過去問

「社労士試験 安衛法 思い出してみましょう!大規模事業場の安全衛生管理体制で押さえるべき要件とは」過去問・安衛-31

安全衛生管理体制は安衛法のメインと言っても過言ではない項目です。

とはいうものの、たとえば総括安全衛生管理者が選任される業種だったり人数だったりと、暗記が大変ですよね。

そんな場合は、優先順位をつけて順番に押さえていくことが大切になります。

総括安全衛生管理者であれば、100人以上が選任要件となる「林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業」をまず覚えるということですね。

で、余裕があれば300人以上である製造業や商品卸売業、自動車整備業を押さえるという感じです。

重要なものから優先的に勉強していくようにしましょう。

では最初の問題を見ていきましょう。

この問題は総括安全衛生管理者になるために必要な資格があるのかが論点になっていますのでチェックしますね。

 

総括安全衛生管理者になるための資格

(令和2年問9C)

総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならないが、必ずしも安全管理者の資格及び衛生管理者の資格を共に有する者のうちから選任しなければならないものではない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

総括安全衛生管理者を選任する際には、安全管理者などの資格を持っている人から選ぶ必要はありません

規定ではどうなっているのかというと、

総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない」

となっています。

つまり、総括安全衛生管理者は、事業場を統括管理する権限や責任を持った人で、安全管理者や衛生管理者を指揮する立場にあるので、資格は必要ないということですね。

では、総括安全衛生管理者を選任するべき業種や巡視についてどのように規定されているのか次の問題で確認しましょう。

 

総括安全衛生管理者の選任要件と巡視についての規定は?

(平成23年問8A)

常時500人の労働者を使用する製造業の事業場においては総括安全衛生管理者を選任しなければならないが、総括安全衛生管理者は少なくとも毎年1回作業場等を巡視しなければならない。

 

解説

解答:誤り

製造業の場合は、常時300人以上の労働者を使用する場合に総括安全衛生管理者を選任する必要があるので、その部分は正しいですが、巡視義務はありません

総括安全衛生管理者は、統括管理するのが仕事なので、巡視義務のある安全管理者や衛生管理者から報告を受けて事業場の安全を守るための運営をするということになります。

では、次はこれまでちょくちょく名前があがっている安全管理者について取り扱った過去問を見てみましょう。

下の問題では、安全管理者になるための実務経験について問われています。

 

安全管理者になるための実務経験

(平成24年問9B)

常時70人の労働者を使用する建設業の事業場の事業者は、安全管理者を選任する義務があるが、高等学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業し、その後5年間産業安全の実務に従事した経験を有する当該事業場の労働者で厚生労働大臣が定める安全に係る技術的事項を管理するのに必要な知識についての研修を修了したものであれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を安全管理者に選任し、当該事業場の安全に係る技術的事項を管理させることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

安全管理者になるためには、「大学・高等専門学校」の場合の実務経験2年以上ですが、「高等学校・中等教育学校」は4年以上必要となります。

で、どちらも「理科系統の正規の課程を修めて卒業した者」であることが条件です。

また、人数要件ですが、総括安全衛生管理者のところにも出てきた、「林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業」の業種は常時50人以上の労働者を使用している場合に選任する必要があります。

では、それをおさらいした上で、下の問題を見てみましょう。

安全管理者の人数要件と巡視が論点になっていますので読んでみてくださいね。

 

安全管理者の選任するべき要件と巡視に関する規定

(平成23年問8B)

常時80人の労働者を使用する建設業の事業場においては安全管理者を選任しなければならないが、安全管理者は少なくとも毎週1回作業場等を巡視しなければならない。

 

解説

解答:誤り

建設業の場合は、常時50人以上の労働者を使用していれば安全管理者の選任義務がありますので、その部分は正しいですが、

巡視については、巡視義務はあるものの、頻度については規定がないので誤りです。

ちなみに、毎週1回以上巡視義務があるのは「衛生管理者」ですので混同しないようにしたいところですね。

では最後に産業医について少し確認しておきましょう。

産業医というのは、もちろんお医者さんなわけですが、産業医になるためには別途資格がいるのでしょうか?

 

産業医になるために資格はいる?

(平成24年問9E)

常時50人の労働者を使用する自動車整備業の事業場の事業者は、産業医を選任する義務があるが、厚生労働大臣の指定する者が行う労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修を修了した医師であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を産業医に選任し、当該事業場の労働者の健康管理等を行わせることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

産業医になるためには、以下のどれかの要件を満たしていれば大丈夫です。

  • 労働者の健康管理などについての研修で厚生労働大臣の指定する者(法人に限る)が行うものを修了した者
  • 産業医の養成を行うことを目的とした産業医科大学などで所定の課程を修めて卒業した者で、その大学が行う実習を履修したもの
  • 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
  • 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授准教授講師(常時勤務する者に限る。)の職にあるか、過去にあった者

で、産業医の場合は、業種に関係なく、常時50人以上の労働者を使用している事業場に選任義務があり、3000人を超えると2人以上選任する必要があります。

 

今回のポイント

  • 総括安全衛生管理者を選任する際には、安全管理者などの資格を持っている人から選ぶ必要はありません
  • 総括安全衛生管理者には巡視義務はありません。
  • 安全管理者になるためには、「大学・高等専門学校」の場合の実務経験2年以上ですが、「高等学校・中等教育学校」は4年以上必要となります。
  • 安全管理者の巡視については、巡視義務はあるものの、頻度については規定がありません
  • 産業医になるための要件は、
    • 労働者の健康管理などについての研修で厚生労働大臣の指定する者(法人に限る)が行うものを修了した者
    • 産業医の養成を行うことを目的とした産業医科大学などで所定の課程を修めて卒業した者で、その大学が行う実習を履修したもの
    • 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
    • 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授准教授講師(常時勤務する者に限る。)の職にあるか、過去にあった者  となります。

 

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