厚生年金の資格の得喪について、社労士試験では、資格の取得や喪失のタイミング、確認、被保険者期間などいろいろな角度から出題されていますね。
しかも、共済が厚生年金へ一元化されたことから制度もさらにややこしいことになってきました。
これだけでも厚生年金を遠ざけてしまいたくなってしまいたくなっちゃいますね。苦笑
なので、厚生年金をキライになってしまう前に気をつけたいことは、
「一度に全部理解しようとしないこと」
です。
短時間に知識を詰め込もうとすると、脳が拒否反応をしめしてしまい、いくらインプットしようとしても頭に入って行きません。
ですから、壁にペンキを塗るようなイメージで「サッと・何回も」という意識で繰り返し勉強を進めていくと最終的には近道になります。
気を楽にして進んでいきましょう。
では最初の問題です。
第1号被保険者の資格について、その取得や喪失がどのように行われるのかが論点になっていますので見ていくことにしましょう。
第1号厚生年金被保険者の資格の得喪はどうやって行われる?
(平成28年問10A)
第1号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失に係る厚生労働大臣の確認は、事業主による届出又は被保険者若しくは被保険者であった者からの請求により、又は職権で行われる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
第1号厚生年金被保険者についての資格の得喪は、被保険者・被保険者だった者からの請求や、職権によって厚生労働大臣が確認を行います。
ちなみに、第2号厚生年金被保険者(国家公務員共済)、第3号厚生年金被保険者(地方公務員共済)、第4号厚生年金被保険者(私立学校教職員共済)の資格の得喪は対象外です。
つまり、それぞれの共済で行われるということですね。
ですが、第1号厚生年金被保険者でも資格喪失の確認を厚生労働大臣がやってくれないケースもあります。
それはどういうことなのでしょうか。
次の過去問で確認しましょう。
被保険者の資格喪失確認を厚生労働大臣がしてくれない、、、?
(平成29年問3ア)
適用事業所以外の事業所に使用される任意単独被保険者の被保険者資格の喪失は、厚生労働大臣の確認によってその効力を生ずる。
解説
解答:誤
任意単独被保険者の場合、被保険者資格の取得や喪失について、厚生労働大臣の確認は不要です。
任意単独被保険者は、適用事業所の当然被保険者と違って、適用事業所ではないところで使用されている人が「任意」に被保険者になるものです。
任意単独被保険者になるとき、やめるときは厚生労働大臣の「認可」が必要になるので、あらためて確認する必要ないということですね。
では、厚生労働大臣の確認が不要なパターンをもう一つ見てみましょう。
次は、「事業所単位」でのお話になります。
適用事業所じゃなくなった場合の被保険者資格の喪失確認
(平成29年問3オ)
任意適用事業所に使用される被保険者について、その事業所が適用事業所でなくなったことによる被保険者資格の喪失は、厚生労働大臣の確認によってその効力を生ずる。
解説
解答:誤
任意適用事業所を適用事業所でなくする時は、厚生労働大臣の認可を受けますので、認可を受けて適用事業所でなくなった場合、被保険者の資格喪失の確認は不要となります。
先ほどの任意単独被保険者、今回の任意適用事業所に共通するのは、「厚生労働大臣の認可」ですね。
厚生労働大臣の認可という手続きを経ているので、わざわざ確認まで必要ないでしょ、ということですね。
さて、次は第1号厚生年金被保険者に目を向けてみましょう。
このご時世、副業や兼業がブームになっていますね。
第1号厚生年金被保険者と第1号厚生年金被保険者の掛け持ちはできます(「二以上事業所勤務届」を提出)が、
第1号厚生年金被保険者と他の種類の厚生年金被保険者との掛け持ちはできるのでしょうか。
次の問題で確認しましょう。
第1号厚生年金被保険者の兼業??
(平成28年問6C)
第1号厚生年金被保険者である者が同時に第4号厚生年金被保険者の資格を有することとなった場合、2以上事業所選択届を、選択する年金事務所又は日本私立学校振興・共済事業団に届け出なければならない。
解説
解答:誤
問題文の場合、第4号厚生年金被保険者の資格を有することになった時に、第1号厚生年金被保険者の資格を喪失してしまうので、2以上事業所選択届を提出する余地がありません。
規定では、
(異なる被保険者の種別に係る資格の得喪)
法18条の2
1 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者は、第13条の規定にかかわらず、同時に、第1号厚生年金被保険者の資格を取得しない。
2 第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者の資格を有するに至つたときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失する。
となっています。
では最後に、事例問題に触れておきましょう。
被保険者の資格を取得するタイミング、喪失するタイミングを意識することがポイントです。
被保険者期間の計算方法
(平成30年問9B)
被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、例えば、平成29年10月1日に資格取得した被保険者が、平成30年3月30日に資格喪失した場合の被保険者期間は、平成29年10月から平成30年2月までの5か月間であり、平成30年3月は被保険者期間には算入されない。なお、平成30年3月30日の資格喪失以後に被保険者の資格を取得していないものとする。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
被保険者の資格は、基本的に「月」でカウントします。
問題文の場合、資格取得のスタートは平成29年の10月です。
気をつけたいのは資格を喪失するタイミングですが、平成30年3月30日に資格を喪失しているので、被保険者の期間としては資格を喪失した月の「前の月」までがカウントされます。
なので、平成29年10月〜平成30年2月までの5ヶ月が被保険者期間となるのです。
今回のポイント
- 第1号厚生年金被保険者についての資格の得喪は、被保険者・被保険者だった者からの請求や、職権によって厚生労働大臣が確認を行います。
- 任意単独被保険者の場合、被保険者資格の取得や喪失について、厚生労働大臣の確認は不要です。
- 任意適用事業所を適用事業所でなくする時は、厚生労働大臣の認可を受けますので、認可を受けて適用事業所でなくなった場合、被保険者の資格喪失の確認は不要となります。
- 第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者の資格を有するに至つたときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失します。
- 被保険者期間は、資格を取得した月からスタートし、資格を喪失した前の月までが対象になります。
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