このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、労災保険法から「通勤災害」について見てみようと思います。
通勤とはどのような場合を指すのか、通勤災害として認められるにはどのような条件を満たす必要があるのかについて過去問を通じて確認していくことにしましょう。
「通勤」の定義とは
(平成25年問4エ)
労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復を合理的な経路及び方法により行うことのみが通勤に該当する。
解説
解答:誤り
通勤の定義は、次の3つに該当する移動を合理的な経路および方法により行うことです。
- 住居と就業の場所との間の往復
- 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
- 1番に掲げる往復に先行し、または後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限られます)
なので、問題文のように、住居と就業の場所との間の往復だけを通勤としているわけではありません。
ちなみに、2番の「厚生労働省令で定める就業の場所」は、労災保険の適用事業や暫定任意適用事業にかかる就業の場所を指していて、
3番の「厚生労働省令で定める要件」とは、単身赴任者の赴任先住居や帰省先住居の移動のことを指しています。
では次に具体的な事例を読んで通勤災害に該当するかどうかを見てみることにしましょう。
通勤災害と認められるためには その1
(令和3年問2A)
3歳の子を養育している一人親世帯の労働者がその子をタクシーで託児所に預けに行く途中で追突事故に遭い、負傷した。その労働者は、通常、交通法規を遵守しつつ自転車で託児所に子を預けてから職場に行っていたが、この日は、大雨であったためタクシーに乗っていた。タクシーの経路は、自転車のときとは違っていたが、車であれば、よく利用される経路であった。この場合は、通勤災害と認められる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
通勤経路については、「合理的な経路および方法」であるかどうかが判断基準になりますが、
問題文の場合、子どもを託児所に預けざるを得ない環境にある労働者が職場に行く前に託児所に寄ることについても通勤と認められ、
タクシーに乗ったことについても、車であればよく利用される経路だったということなので、こちらも「合理的な経路および方法」であると認められます。
こちらについては、通達が出ていますのでリンクを貼っておきますね。
(第九の3「合理的な経路及び方法」の意義 の部分に記載があります)
参考記事:労働者災害補償保険法の一部を改正する法律等の施行について 昭和四八年一一月二二日 基発第六四四号
では最後にもう一問、通勤災害の具体的事例を見ておきましょう。
この過去問では、「逸脱と中断」が論点になっていますので、どのように判断されるのか読んでみましょう。
通勤災害と認められるためには その2
(令和3年問2B)
腰痛の治療のため、帰宅途中に病院に寄った労働者が転倒して負傷した。病院はいつも利用している駅から自宅とは反対方向にあり、負傷した場所はその病院から駅に向かう途中の路上であった。この場合は、通勤災害と認められない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
原則として、逸脱、中断の間およびその後の移動は原則として通勤とは認められません。
ですが、逸脱や中断が日用品の購入その他これに準ずる行為等をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、その逸脱や中断の後、合理的な経路に復した後は通勤と認められることになっています。
問題文のケースでは、病院から駅に向かう途中に負傷したとのことで、通勤経路から逸脱している時点での出来事なので通勤とは認められないということになります。
今回のポイント
- 通勤の定義は、次の3つに該当する移動を合理的な経路および方法により行うことです。
- 住居と就業の場所との間の往復
- 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
- 1番に掲げる往復に先行し、または後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限られます)
- 原則として、逸脱、中断の間およびその後の移動は原則として通勤とは認められませんが、逸脱や中断が日用品の購入その他これに準ずる行為等をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、その逸脱や中断の後、合理的な経路に復した後は通勤と認められることになっています。
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