「社労士試験 労働に関する一般常識 労働組合法 労働者と労働組合の関わり方とは」過去問・労一-27

今回は、労働組合法から労働者と労働組合との関係について見ていきたいと思います。

社労士試験では、時には判例から出題されることもありますが、

労働組合の目的や労働者の権利を頭の隅に置くことができればそこから判断できるものもありますので、この記事を読んで感じていただければ嬉しいです。

それでは過去問を見ていくことにしましょう。

最初の問題は、労働組合法が定義する「労働者」について問われています。

いろいろな法律で労働者の定義がなされていますが、労働組合法ではどうなっているのでしょうか?

 

労働組合法でいうところの「労働者」とは

(平成23年問5A)

労働組合法における「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働組合法では、労働者を賃金などの収入を得て生活する者のことを指しますが、現に働いていることは問われていないので失業者も労働者に含まれます

ちなみに、労働組合の定義は、

「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう」

とされています。

なので、一般的には労働組合は労働者の集まりといえそうですが、

労働者をどれだけ集められるかということは労働組合にとって大切なことになりますね。

そのための制度として、労働者を労働組合に集めるためにユニオンショップ制というものがあります。

これは、使用者が労働者を従業員として採用したときに特定の労働組合に入ることを強制するものなのですが、

こちらについては、判例が出ていて、社労士試験でも論点になっているので見てみましょう。

 

ユニオンショップ協定の効果

(令和2年問4D)

「ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されないものというべきである」から、「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、右の観点からして、民法90条の規定により、これを無効と解すべきである(憲法28条参照)。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

これは、使用者とユニオンショップ協定を結んだ労働組合から抜けた労働者を解雇するよう使用者に求めるものは無効という判例ですね。

労働者には労働組合を選ぶ自由があり、他にも労働組合があるのであればその団結権も尊重するべきということですね。

さて、労働組合を運営するにはお金が必要なわけですが、

組合員より組合費を徴収する時に、使用者とチェックオフ協定を結ぶことで労働者の賃金から組合費を天引きして労働組合に渡す仕組みがあるのです。

この、チェックオフ協定についても判例を論点とした出題がありますので見てみましょう。

 

チェックオフを拒否することはできる?

(平成25年問2C)

使用者が組合員の賃金から組合費を控除しそれを労働組合に引き渡す旨の、労働組合と使用者との間の協定(いわゆるチェック・オフ協定)は、それに反対する組合員にチェック・オフを受忍する義務を負わせるものではなく、組合員はいつでも使用者にチェック・オフの中止を申し入れることができるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

これは、労働基準法の賃金の全額払いの原則も関わっているのですが、

チェックオフ協定によって、使用者が労働組合の組合費を控除することができることになったとしても、

それは労基法の全額払いの原則に違反しないよ、ということに過ぎないので、

組合員に組合費の控除を受け入れる義務まではない、という判決になります。

ここでも労働者の労働組合の選択の自由があるということになりますね。

ここで、労働協約について見てみましょう。

労働協約は、労働組合と使用者との取り決めのことですが、そのルールがどこまでの効力があるのかを次の問題で確認しましょう。

 

労働協約の効力

(平成30年問4A)

ある企業の全工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の者が一の労働協約の適用を受けているとしても、その企業のある工場事業場において、その労働協約の適用を受ける者の数が当該工場事業場に常時使用される同種の労働者の数の4分の3に達しない場合、当該工場事業場においては、当該労働協約は一般的拘束力をもたない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

基本的に、4分の3以上の同種の労働者が労働協約の適用を受ける場合は、残りの同種の労働者についても労働協約の適用を受けることになっています。

ですが、事業場単位で見た時に、ある事業場が労働協約の適用を受ける労働者の4分の3に達しない場合は、その事業場については労働協約の適用を受けません。

では最後に、労働者にとって不利な労働条件に変更された労働協約が、労働者にどのような影響を及ぼすのかについて見ておきましょう。

原則として、労働組合は労働者の地位の向上のために活動しているわけですが、

もし、労働者に不利な内容に労働協約が変更された場合、その労働協約は有効なのでしょうか。

 

労働条件が不利益に変更された労働協約は有効?

 

(平成28年問2E)

労働条件を不利益に変更する内容の労働協約を締結したとき、当該協約の規範的効力が労働者に及ぶのかについて、「同協約が締結されるに至った以上の経緯、当時の被上告会社の経営状態、同協約に定められた基準の全体としての合理性に照らせば、同協約が特定の又は一部の組合員を殊更不利益に取り扱うことを目的として締結されたなど労働組合の目的を逸脱して締結されたもの」とはいえない場合は、その規範的効力を否定すべき理由はないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

これは、定年の年齢が引き下げられたことや退職金の制度が、一部の労働者について不利益に変更された判例からの出題です。

文中にある「規範的効力」というのは、労働協約の中にある労働者の待遇に関する部分のことを規範的部分というのですが、

その規範的部分が持っている、個々の労働契約の内容を規律する効力のことを規範的効力と呼びます。

なので、労働協約が労働者にとって不利益な方向で変更された場合に、個々の労働契約に規範的効力が及ぶのか、

ということになるんですが、この労働協約が結ばれるまでの経緯や会社の経営状態などを見渡したときに、

一定の合理性があるのであれば、規範的効力は個々の労働者の労働契約に及ぶという判例になっています。

 

今回のポイント

  • 労働組合法では、労働者を賃金などの収入を得て生活する者のことを指しますが、現に働いていることは問われていないので失業者も労働者に含まれます
  • 労働者には労働組合を選ぶ自由があり、他にも労働組合があるのであればその団結権も尊重するべきなので、使用者とユニオンショップ協定を結んだ労働組合から抜けた労働者を解雇するよう使用者に求めるものは無効という判例があります。
  • チェックオフ協定によって、使用者が労働組合の組合費を控除することができることになったとしても、それは労基法の全額払いの原則に違反しないよ、ということに過ぎないので、組合員に組合費の控除を受け入れる義務まではない、という判例があります。
  • 基本的に、4分の3以上の同種の労働者が労働協約の適用を受ける場合は、残りの同種の労働者についても労働協約の適用を受けることになっていますが、事業場単位で見た時に、ある事業場が労働協約の適用を受ける労働者の4分の3に達しない場合は、その事業場については労働協約の適用を受けません。
  • この労働協約が結ばれるまでの経緯や会社の経営状態などを見渡したときに、一定の合理性があるのであれば、労働者にとって不利益な労働協約であっても、その規範的効力は個々の労働者の労働契約に及ぶという判例があります。

 

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