過去問

「社労士試験 労災保険法 介護(補償)給付の基本的なルールをおさらい!」過去問・労災-71

介護(補償)給付は、他の給付と比べて独自の色があるイメージがあるのは私だけでしょうか。

病院に入院してたらアウトとか、最低保証額を設定しているところなどがそう思わせているのかもしれません。

逆にいえば、他の給付と要件を混同しにくいので整理しやすいかもしれませんね。

それでは最初の問題を見ていきましょう。

この問題では、介護補償給付の支給要件について問われています。

ポイントは「常時または随時介護を受けている」ことですが、それ以外にどのような要件があるでしょうか?

 

介護補償給付の支給要件

(平成30年問2B)

介護補償給付は、障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であって厚生労働省令で定める程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間、当該労働者に対し、その請求に基づいて行われるものであり、病院又は診療所に入院している間も行われる。

 

解説

解答:誤り

介護補償給付は、病院診療所入院している間は「支給されません」。

介護補償給付のポイントは、

  • 障害補償年金または傷病補償年金の受給権者が、
  • 常時または随時介護を要する状態で かつ
  • 常時または随時介護を受けているときに
  • 介護を受けている間、

労働者の請求に基づいて行われるということです。

つまり、介護を要する状態であっても、介護を実際に受けていなければ介護補償給付は支給されないのですね。

で、病院や診療所に入院していれば、施設のスタッフの方が介護をしてくれるので介護補償給付は必要ないだろうということでしょうかね。

で、病院や診療所以外にも介護補償給付が支給されない所がありますので、次の問題を見てみましょう。

 

介護補償給付の支給要件 その2

(平成24年問3D)

労働者が老人福祉法の規定による特別養護老人ホームに入所している間については、介護補償給付は支給されない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

特別養護老人ホームや、障害者支援施設原子爆弾被爆者特別養護ホームへ入所している間も介護補償給付は支給されません。

さて、介護(補償)給付の額は、どれだけの額をどんな形で支給されるのでしょうか。

次の問題で確認してみましょう。

 

介護補償給付の額はどのようにして決まる?

(平成30年問2C)

介護補償給付は、月を単位として支給するものとし、その月額は、常時又は随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額とする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

介護補償給付の支給は「」が単位になります。

休業補償給付の場合は賃金を受けない「日」で、傷病補償年金は「年」ですから、その間の中間のスパンになりますね。

で、休業補償給付の月額は、常時介護と随時介護で最高限度・最低保障の金額がそれぞれ決められています。

令和3年度の場合、

  • 常時介護:最高限度額:171,650円 最低保障額:73,090円(どちらも月額)
  • 随時介護:最高限度額:85,780円 最低保障額:36,500円(どちらも月額)

となっています。

1円単位まで全て覚える必要があるかは疑問ですが、仮に選択式で出題されたとしても、数字の感覚を思い出せるくらいには復習しておくと良いと思います。

で、先ほど最低保障額の金額が出ていましたが、最低補償額は、親族などの介護を受けた日があって、介護の費用が最低補償額未満の場合に支給される金額となっています。

ですが、最低保障額も支払われないケースがありますので、それがどんな場合なのか次の問題を見てみましょう。

 

介護に要する費用と介護補償給付の関係

(平成25年問2E)

介護補償給付の額は、常時介護を要する状態の被災労働者については、支給すべき事由が生じた月において介護に要する費用として支出された額が、労災保険法施行規則に定める額に満たない場合にあっては、当該介護に要する費用として支出された額である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

介護補償給付は、介護補償給付を支給すべき事由が生じた月、つまり1ヶ月目は最低保証額が適用されず、介護費用の実費のみの支給となります。

なので、最低保証額が適用されるのは2ヶ月目以降ということになりますね。

では最後に、もし介護の費用がまったくなく、親族の介護しかなかった場合、介護(補償)給付の額がどうなるのかを確認しておきましょう。

 

親族の介護のみの場合の介護補償給付の額

(令和2年問6E)

介護補償給付は、親族又はこれに準ずる者による介護についても支給されるが、介護の費用として支出した額が支給されるものであり、「介護に要した費用の額の証明書」を添付しなければならないことから、介護費用を支払わないで親族又はこれに準ずる者による介護を受けた場合は支給されない。

 

解説

解答:誤り

介護の費用の支出がなく、親族などの介護しか受けていない場合でも介護補償給付の最低保証額が適用されます。

ですが、介護補償給付を支給すべき事由が生じた月に最低保証額が適用されないのは先ほどのとおりです。

 

今回のポイント

  • 介護補償給付は、病院診療所入院している間は「支給されません」。
  • 特別養護老人ホームや、障害者支援施設原子爆弾被爆者特別養護ホームへ入所している間も介護補償給付は支給されません。
  • 介護補償給付の支給は「」が単位になります。
  • 介護補償給付は、介護補償給付を支給すべき事由が生じた月は最低保証額が適用されず、介護費用の実費のみの支給となります。
  • 介護の費用の支出がなく、親族などの介護しか受けていない場合でも介護補償給付の最低保証額が適用されます。

 

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