遺族(補償)年金は、労災保険法の保険給付の中でも出題数が多いです。
注意すべきは、「夫」や「妻」の年齢要件であったり、受給資格者と受給権者の考え方の違いなど、他の給付と比較して細かい規定があるところです。
規定としては細かいですが、出題のパターンとしては、ひねった問題ではないので過去問を繰り返し解いて知識を定着させると良いでしょう。
また、国民年金法や厚生年金法などとの横断整理をすることも大切になってきますね。
それでは過去問をチェックしましょう。
◯◯を故意に△△させた場合、、、(受給資格の欠格)
(平成23年問4E)
労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者のみ、遺族補償年金を受けることができる遺族とされない。
解説
解答:誤
「先順位の遺族」だけでなく、「先順位又は同順位の遺族」となります。
労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族とはなりません。
うっかり読み飛ばしてしまいそうですね。
本試験のときは、自分でも気づかない程度に緊張していることもありますので、落ち着いて問題文を読むクセを勉強時からつけておくと良いと思います。
年金額の改定の時期はいつから?
(平成25年問1A)
遺族補償給付を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が55歳に達したとき(労災保険法別表第一の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)は、その達した月から遺族補償年金の額を改定する。
解説
解答:誤
「その達した月から」ではなく、「その達した月の翌月から」です。
遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が「妻」が、ほかに生計を同じくする受給資格者がいない場合、「55歳以上」または「一定の障害の状態」になった場合は、遺族補償年金の額が給付基礎日額の153日分から175日分になるので、該当したときは、その翌月から遺族補償年金の額が改定されます。
年齢に関する支給停止の要件は??
(平成23年問3C)
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する兄弟姉妹が労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは、消滅する。
解説
解答:誤
子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに権利が消滅しますが、労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときは受給権は消滅しません。
遺族(補償)年金の失権の要件については、国民年金法の遺族基礎年金や、厚生年金法の遺族厚生年金と比較しておきましょう。
今回のポイント
- 労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族とはなりません。
- 遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が「妻」が、ほかに生計を同じくする受給資格者がいない場合、「55歳以上」または「一定の障害の状態」になった場合は、遺族補償年金の額が給付基礎日額の153日分から175日分になるので、該当したときは、その翌月から遺族補償年金の額が改定されます。
- 子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに権利が消滅しますが、労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときは受給権は消滅しません。
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