過去問

「厚生年金法 遺族厚生年金の支給要件が5分でわかる!」過去問・厚-39

遺族厚生年金の支給要件には保険料納付要件だったり、障害厚生年金の等級だったり、遺族の年齢がネックになったりと、色々と覚えることが多いですね。

どうしても整理できない場合は、自分で表を作ってみると意外とスンナリ頭に入ってきたりしますので試してみてくださいね。

それでは最初の問題を見ていきましょう。

これは、遺族厚生年金の支給要件にある、保険料納付要件についての問題になっています。

ちょっと戸惑うかもしれませんが、冷静に読んでみることにしましょう。

 

被保険者が未成年だった場合の遺族厚生年金は、、、

(平成28年問3ア)

20歳未満の厚生年金保険の被保険者が死亡した場合は、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。(問題文を再構成しています。)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

遺族厚生年金の保険料納付要件はいくつかありますが、保険料納付要件が問われるのは、

  1. 被保険者が死亡した場合
  2. 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき

となります。

問題文では「1」のケースになりますね。

ただ、問題文の方は未成年ですので国民年金の保険料を払う機会はありません。

厚生年金の方も、基本的には事業主が保険料を納付しているので、納付要件を問われることはありませんね。

なので、結果的にには遺族厚生年金の納付要件を満たすことになり、遺族厚生年金が支給されます。

ちなみに、「被保険者」が死亡した場合ですが、失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時、「被保険者」だったものも含みます。

では次も納付要件を論点にした過去問を見てみましょう。

今度は、障害厚生年金の受給権者が死亡した場合の納付要件です。

 

遺族厚生年金の保険料納付要件(障害厚生年金の受給権者)は?

(平成22年問10D)

障害等級1級及び2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、死亡した当該受給権者の国民年金の被保険者期間を問われることはない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、1級または2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡した場合は、保険料納付要件は「問われません」

遺族厚生年金で保険料納付要件が問われないケースは、

  1. 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
  2. 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間とを合算した期間が25年以上である者が死亡したとき

です。

でも、障害厚生年金の障害等級は「3級」もあったはずですが規定されていませんね。

3級の方がなくなった場合の保険料納付要件はどうなっているのでしょうか?

 

障害等級3級の場合、遺族厚生年金の保険料納付要件は?

(平成23年問9E)

障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡したときは、保険料納付要件を満たしていない場合であっても、その者の遺族に遺族厚生年金を支給する。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は遺族厚生年金を受給できません。

というのも、障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡した場合は、被保険者の場合と同様に保険料納付要件が問われるからです。

保険料納付要件が問われないのは、残念ながら障害等級の1級または2級の方だけなのです。

さて、保険料納付要件をクリアしたとして、肝心なのは遺族厚生年金を受け取れる遺族がいるのか、ということで次は遺族の要件について確認していきましょう。

まずは遺族の「年齢」による要件です。

 

遺族厚生年金の遺族の範囲

(令和元年問2D)

被保険者であった妻が死亡した当時、当該妻により生計を維持していた54歳の夫と21歳の当該妻の子がいた場合、当該子は遺族厚生年金を受けることができる遺族ではないが、当該夫は遺族厚生年金を受けることができる遺族である。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、子も夫も遺族厚生年金を受給することはできません。

つまり、遺族厚生年金を受け取ることができる遺族は、

  • 子、孫(18歳後の年度末を経過していないもの、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級のもので、かつ婚姻していない)
  • 夫、父母、祖父母(ただし全員55歳以上

となっています。

ちなみに、「夫、父母、祖父母」は55歳以上で受給権を得ることができたとしても、支給開始は60歳からとなります。

あと、遺族厚生年金の遺族の要件として、年齢のほかに生計維持の要件もあります。

そこで収入をチェックされるわけですが、年収850万円がキーワードになります。

では、下の過去問の場合はどのように判断されるのでしょう。

 

収入が下がったら遺族厚生年金を受給できる?

(平成29年問8E)

被保険者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたが、年収850万円以上の給与収入を将来にわたって有すると認められたため、遺族厚生年金の受給権を得られなかった配偶者について、その後、給与収入が年収850万円未満に減少した場合は、当該減少したと認められたときから遺族厚生年金の受給権を得ることができる。

 

解説

解答:誤

問題文のケースでは遺族厚生年金の受給権を得ることはできません。

生計維持関係の認定をする時は、その認定を行う時点で年収850万円以上の収入が将来にわたって有しないかを判断しますので、

認定時点に受給権を得られなければ、後に要件を満たしたとしてもダメなんです。

つまり、チャンスは一度きり、というわけです。。。

 

今回のポイント

  • 保険料納付要件が問われるのは、
  1. 被保険者が死亡した場合
  2. 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき  となります。
  • 保険料納付要件が問われないケースは、
    1. 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
    2. 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間とを合算した期間が25年以上である者が死亡したとき

     

  • 障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡した場合は、被保険者の場合と同様に保険料納付要件が問われます
  • 遺族厚生年金を受け取ることができる遺族は、
    • 子、孫(18歳後の年度末を経過していないもの、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級のもので、かつ婚姻していない)
    • 夫、父母、祖父母(ただし全員55歳以上

    となっています。

  • 生計維持関係の認定をする時は、その認定を行う時点で年収850万円以上の収入が将来にわたって有しないかを判断します

 

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