安衛法は、「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」が目的条文に記載されています。
なので、労働者の安全と健康を守るにはどうするのか、ということが安衛法には規定されていますが、
事業をしている事業者にも当然、やらなければならないことがルール化されています。
それがどういう形で定められているのかを見ていくことにしましょう。
ただ、規定を丸暗記するのは大変なので、措置を講じる理由を合わせてイメージしておくと初見の問題にもある程度対応できるようになると思いますのでオススメです。
それでは最初の問題を見てみましょう。
この問題は「丸のこ盤」という工作機械に施す処理について問われています。
いわば回転するノコギリに対して労働者の安全をどのように守ることになっているのか確認しましょう。
丸のこ盤に対する事故を予防するための措置は?
(平成28年問8B)
事業者は、木材加工用丸のこ盤(製材用丸のこ盤及び自動送り装置を有する丸のこ盤を除く。)には、歯の接触予防装置を設けなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
丸のこ盤というのは、円盤の形をしたノコギリですが、身体が触れると非常に危険なので接触予防装置をつける必要があるのですね。
製材用丸のこ盤などが対象外になっているのは、たとえば製材用丸のこ盤は
(出典:厚生労働省 職場の安全サイト)
のような形をしているので、構造上つけることができないからでしょうかね。
ちなみに、自動送り装置のついた丸のこ盤はこんな形をしているようです。
(出典:厚生労働省 職場の安全サイト)
では、次は照明について問われた過去問がありますので見ておきましょう。
事務所の明るさにはどんな規定が?
(平成27年問8D)
事業者は、事務所の室(感光材料の取扱い等特殊な作業を行う室を除く。)における普通の作業を行う作業面の照度を、150ルクス以上としなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
普通の作業を行うときの照度は「150ルクス」以上にしておかなければなりません。
この150ルクスという明るさの程度ですが、100ルクスが町の街灯の下にいるときの明るさということなので、それよりも若干明るいということになります。
ちなみに、精密な作業をするときは300ルクス以上、粗な作業のときは70ルクス以上の明るさを確保するということになっています。
さて、次は通路についての規定を見てみましょう。
通路は人が歩く道ですから、障害物があると危ないですよね。
下の問題では、障害物についての数字が論点になっています。
通路に対する措置で気をつけること
(平成28年問8E)
事業者は、屋内に設ける通路について、通路面は、用途に応じた幅を有することとするほか、つまずき、すべり、踏抜等の危険のない状態に保持すると共に、通路面から高さ1.8メートル以内に障害物を置かないようにしなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
屋内に設ける通路については、まとめると、
- 用途に応じた幅を有すること。
- 通路面は、つまずき、すべり、踏抜等の危険のない状態に保持すること
- 通路面から高さ1.8メートル以内に障害物を置かないこと
という規定になっています。
1.8mという高さは、平均的な成人男性の平均身長が1.7m強(成人女性は1.6m弱)なので、それよりも少し高い数字になっていますね。
さて、次は高所で作業をするときに事業者が講じなければならない措置について確認しましょう。
労働者が作業場から落ちないようにするためにどのようなことが求められているのでしょう。
労働者が墜落しないために行うこと
(平成27年問8A)
事業者は、高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならず、それが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
高さが2メートル以上の作業床の端、開口部などで墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある場所には、
囲いや手すり、覆いなどをつける必要があります。
ちなみに、この規定には法改正があったところがあり、問題文には、「要求性能墜落制止用器具」とありますが、以前は「安全帯」という表現になっていました。
こちらについては、厚生労働省のチラシにイメージ図がありますのでよろしければご覧くださいね。
参考記事:安全帯が「墜落制止用器具」に変わります!
では最後に、事業者が講じなければならない措置に違反した場合に罰則があるのか見ておきましょう。
規定を作っても、事業者がそれに違反していたら労働者の安全は、、、?
講ずべき措置を怠った場合に罰則はある?
(平成28年問9E)
労働者は、労働安全衛生法第26条により、事業者が同法の規定に基づき講ずる危険又は健康障害を防止するための措置に応じて、必要な事項を守らなければならないが、その違反に対する罰則の規定は設けられていない。
解説
解答:誤り
安衛法26条には、事業主が講ずべき措置について必要な事項をきちんと守りなさい、という規定になっていて、これに違反すると50万円以下の罰金となります。
今回のポイント
- 事業者は、木材加工用丸のこ盤には、歯の接触予防装置を設ける必要があります(製材用丸のこ盤及び自動送り装置を有する丸のこ盤は除きます。)
- 普通の作業を行うときの照度は「150ルクス」以上にしておかなければなりません。
- 屋内に設ける通路については、まとめると、
- 用途に応じた幅を有すること。
- 通路面は、つまずき、すべり、踏抜等の危険のない状態に保持すること
- 通路面から高さ1.8メートル以内に障害物を置かないこと
という規定になっています。
- 高さが2メートル以上の作業床の端、開口部などで墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある場所には、囲いや手すり、覆いなどをつける必要があります。
- 安衛法26条には、事業主が講ずべき措置について必要な事項を守りなさいという規定になっており、違反すると50万円以下の罰金となります。
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