労働基準法において、変形労働時間制には、①1箇月単位、②1年単位、③1週間単位、④フレックスタイム制 があります。
それぞれに要件があり、期間や労働時間、業種が決まっているものもあります。
最初のうちは、知識がゴチャゴチャになってしまいますが、簡単な表を作ったり、問題演習を繰り返していくうちに少しずつ定着しますので安心してくださいね。
それでは、過去問を見ていくことにしましょう。
1箇月単位の変形労働時間制の採用条件とは?
(令和元年問2D)
1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。
解説
解答:誤
「就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず」ではなく、
1箇月単位変形労働時間制は、「労使協定により、又は、就業規則その他これに準ずるものにより採用することができます。
また、労使協定の場合は所轄労働基準監督署長への届出が必要ですが、届出をしなければ無効になるわけではありません。
労使協定を結んだ段階で有効になるということですね。
まあ、就業規則の場合、規定すれば有効になるわけですから、労使協定の場合も締結の段階で有効になるのでしょうね。
次に、フレックスタイム制の過去問を見ておきましょう。
フレックスタイムの始業や終業の時刻の決定のルールは?
(平成28年問4B)
労働基準法第32条の3に定めるいわゆるフレックスタイム制は、始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねることを要件としており、始業時刻又は終業時刻の一方についてのみ労働者の決定に委ねるものは本条に含まれない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
フレックスタイム制は、始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねることを要件としています。
どっちかだけしか決められない、ってフレックスタイムの良さが半減してしまいますよね。
それでは、1年単位の変形労働時間制を確認しましょう。
事前に教えてもらえると助かります!
(平成22年問5B)
労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制においては、1日10時間、1週52時間という労働時間の上限が定められているため、この範囲において労働する限り、どのような場合においても対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要はない。
解説
解答:誤
対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要があります。
ちなみに、対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとしたときは、最初の期間以外は、各期間の少なくとも30日前に過半数代表者の同意を得て、労働日や労働日ごとの労働時間を書面で決める必要があります。
また、問題文にあるように、
1年単位の変形労働時間制では、1日10時間、1週52時間という労働時間の上限が定められています。
最後に、1週間単位の変形労働時間制についての過去問を見ておきましょう。
読み飛ばさないで、、
(平成28年問4D)
労働基準法第32条の5に定めるいわゆる一週間単位の非定型的変形労働時間制は、小売業、旅館、料理店若しくは飲食店の事業の事業場、又は、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場、のいずれか1つに該当する事業場であれば採用することができる。
解説
解答:誤
1週間単位の非定型的変形労働時間制は、「小売業、旅館、料理店及び飲食店の事業の事業場でかつ、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場」が対象となります。
なので、問題文にあるように、どちらかだけの要件を満たせば良いというわけではありません。
今回のポイント
- 1箇月単位変形労働時間制は、「労使協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより採用することができます。
- フレックスタイム制は、始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねることを要件としています。
- 1年単位の変形労働時間制では、対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとしたときは、最初の期間以外は、各期間の少なくとも30日前に過半数代表者の同意を得て、労働日や労働日ごとの労働時間を書面で決める必要があります。
- 1年単位の変形労働時間制では、1日10時間、1週52時間という労働時間の上限が定められています。
- 1週間単位の非定型的変形労働時間制は、「小売業、旅館、料理店及び飲食店の事業の事業場でかつ、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場」が対象となります。
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