世間的に言われている「失業手当」というのは、正確には「基本手当」と言いますよね。
これは一般被保険者が失業して求職活動をしている間、生活を安定させるために支給されるものです。
ただ、基本手当の受給資格を得るためには、一定期間、雇用保険の被保険者であったことが条件になります。
言い替えると、算定対象期間(2年間)に一定期間以上の被保険者期間が必要になるわけですね。
では、どれだけ被保険者期間が必要なのか最初の過去問で確認しましょう。
基本手当の受給資格要件を満たすには?
(平成23年問2A)
被保険者が失業したとき、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して14か月ある者は、倒産・解雇等による離職者や特定理由離職者でなくても、基本手当の受給資格を有する。
解説
解答:正
問題文の通りで、原則は、算定対象期間(離職の日以前2年間)に、被保険者期間が通算して12か月以上あれば、基本手当の受給資格を得ることができます。
ただ、被保険者期間に参入されるためには、賃金がきちんと支払われている必要があります。
どういうことかというと、ケガや病気、事業所の休業、出産などで賃金が支払われていない日が発生することも考えられます。
では、1ヶ月分の被保険者期間として参入されるにはどのような条件が設定されているのでしょうか?
被保険者期間に参入されるためには?
(令和元年問1B)
労働した日により算定された本給が11日分未満しか支給されないときでも、家族手当、住宅手当の支給が1月分あれば、その月は被保険者期間に算入する。
解説
解答:誤
問題文の場合、被保険者期間には算入されません。
原則は、賃金支払基礎日数(賃金の支払の基礎になった日数)が11日以上あれば1ヶ月分の被保険者期間となります。
ただ、問題文のように、本来の労働の対償として得られたものではない家族手当や住宅手当が1月分あっても被保険者期間にはならない、ということですね。
これは「行政手引」に記載されていますので、興味がありましたらリンクも貼っておきますのでご確認ください。
ハ 被保険者期間の計算に関するその他の留意事項
(イ) 未払賃金がある場合でも、賃金計算の基礎となる日数が 11 日以上あれば、その月は被保険者 期間に算入する。
(ロ) 家族手当、住宅手当等の支給が 1 月分ある場合でも、本給が 11 日分未満しか支給されないときは、その月は被保険者期間に算入しない。
上記のように、いつも順調に仕事ができていてお給料をもらっているとは限りません。
ケガや病気などで長期欠勤してお給料をもらえず、12ヶ月の被保険者期間を満たせないこともあるでしょう。
(ちなみに年次有給休暇は賃金支払基礎日数にカウントされますのでその期間については心配いりません。)
そんな時、2年間の算定対象期間では足りないことも十分あり得ますので、算定対象期間を延長してくれるのです。
では、算定対象期間を延長してくれるための条件について確認しましょう。
傷病のために欠勤していた場合の算定対象期間は?
(平成26年問1C)
被保険者であった者が、離職の日まで業務外の事由による傷病のため欠勤し引き続き6か月間賃金を受けていなかった場合、雇用保険法第13条第1項にいう「離職の日以前2年間」は、2年間にその6か月間を加算した期間となる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
算定対象期間の延長されるのは、
疾病、負傷等の理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間が算定対象期間となります。
ただし、加算された期間が4年を超えるときは、4年間がMAXとなります。
ここで、「MAX4年」についての過去問も出ていますのでチェックしておきましょう。
5年間賃金を受けていなかったら??
(平成26年問1D)
事業主の命により離職の日以前外国の子会社に出向していたため日本での賃金の支払いを引き続き5年間受けていなかった者は、基本手当の受給資格を有さない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、算定対象期間の延長は、4年間が上限なので基本手当の受給資格を有しません。
では最後に、特定理由離職者の場合の算定対象期間や被保険者期間について確認しておきましょう。
一般被保険者のように2年間の間に12ヶ月ではなかったですよね?
特定理由離職者の場合、算定対象期間や必要な被保険者期間は?
(平成22年問2A)
特定理由離職者については、基準日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、基準日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上なくても、他の要件をみたす限り、基本手当を受給することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
特定理由離職者(特定受給資格者も)については、算定対象期間は1年間となり、1年間の間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば基本手当を受給することができます。
今回のポイント
- 原則は、算定対象期間(離職の日以前2年間)に、被保険者期間が通算して12か月以上あれば、基本手当の受給資格を得ることができます。
- 賃金支払基礎日数(賃金の支払の基礎になった日数)が11日以上あれば1ヶ月分の被保険者期間となります。
- 疾病、負傷等の理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間が算定対象期間となりますが、4年がMAXです。
- 特定理由離職者(特定受給資格者も)については、算定対象期間は1年間となり、1年間の間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば基本手当を受給することができます。
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