過去問

「社労士試験 徴収法 確定保険料の申告と納付の流れを確認しましょう」過去問・徴-57

確定保険料は、その名のとおり労働保険料が確定した旨の申告と納付を行うものです。

この記事では、その確定保険料の申告と納付がどのような流れで行われるのかを取り上げたいと思います。

内容としては、概算保険料と確定保険料の関係、還付や充当、追徴金について問われている過去問がありますので見ていきましょう。

1問目は、確定保険料の位置付けについて概算保険料との関係が論点になっています。

問題文では、色々と書いてありますが、順を追っていけば大丈夫ですので読んでみましょう。

 

確定保険料の申告と納付の位置付け

(平成23年労災問8D)

継続事業の事業主は、労働者数の増加等により、概算保険料の算定に用いる賃金総額の見込額が、既に納付した概算保険料の算定基礎とした賃金総額の見込額に比べて増加することとなったが、増加概算保険料の納付の要件に該当するに至らなかった場合には、確定保険料の申告・納付の際に精算する必要がある。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

概算保険料を納付する時点では、あくまで「概算」の労働保険料を納付した形になるので、労働者数の変動によって確定保険料の額が変わってきます

たとえ、増加概算保険料を納付するまでにならなかったとしても、確定保険料を申告するときに、労働保険料の精算をして納付する形になります。

ちなみに、確定保険料継続事業の場合、通常は6月1日から40日以内で、

年度の途中で保険関係が消滅したときは、その時から50日以内になっています。

有期事業は、保険関係が消滅してから50日以内ですね。

で、もし労働者数が減って概算保険料よりも確定保険料の方が少ない場合はどうするのでしょう。

納める確定保険料がないのですから何もしなくていいのでしょうか。

 

確定保険料を払う必要がないときは?

(平成30年雇用問9イ)

確定保険料申告書は、納付した概算保険料の額が確定保険料の額以上の場合でも、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

確定保険料が概算保険料より少ない状態で納付する必要がなくても、確定保険料申告書を提出する必要があります。

提出先は、「歳入徴収官」です。

すでに納付した概算保険料の方が確定保険料よりも多いことになるので、お金を払いすぎている状態なわけですが、

その余った労働保険料はどうなるのでしょう。

次の過去問で確認しましょう。

 

余った労働保険料を還付請求しなかったら?

(平成24年雇用問10D)

継続事業の事業主が納付した労働保険料の額が、確定保険料の額を超える場合において還付請求が行われないとき、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、法令の定めるところにより、その超える額を次の保険年度の概算保険料又は未納の労働保険料等に充当する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

概算保険寮の額が確定保険料の額を超える場合、その金額について還付の請求をすることができます

タイミング的には、確定保険料の申告書を提出するときですが、

もし確定保険料の認定決定が行われたときは、その通知を受けた日から10日以内に請求書を提出します。

ただ、「還付請求ができる」ということは、還付請求をしないこともできるわけで、

還付請求がない場合は、次の年度の概算保険料や一般拠出金などに充当されることになります。

一般拠出金というのは、石綿(アスベスト)による健康被害者の救済費用にあてるために労災保険の適用事業の事業主が負担しているものです。

で、労働保険料が充当された場合のルールについて問われた過去問がありますので見てみましょう。

一体どんな決まりになっているのでしょうか。

 

労働保険料を充当したときは、、、

(平成29年雇用問8イ)

事業主による超過額の還付の請求がない場合であって、当該事業主から徴収すべき次の保険年度の概算保険料その他未納の労働保険料等があるときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、当該超過額を当該概算保険料等に充当することができるが、この場合、当該事業主による充当についての承認及び当該事業主への充当後の通知は要しない。

 

解説

解答:誤り

超過した労働保険料を次の概算保険料に充当したとき、歳入徴収官はその旨を事業主に通知する必要があります。

それはそうですよね。

行政側が事業主のお金を動かしたわけですから通知くらいはしてほしいですね。

さて、逆に確定保険料を納付しなかったりすると、確定保険料の認定決定が行われるわけですが、追徴金の徴収もされます。

追徴金の金額は、納付するべき額の100分の10となっています。

では、その追徴金の通知がどのような形で行われるのか最後に見ておきましょう。

 

追徴金のの通知方法は?

(平成25年雇用問9E)

労働保険徴収法第21条第1項の規定に基づき追徴金の徴収が行われる場合に、所轄都道府県労働局歳入徴収官が行う追徴金の額等の通知は、納入告知書によって行われる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

追徴金の通知は、「納入告知書」で行われます。

ちなみに、確定保険料の認定決定も「納入告知書」です。

で、概算保険料の認定決定は「納付書」で行われます。

「納付書」は、まだ表現が優しい感じがしますが、確定保険料の認定決定や追徴金は、金額が確定しているものであり、それを申告・納付しないので、「納入告知書」というちょっとキビシイ感じになっていると覚えておくといいと思います。

 

今回のポイント

  • 概算保険料を納付する時点では、あくまで「概算」の労働保険料を納付した形になるので、労働者数の変動によって確定保険料の額が変わってきますので、確定保険料を申告するときに、労働保険料の精算をして納付する形になります。
  • 確定保険料が概算保険料より少ない状態で納付する必要がなくても、「歳入徴収官」に確定保険料申告書を提出する必要があります。
  • 概算保険寮の額が確定保険料の額を超える場合、確定保険料の申告書を提出するときや、確定保険料の認定決定の通知を受けた日から10日以内に請求書を提出することで、その金額について還付の請求をすることができます
  • 還付請求がない場合は、次の年度の概算保険料や一般拠出金などに充当されることになりますが、超過した労働保険料を次の概算保険料に充当した場合、歳入徴収官はその旨を事業主に通知する必要があります。
  • 追徴金の通知は「納入告知書」で行われます。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

過去問は解くだけでなく、「見る」のも勉強になります。

どんな知識が多く問われているのか、逆にほとんど問われていない論点も分かります。

優先すべきことは、多く問われている知識です。

それを自分のものにすることにより、

いかに取りこぼしを減らすかが合格へのカギです。

 

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