このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今回は、厚生年金法から「在職老齢年金」について見てみたいと思います。
在職老齢年金というのは、働きながら老齢厚生年金を受け取っている場合に、収入額に応じて老齢厚生年金の支給額を調整する制度です。
その収入額を算定する場合には「総報酬月額相当額」で算出します。
総報酬月額相当額というのは、被保険者の1年分の収入額の目安を指しますが、
どのように計算をするのかをまず確認しましょう。
総報酬月額相当額の範囲
(平成25年問8B)
在職老齢年金の支給停止額を計算する際の「総報酬月額相当額」とは、その者の標準報酬月額と直前の7月1日以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額である。
解説
解答:誤り
総報酬月額相当額は、その者の標準報酬月額(1ヶ月あたりの収入の目安)と、
「直前の7月1日以前」ではなく、「その月以前」1年間の標準賞与額の総額を12で割った額を合わせた額(1年分のボーナスを1ヶ月分に割った金額の目安)ということになります。
なので、総報酬月額相当額の金額は、1年間固定されているわけではなく、
在職老齢年金の支給停止額を計算するタイミングで変化する可能性があるということですね。
で、在職老齢年金の制度で老齢厚生年金の支給額を調整すると述べましたが、
老齢厚生年金も一枚岩ではなく、本体部分と加給年金額、繰下げ加算額などによって構成されることがあります。
在職老齢年金の制度では、本体以外の部分に影響を及ぼすのでしょうか。
下の問題で確認しましょう。
老齢厚生年金の「繰下げ加算額」も支給停止の対象?
(平成26年問6C)
66歳で支給繰下げの申出を行った68歳の老齢厚生年金の受給権者が被保険者となった場合、当該老齢厚生年金の繰下げ加算額は在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象とならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
老齢厚生年金の繰下げ加算額は、受給権者が65歳の時点で受給せずに我慢をした結果、加算されているものなので、
在職老齢年金で本体の老齢厚生年金が支給停止になったとしても、繰下げ加算額の部分は支給停止の対象となりません。
ちなみに、所定の要件を満たした配偶者や子がいる場合に支給される加給年金額は、支給停止の対象となっています。
では最後に、お給料や賞与の額の変動によって総報酬月額相当額が改定された場合、在職老齢年金にはいつ反映されるのでしょうか。
次の問題文を読んでみましょう。
総報酬月額相当額が改定されたらいつから年金額が変わる?
(平成27年問8E)
在職老齢年金を受給する者の総報酬月額相当額が改定された場合は、改定が行われた月の翌月から、新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、年金額が改定される。
解説
解答:誤り
総報酬月額相当額が改定された場合、改定が行われた「月」から年金額が改定されます。
総報酬月額が改定されると、改定された総報酬月額相当額をもとに老齢厚生年金の支給停止額を計算しなおし、
改定された月から老齢厚生年金の支給額が反映されることになります。
今回のポイント
- 総報酬月額相当額は、その者の標準報酬月額(1ヶ月あたりの収入の目安)と、「その月以前」1年間の標準賞与額の総額を12で割った額を合わせた額(1年分のボーナスを1ヶ月分に割った金額の目安)ということになります。
- 在職老齢年金で本体の老齢厚生年金が支給停止になったとしても、繰下げ加算額の部分は支給停止の対象となりません。
- 総報酬月額相当額が改定された場合、改定が行われた「月」から年金額が改定されます。
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