過去問

「社労士試験 安衛法 監督組織と事業者との関わりとは」過去問・安衛-45

今回は、監督組織が労働災害を防止するための取り組みについて見ていくことにしましょう。

ここに登場してくるのは都道府県労働局長や労働基準監督署長などで、事業者とどのように関わってるのかが論点になっていたりしていますので確認していきますね。

最初の問題は、労働災害の防止を図るための改善措置を講ずるために都道府県労働局長が事業者に求めるものについて問われています。

さて、事業者に対してどのようなことをしてもらうのでしょうか?

 

労働災害の防止を図るための改善措置が必要なときは

(平成23年問9D)

都道府県労働局長は、労働安全衛生法第79条の規定により、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(同法第78条第1項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は、安全衛生改善計画作成指示書により、事業者に対し、当該事業場の安全衛生改善計画を作成すべきことを指示することができる。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

都道府県労働局長は、労働災害の防止を図るために総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、

事業者に対して安全衛生改善計画の作成指示することができます。

事業者は、安全衛生改善計画を作成するときは、過半数代表者の意見を聴く必要があります。

ちなみに、問題文にある法78条1項というのは、特別安全衛生改善計画のことを指しています。

特別安全衛生改善計画は、残念ながら重大な労働災害が起きたときのものですね。

では次は計画の届出について見ておきましょう。

下の問題では、建設業で「重大な労働災害」を生ずるおそれのある「特に大規模」な仕事についての計画の届出について問われているので読んでみましょう。

 

建設業で特に大規模なものの場合の届出

(平成25年問9A)

事業者は、労働安全衛生法第88条第2項の規定に基づき、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに厚生労働大臣に届け出なければならず、厚生労働大臣は届出のあった当該仕事の計画のうち、高度の技術的検討を要するものについて審査をし、審査の結果必要があると認めるときは、当該届出をした事業者の意見をきいた上で、届出をした事業者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告をすることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

建設業で「重大な労働災害」を生ずるおそれのある「特に大規模」な仕事についての計画の届出は、30日前までに厚生労働大臣に対して行います。

ちなみに、そこまで大規模ではない建設業や土石採取業の場合は、14日前までに労基署長へ届出をすることになっています。

あと、危険・有害機械等の設置などの届出は、30日前までに労基署長へおこないます。

このように数字と届出先が色々とあるので整理しておくようにしましょう。

さて、次は労働衛生指導医について問われている過去問を見てみましょう。

労働衛生指導医といえば、臨時の健康診断が思い浮かぶのですが、この方々は、非常勤の国家公務員で都道府県労働局に置かれています。

で、この労働衛生指導医がどのようなことをするのかを次の問題で確認しましょう。

 

労働衛生指導医の役割

(平成25年問9B)

都道府県労働局長は、労働衛生指導医を労働安全衛生法第65条第5項の規定による作業環境測定の実施等の指示又は同法第66条第4項の規定による臨時の健康診断の実施等の指示に関する事務その他労働者の衛生に関する事務に参画させるため必要があると認めるときは、労働衛生指導医をして事業場に立ち入り、関係者に質問させることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

都道府県労働局長は、労働衛生指導医事業場へ立ち入らせて関係者に質問をさせることができます。

テーマは、作業環境測定臨時の健康診断の実施ですね。

では、次は実際に労働災害が起きてしまった時に、都道府県労働局長が事業者に対して指示をすることについて確認しましょう。

所定の規模の事業場には労働災害の防止にあたる総括安全衛生管理者などがいらっしゃるわけですが、

労働局長はどんなことを指示するのでしょう。

 

労働災害が発生したときに総括安全衛生管理者などへ指示すること

(平成23年問9E)

都道府県労働局長は、労働安全衛生法第99条の2の規定により、労働災害が発生した場合において、その再発を防止するため必要があると認めるときは、当該労働災害に係る事業者に対し、期間を定めて、当該労働災害が発生した事業場の総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、統括安全衛生責任者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に都道府県労働局長の指定する者が行う講習を受けさせるよう指示することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働災害が発生したときに、都道府県労働局長は災害の再発を防止するために、総括安全衛生管理者など講習を受けさせるよう事業者に指示することができます。

指示を受けた事業者は、きちんと講習を受けさせなければなりません。

では最後に、労働災害が起きてなくても所定の事故が起きた場合の報告について問われている過去問を見ておきましょう。

 

ボイラーが破裂したらやるべきこと

(平成25年問9E)

労働安全衛生法施行令第1条第3号で定めるボイラー(同条第4号の小型ボイラーを除く。)の破裂が発生したときは、事業者は、遅滞なく、所定の様式による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働災害が発生していなくても、ボイラーの破裂だけでなく、事業場内での火災や爆発、クレーンが倒壊したなどの事故が発生した場合、事業者は、事故報告所轄労基署長へ行う必要があります。

これらの事故は、労働災害につながるものなので、再発させないようにするために報告を義務付けているのでしょうね。

 

今回のポイント

  • 都道府県労働局長は、労働災害の防止を図るために総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、事業者に対して安全衛生改善計画の作成指示することができます。
  • 建設業で「重大な労働災害」を生ずるおそれのある「特に大規模」な仕事についての計画の届出は、30日前までに厚生労働大臣に対して行います。
  • 都道府県労働局長は、作業環境測定や臨時の健康診断の実施について、労働衛生指導医事業場へ立ち入らせて関係者に質問をさせることができます。
  • 労働災害が発生したときに、都道府県労働局長は災害の再発を防止するために、総括安全衛生管理者など講習を受けさせるよう事業者に指示することができます。
  • 労働災害が発生していなくても、ボイラーの破裂や事業場内での火災・爆発、クレーンが倒壊したなどの事故が発生した場合、事業者は、事故報告所轄労基署長へ行う必要があります。

 

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今後の課題に目を向けることはもちろん大切ですが、

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