このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、国民年金法から「老齢基礎年金の支給要件」について見てみたいと思います。
老齢基礎年金は、保険料納付済期間や保険料免除期間が10年以上あれば、保険料の納付状況による金額が支給されます。
ただ、規定の受給資格期間の年数をクリアしていないと老齢基礎年金が支給されないので、どうにかできないかということで、「合算対象期間」なるものができました。
これは、専業主婦などがまだ国民年金へ加入するのが任意だった時代に、国民年金へ加入していなかった人に対して、年金額には反映されないけど受給資格期間に算入されることになりました。
これによって、少しでも老齢基礎年金を受け取れる人を多くしようとしたわけですね。
社労士試験では、この合算対象期間を取り入れた出題もされていますので、どのような問題になっているのか読んでみましょう。
合算対象期間は老齢基礎年金の受給権にどのように影響するか
(平成30年問6D)
65歳に達したときに、保険料納付済期間と保険料免除期間(学生納付特例期間及び納付猶予期間を除く。)とを合算した期間を7年有している者は、合算対象期間を5年有している場合でも、老齢基礎年金の受給権は発生しない。
解説
解答:誤り
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間が10年以上あれば支給されますが、それに満たない場合、合算対象期間を足して10年以上になるのであれば老齢基礎年金が支給されます。
問題文の場合、保険料納付済期間と保険料免除期間は7年ですが、合算対象期間が5年あり、合計すると10年以上あるので、老齢基礎年金の受給権が発生することになります。
ただ、保険料免除期間の中に、学生納付特例や納付猶予期間の制度がありますが、これらの取り扱いには注意が必要となります。
たとえば、申請して保険料の全額が免除(全額申請免除)になった場合は、保険料の納付を全額免除されていますが、
国庫負担分があるので、その分の老齢基礎年金は支給されることになります。
しかし、学生納付特例や納付猶予期間の場合は、国庫負担もないので、老齢基礎年金への支給にも反映されません。
ということで、下の問題を読んでみましょう。
学生納付特例や納付猶予期間しかない場合は、、、
(令和元年問8A)
学生納付特例の期間及び納付猶予の期間を合算した期間を10年以上有し、当該期間以外に被保険者期間を有していない者には、老齢基礎年金は支給されない。なお、この者は婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合も含む。)したことがないものとする。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
問題文のように、学生納付特例の期間及び納付猶予の期間しかなく、他に被保険者期間がない場合は、老齢基礎年金が支給されないことになります。
先ほども述べたように、学生納付特例や納付猶予については、保険料の納付が全額免除され、国庫負担がないため、老齢基礎年金の年金額を計算するものがなく、老齢基礎年金の年金額にはまったく影響がありません。
なので、学生納付特例の期間及び納付猶予しかない場合は、老齢基礎年金の支給額はゼロというわけです。
では最後に、合算対象期間についてもう少し見ておきましょう。
先ほど、合算対象期間の対象になる期間として、専業主婦で任意加入できるけど加入しなかった期間を挙げましたが、
他にも、20歳未満で会社員の人も国民年金の視点で見ると合算対象期間となります。
(厚生年金にはもちろん加入しています)
また、60歳以上の会社員も同じ扱いです。
このことを念頭に置いた上で、下の問題を読んでみましょう。
厚生年金の被保険者と国民年金の被保険者
(令和元年問8B)
日本国籍を有している者が、18歳から19歳まで厚生年金保険に加入し、20歳から60歳まで国民年金には加入せず、国外に居住していた。この者が、60歳で帰国し、再び厚生年金保険に65歳まで加入した場合、65歳から老齢基礎年金が支給されることはない。なお、この者は婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合も含む。)したことがなく、上記期間以外に被保険者期間を有していないものとする。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
問題文の場合、19歳までの期間と60歳から65歳の間、会社員として厚生年金の被保険者にはなっていますが、
国民年金では合算対象期間となるため、老齢基礎年金の金額には反映されず、支給額はゼロということになります。
今回のポイント
- 老齢基礎年金は、保険料納付済期間や保険料免除期間が10年以上あれば、保険料の納付状況による金額が支給されます。
- 合算対象期間は、年金額には反映されませんが、受給資格期間には算入されます。
- 学生納付特例や納付猶予については老齢基礎年金の年金額には影響がありません。
- 20歳未満や60歳以上の会社員の場合、国民年金の視点で見ると合算対象期間となります。
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