概算保険料は、一括払いが原則なのですが、金額が大きいと事業主の負担になってしまいます。
それを軽減するために、分割払い制度が設けられています。
これが「延納」と言われるものです。
この延納が適用されるためにはどのようなルールをクリアすべきなのでしょうか。
また、社労士試験ではどのように出題されているのかを確認していきましょう。
継続事業の場合、延納するのにタイムリミットはある?
(平成29年労災問10ウ)
継続事業(一括有期事業を含む。)の概算保険料については、平成29年10月1日に保険関係が成立したときは、その延納はできないので、平成29年11月20日までに当該概算保険料を納付しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、継続事業が10月1日以降に保険関係が成立したときは延納することができません。
これは、一括有期事業も含みます。
なので、保険関係が成立した日から50日以内に概算保険料を納付しなければなりません。
というのも、保険年度は3月31日までなので、10月1日以降に保険関係が成立したということは、保険年度の残りが半年を切っているわけで、
保険料は分割ではなく、一括払いでよろしくね、ということなんでしょうかね。
さて、延納の納期限については、労働保険事務組合に事務の委託をしている場合は、納期限を後ろにずらせるという特典があります。
次は、その特典についての過去問をチェックしましょう。
第1期目の延納の場合も納期限の特典が??
(平成27年雇用問9D)
概算保険料について延納が認められ、前保険年度より保険関係が引き続く継続事業(一括有期事業を含む。)の事業主の4月1日から7月31日までの期分の概算保険料の納期限は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合であっても、7月10日とされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
延納の納期限については下記のとおりです。
- 第1期 4月1日〜7月31日 → 納期限:7月10日(事務組合に委託してても7月10日)
- 第2期 8月1日〜11月10日 →納期限:10月31日(事務組合に委託してると11月14日)
- 第3期 12月1日〜翌年3月31日 →納期限:翌年1月31日(事務組合に委託してると2月14日)
なので、特典があるのは第2期と第3期のお話で、問題文の場合は、第1期ですから労働保険事務組合に委託していても7月10日が納期限に変わりはありません。
次は、保険年度の途中に、はじめて保険関係が成立した時の概算保険料の納期限について確認しておきましょう。
保険年度の途中に保険関係が成立した時の納期限は?
(平成22年労災問8B)
保険関係が7月1日に成立し、当該保険年度の納付すべき概算保険料の額が40万円以上である継続事業の事業主が、概算保険料の延納の申請をした場合は、当該保険関係成立の日から11月30日までの期間を最初の期とし、保険関係成立の日の翌日から起算して20日以内に最初の期分の概算保険料を納付しなければならない。
解説
解答:誤
「20日以内」ではなく、「50日以内」となります。
保険年度の途中(4月1日から9月30日まで)に保険関係が成立した場合の最初の期の概算保険料は、
保険関係成立の日の翌日から起算して50日以内に納付する必要があります。
ちなみに、延納できる回数については、
- 4月1日から5月31日までに保険関係が成立した場合は3回
- 6月1日から9月30日までに保険関係が成立した場合は2回
となっています。
また、延納ができるのは概算保険料だけではありません。
認定決定による概算保険料はもちろん、追加徴収による概算保険料や増加概算保険料についても延納が可能です。
ただ、ちょっとしたルールがありますので確認しておきましょう。
次の過去問は追加徴収に関する出題です。
追加徴収による概算保険料も延納はできるが、、?
(平成27年雇用問9E)
概算保険料について延納が認められている継続事業(一括有期事業を含む。)の事業主が、労働保険徴収法第17条第2項の規定により概算保険料の追加徴収の通知を受けた場合、当該事業主は、その指定された納期限までに延納の申請をすることにより、追加徴収される概算保険料を延納することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
ポイントは、
まず、追加徴収による概算保険料の延納をするためには、
「概算保険料または認定決定による概算保険料による延納がなされていたこと」が条件となります。
次に、追加徴収による通知が来たとしても、
「自動的に延納になるわけではなく、あらためて延納の申請が必要」ということです。
では最後に、有期事業の概算保険料の延納についてチェックしておきましょう。
有期事業の場合、最初の期の納期限はどうなる?
(平成29年労災問10イ)
延納できる要件を満たす有期事業(一括有期事業を除く。)の概算保険料については、平成29年6月15日に事業を開始し、翌年の6月5日に事業を終了する予定の場合、3期に分けて納付することができ、その場合の第1期の納期限は平成29年7月5日となる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
有期事業(一括有期事業を除く)の場合、最初の期分の概算保険料は、保険関係成立の日の翌日から起算して20日以内に、納付しなければなりません。
したがって、6月15日の20日後である7月5日が最初の期の納期限となります。
ちなみに、問題文の場合、延納の期は、
- 第1期:6月15日〜11月30日(保険関係の成立が7月末から2ヶ月を切っているため、次の期と一緒になります)
- 第2期:12月1日〜翌年3月31日
- 第3期:4月1日〜6月5日
に分けることができ、問題文にある「3期に分けて納付することができ」も正しい文章となっています。
今回のポイント
◆継続事業が10月1日以降に保険関係が成立したときは延納することができません。その場合、保険関係が成立した日から50日以内に概算保険料を納付しなければなりません。
◆延納の納期限については下記のとおりです。
- 第1期 4月1日〜7月31日 → 納期限:7月10日(事務組合に委託してても7月10日)
- 第2期 8月1日〜11月10日 →納期限:10月31日(事務組合に委託してると11月14日)
- 第3期 12月1日〜翌年3月31日 →納期限:翌年1月31日(事務組合に委託してると2月14日)
◆保険年度の途中(4月1日から9月30日まで)に保険関係が成立した場合の最初の期分の概算保険料は、保険関係成立の日の翌日から起算して50日以内に納付する必要があります。
◆追加徴収による概算保険料の延納をするためには、「概算保険料または認定決定による概算保険料による延納がなされていたこと」が条件となります。次に、追加徴収による通知が来たとしても、「自動的に延納になるわけではなく、あらためて延納の申請が必要」ということです。
◆有期事業(一括有期事業を除く)の場合、最初の期分の概算保険料は、保険関係成立の日の翌日から起算して20日以内に、納付しなければなりません。
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