労働契約法において、「使用者とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者」と定義されていますが、その定義の仕方についても、労働基準法を引き合いにして出題されています。
さて、労働契約法の使用者は、労働基準法に定義されている使用者と同じ意味なのでしょうか?
労働契約法と労働基準法の「使用者」の違いとは?
(平成29年問1A)
労働契約法第2条第2項の「使用者」とは、「労働者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」をいうが、これは、労働基準法第10条の「使用者」と同義である。
解説
解答:誤
これは通達に出ているのですが、労働契約法と労働基準法の「使用者」は必ずしも同じ意味ではなく、労働基準法10条に書かれている「使用者」よりももっと範囲が狭いようです。
下記の通達を見てみましょう。
(平成24年8月10日基発0810第2号) 労働契約法第2条第2項の「使用者」とは、「労働者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」をいうものであること。したがって、個人企業の場合はその企業主個人を、会社その他の法人組織の場合はその法人そのものをいうものであること。 これは、労働基準法第10条の「事業主」に相当するものであり、同条の「使用者」より狭い概念であること。
つまり、労働基準法10条では、「この法律で使用者とは、『事業主』又は『事業の経営担当者』その他『その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者』をいう。」と書かれています。
労働契約法の使用者は、『労働基準法10条にある「事業主」のところだけでオッケー』ということで、その他の「事業の経営担当者」とかは含まれない、ということですね。
なので、私が試験勉強をしていた時の労働契約法の「使用者」は、「会社」であって取締役とかは関係ない、というふうにイメージして覚えていました。
今回のポイント
「使用者」の定義について、労働契約法と労働基準法では、範囲が違います。
労働契約法の使用者≒労働基準法の事業主
といったところでしょうか。
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