る国民年金保険料の免除制度の改善について (平成24年7月6日 年管管発0706第1号)
今回のポイント
- 第1号被保険者の属する世帯の世帯主は、被保険者に代わって被保険者資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項について、市町村長へ届出をすることができます。
- 第1号被保険者及び任意加入被保険者の異動に関して、住民基本台帳法による転入、転居または転出の届出がなされたときは、その届出と同一の事由に基づくものについては、その届出があったものとみなされます。
- 第1号被保険者が、会社などに就職して第2号被保険者となった場合に、被保険者の種別の変更の届出は必要ありません。
- 第2号被保険者から第1号被保険者への種別変更や、第3号被保険者への種別変更の場合は「14日以内」に届出をする必要があります。
- 配偶者からの暴力を受けた第1号被保険者からの保険料の免除申請については、配偶者の所得は審査の対象としません。
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