過去問

「国民年金法 あっという間に理解できる!障害基礎年金の支給要件」過去問・国-38

今回は、障害基礎年金の支給要件についての過去問を集めてみました。

障害基礎年金の支給要件には、

  • 初診日要件
  • 保険料納付要件
  • 障害認定日

がありますが、これらの要件を丁寧に押さえておけば、少々ひねった問題が出てもきちんと対応できますので大丈夫です。

それでは最初の問題を見ていきましょう。

1問目は、保険料納付要件についての問題になっています。

どの期間の保険料の滞納をチェックすればいいのか確認しましょう。

 

障害基礎年金の保険料納付要件

(平成22年問9A)

初診日が平成22年8月30日である場合、平成22年7月分までの1年間のうちに保険料の滞納がなければ、障害基礎年金の保険料納付要件を満たす。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は「7月分」までではなく、「6月分」までの1年間のうちに保険料の滞納がなければ保険料納付要件を満たします。

規定では、

初診日令和8年4月1日前にある傷病については、当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないときには保険料納付要件を満たすとしています。

ただ、初診日の時点で65歳以上の場合は対象外です。

ちなみに、本来の保険料納付要件は、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が被保険者期間の3分の2以上必要となります。

なぜ初診日の属する月の「前々月」にしているのかというと、国民年金の保険料は「翌月末日までに納付」することになっています。

たとえば問題文のように初診日が8月で、前月の7月までの保険料納付要件を確認するということにすると、その気になれば滞納していた保険料を8月のうちに7月分までの保険料を払い込むことができるわけです。

そういった駆け込みの払い込みを排除するために、初診日の属する月の前々月までの保険料納付状況を見ることにしているんですね。

では、保険料は滞納していないけど納付猶予を受けていたらどうなるのでしょう。

猶予を受けているとはいえ、保険料を納付していないのですから不安になりますよね。

次の過去問で確認しましょう。

 

保険料の納付猶予を受けていたらダメ??

(令和元年問2A)

傷病について初めて医師の診療を受けた日において、保険料の納付猶予の適用を受けている被保険者は、障害認定日において当該傷病により障害等級の1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあり、保険料納付要件を満たしている場合でも、障害基礎年金が支給されることはない。

 

解説

解答:誤

問題文のような規定はなく、保険料の納付猶予を受けていてもその他の支給要件を満たしていれば障害基礎年金は支給されます。

もう一度、先述した障害基礎年金の保険料納付要件を確認してみましょう。

『初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないときには保険料納付要件を満たす。』

「免除」と「猶予」は厳密には制度の内容は違いますが、正当な手続きをして保険料を猶予してもらった分については大丈夫ということですね。

さて、次は「障害認定日」の仕組みについて見ていくことにしましょう。

障害認定日の時点で一定の障害の状態にあれば障害基礎年金が支給されることになるわけですから重要な要件ですね。

その障害認定日の仕組みを確認しましょう。

 

障害認定日の仕組みはどうなっている?

(平成24年問5B)

初診日から起算して、1年6か月を経過した日又はその期間後に傷病が治った場合は、その治った日を障害認定日とする。

 

解説

解答:誤

障害認定日は、初診日から起算して1年6か月を経過した日、または「その期間」傷病が治った場合はその治った日とします。

ちなみに、傷病が「治った日」というのは、その症状が固定して治療の効果が期待できない状態に至った場合も含みます

これで障害基礎年金の支給要件をもう一度確認しましょう。

障害基礎年金の支給要件は、

  • 初診日要件

初診日において「被保険者である」か、「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること」

  • 保険料納付要件

初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、

・当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あるか、

・初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないとき、

  • 障害認定日

初診日から起算して1年6か月を経過した日、または「その期間」傷病が治った場合はその治った日

では、これらの支給要件を押さえた上で、次の事例問題を見てみましょう。

問題文を読んでいて「ん?」と思うことがあっても、支給要件に当てはまっているかを確認するようにしましょう。

 

障害基礎年金の支給要件を当てはめてみましょう

(平成26年問9B)

【本問において「現在」は平成26年4月11日とする】
第1号被保険者であった50歳の時に初診日がある傷病を継続して治療している現在66歳の者は、初診日から1年6か月を経過した日の障害状態が障害等級1級又は2級に該当し、かつ、初診日の前日において保険料納付要件を満たしていれば、国民年金法第30条の規定による障害基礎年金を請求することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

問題文にある、「傷病を継続して治療している現在66歳」に「??」となるかもしれませんが、実際に支給要件に当てはめてみましょう。

  • 初診日要件 → 第1号被保険者だったのでOK
  • 保険料納付要件 → 満たしているのでOK
  • 障害認定日 → 初診日から1年6か月を経過した日の障害状態が障害等級1級又は2級に該当しているのでOK

このように、すべての要件を満たしていますので、問題文のケースでは障害基礎年金を請求することができるというわけです。

では最後に、「事後重症」について確認しておきましょう。

事後重症の受給権のの発生日はいつなのか、という論点になっています。

 

事後重症の場合の受給権の発生日は?

(令和元年問6E)

国民年金法第30条第1項の規定により、障害認定日において障害等級に該当した場合に支給する障害基礎年金の受給権の発生日は障害認定日であるが、同法第30条の2第1項の規定によるいわゆる事後重症による障害基礎年金の受給権の発生日はその支給の請求日である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、事後重症の場合の障害基礎年金の受給権は、「請求日」に発生します。

しかも、65歳に達する日の前日までの間に1級か2級の状態になってその期間内(65歳に達する日の前日まで)に請求しなければなりません。

 

今回のポイント

  • 本来の保険料納付要件は、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が被保険者期間の3分の2以上必要ですが、特例として初診日令和8年4月1日前にある傷病については、当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないときには保険料納付要件を満たすとしています。
  • 問題文のような規定はなく、保険料の納付猶予を受けていてもその他の支給要件を満たしていれば障害基礎年金は支給されます。
  • 障害認定日は、初診日から起算して1年6か月を経過した日、または「その期間」傷病が治った場合はその治った日とします。
  • 初診日要件は、初診日において「被保険者である」か、「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること
  • 問題文のとおりで、事後重症の場合の障害基礎年金の受給権は、「請求日」に発生します。

 

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