過去問

「社労士試験 労働に関する一般常識 賃金(所得)についての統計イメージを確認しましょう」過去問・労一-21

今回は厚生労働白書から賃金(所得)について取り扱った過去問(平成30年問2)を見ていきたいと思います。

社労士試験の勉強をする上で、白書や統計についての対策は、とにかく「浅く広く何度も」です。

統計の数字を覚えるまでの必要性はなく、おおよその傾向を掴んでおくにとどめておいて、

サラッと繰り返し見ていく勉強が良いと思います。

どれが出るのか絞りきれない項目ですので、あまり深入りするのは危険だからです。

なので、この記事についても、「あ〜そうなんだ〜」くらいの感覚で結構ですので、イメージを掴んでいただけましたら幸いです。

それでは最初の問題に入っていきますね。

1問目は、世帯あたりの所得金額の総額が下がっているということで、その理由について問われていますので見ていきましょう。

 

1世帯あたりの総所得金額の平均額が減少している理由

(平成30年問2A)

1990年代半ばから2010年代半ばにかけての全世帯の1世帯当たり平均総所得金額減少傾向の背景には、高齢者世帯割合の急激な増加がある。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

全世帯の1世帯当たりの平均総所得金額は、1985年から上昇を続けた後、1994年の 664.2万円をピークに減少傾向が続いていましたが、

その、減少傾向の背景には、高齢者世帯割合の急激な増加があります。

高齢者世帯が全世帯に占める割合は増加傾向にあって、1986年の6.3%から2016年には26.6%と、30年で4倍以上となっています。

これは核家族化が進んだということなんでしょうね。

で、高齢者世帯は、所得の水準が低い傾向にあるので、全世帯の総所得金額の平均額が下がる要因となるわけです。

次の問題は、貧困率が論点になっています。

貧困率には、絶対的貧困と相対的貧困があり、

絶対的貧困率というのは、家や食べ物がないなど、人が生きていく上で最低限の条件を欠いているような状態を言います。

一方、相対的貧困というのは、その国の中の生活水準や文化水準で比較した場合に貧しい状態を指しています。

次の問題では、相対的貧困率について問われていますので見てみましょう。

 

相対的貧困率の推移はどうなっているのか

(平成30年問2B)

「国民生活基礎調査(厚生労働省)」によると、年齢別の相対的貧困率は、17歳以下の相対的貧困率(子どもの貧困率)及び18~64歳の相対的貧困率については1985年以降上昇傾向にあったが、直近ではいずれも低下している。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

17歳以下と、18〜64歳の相対的貧困率1985年以降上昇傾向でしたが、

2012年から2015年にかけて、経済が好転し、雇用が増加したことによって、特に児童のいる世帯の所得が増加したこともあって低下しています。

所得の格差については、「ジニ係数」というのもありますので、一度ご確認なさってみてくださいね。

さて、次は非正規雇用の労働者について取り扱った統計です。

非正規雇用労働者が雇用労働者の中でどれくらいの割合を占めているのかが問われているものですので読んでみましょう。

 

非正規雇用労働者の比率の変化

(平成30年問2C)

非正規雇用労働者が雇用労働者に占める比率を男女別・年齢階級別にみて1996年と2006年を比較すると、男女ともに各年齢層において非正規雇用労働者比率は上昇したが、2006年と2016年の比較においては、女性の高齢層(65歳以上)を除きほぼ同程度となっており、男性の15~24歳、女性の15~44歳層ではむしろ若干の低下が見られる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

1996年と2006年を比べると総じて非正規雇用労働者の比率は上がって()います。

一方、2006年と2016年を比較した場合、65歳以上の女性は上昇()していますが、15〜24歳の男性と15歳〜44歳の女性では、その割合が下がって()います。

これは、大学の進学率であったり、育児休業の浸透などが影響しているのかもしれませんね。

このように、見た資料について自分なりの感想を持っておくと、イメージが定着しやすいですのでオススメです。

では、賃金の方はどうなっているのでしょうか。

次の問題では、どれだけの賃金を労働者がもらっているのかということを産業ごとに分けたものになっていています。

 

産業間での賃金格差はどうなっているのか

(平成30年問2D)

2016年の労働者一人当たりの月額賃金については、一般労働者は、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業など、非正規雇用労働者割合が高い産業において低くなっており、産業間での賃金格差が大きいが、パートタイム労働者については産業間で大きな格差は見られない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

非正規雇用の労働者の割合が高い宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業の一般労働者の月額賃金は、他の産業と比べて低い傾向にあります。

一般労働者の月額賃金が低いために離職率が高く、非正規雇用の労働者の割合が高いと見ることができるかもしれませんね。

また、パートタイム労働者の視点で見た場合、賃金に産業間で大きな開きはありません

ここでいうパートタイム労働者というのは、常用労働者のうち、

  •  1 日の所定労働時間が一般の労働者より短い者
  • 1 日の所定労働時間が一般の労働者と同じで 1 週の所定労働日数が一般の労働者よりも短い者

のことです。

これは、産業ごとに賃金がそろえているというよりも、パートタイム労働者の方が収入額を調整している可能性があります

たとえば、配偶者の扶養の範囲内に収めたいとか、社会保険の適用にならないように働く時間を制限するといった具合ですね。

それでは最後に、パートタイム労働者の賃金額の推移を見てみましょう。

これは先ほどの問題が参考になりそうですので、頭の隅に置いておきながら読んでみましょう。

 

パートタイム労働者の賃金額の変化

(平成30年問2E)

過去10年にわたってパートタイム労働者の時給が上昇傾向にあるため、パートタイム労働者が1か月間に受け取る賃金額も着実に上昇している。

 

解説

解答:誤り

最低賃金が上がり続けているので、必然的にパートタイム労働者の時給も上昇していっていますが、

パートタイム労働者の月額での賃金で見た場合、賃金が上昇とは連動せず、あまり上昇していません。

白書によると、パートタイム労働者の時給や労働日数から年収に換算すると、100万円前後に集中しているとのことなので、

配偶者の扶養内に収入を収めようとしているのでしょうね。

 

今回のポイント

  • 社労士試験の勉強をする上で、白書や統計についての対策は、とにかく「浅く広く何度も」です。
  • 見た資料について自分なりの感想を持っておくと、イメージが定着しやすいですのでオススメです。

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

過去問は解くだけでなく、「見る」のも勉強になります。

どんな知識が多く問われているのか、逆にほとんど問われていない論点も分かります。

優先すべきことは、多く問われている知識です。

それを自分のものにすることにより、

いかに取りこぼしを減らすかが合格へのカギです。

 

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