私が受験勉強をしているとき、高齢者医療確保法は毎年と言っていいほど出題されているので、重要科目というのが分かっていても、ちょっと苦手な法律でした。
社会保険の一般常識を勉強する時期といえば、一通りの科目の勉強が終わってほかの科目の復習を開始する時期、
いわゆる「皿回し」の段階に入っている関係上、高齢者医療確保法だけに時間を取ることが難しかったせいもあり、
勉強時間が足りていなかったこともあると思います。
でも、まったく勉強しないわけにはいかないので、「ざっと」問題演習をして「さっと」テキストを確認する程度だったですね。
具体的には、テキストに太字で記載されている論点を押さえる程度というのが現実的なラインでした。
その辺りの「何を」「どこまで時間をかけて」勉強をするか、その配分が難しいですよね。
それを克服するキーワードは
「ざっと」×「何回も」
ですね。
一度に勉強する時間は短くても、たとえ1分であっても何回も繰り返して勉強することで自分に定着していきます。
ぜひお試しくださいね。
それでは最初の問題です。
高齢者医療制度について、「どこが」「何をするのか」が論点になっています。
問題文にある言葉の言い回しに注意してみましょう。
高齢者医療制度の施策を実施するのはどこ?
(平成24年問10A)
高齢者の医療の確保に関する法律について、国は、この法律の趣旨を尊重し、住民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組及び高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策を実施しなければならない。(問題文を再構成しています)
解説
解答:誤り
「国」ではなく、「地方公共団体」は、高齢者医療確保法の趣旨を尊重して、
- 住民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組
- 高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策
を実施しなければなりません。
この問題については、知識として持っていなかったとしても、「国」が「国民」ではなく、「住民」という呼び方
をしているのに違和感を持つことができればこっちのものですね。
ちなみに、国の責務はどうなっているのかというと、
国は、国民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組が円滑に実施され、
高齢者医療制度の運営が健全に行われるよう必要な各般の措置を講ずるとともに、
第1条に規定する目的の達成に資するため、医療、公衆衛生、社会福祉その他の関連施策を積極的に推進しなければならない。
となっています。
なんだか都道府県よりも抽象的な表現になっていると思ってしまったのは私だけでしょうか。笑
次に、高齢者医療確保法の保険者がどこなのか確認しましょう。
健康保険法であれば、保険者は全国健康保険協会や健康保険組合でしたね。
高齢者医療確保法の保険者
(平成29年問8C)
高齢者医療確保法における保険者には、医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う全国健康保険協会、健康保険組合、都道府県及び市町村(特別区を含む)、国民健康保険組合のほか、共済組合及び日本私立学校振興・共済事業団も含まれる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
高齢者医療確保法での保険者は、
- 全国健康保険協会
- 健康保険組合
- 都道府県及び市町村(特別区を含む。)
- 国民健康保険組合
- 共済組合
- 日本私立学校振興・共済事業団
というゴールデンメンバー総出演という感じですね。
もうみんなで高齢者医療を支えよう!という感じですね。
昔サラリーマンや公務員だったとしても、75歳になれば後期高齢者医療に入るわけですから、みんなで保険者をやっているんでしょうかね。
ちなみに、問題文にある「医療保険各法」は以下のとおりです。
- 健康保険法
- 船員保険法
- 国民健康保険法
- 国家公務員共済組合法
- 地方公務員等共済組合法
- 私立学校教職員共済法
もちろん全部覚える必要はなく、「あぁそうなんだ」くらいで十分だと思います。
さて、あなたもご存知のことと思いますが、医療費は年々増加しており、どうやって医療費を下げればいいのか、
という課題がありますが、先ほどの問題にあったように、
「高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策」を担当している地方公共団体も例外ではありません。
そのために、医療費適正化計画というものがあるのですが、その計画が何年ごとに区切られているのか、それが次の問題の論点になっていますので、見ておきましょう。
都道府県の医療費適正化計画の計画期間は?
(平成30年問7A)
都道府県は、医療費適正化基本方針に即して、5年ごとに、5年を1期として、当該都道府県における医療費適正化を推進するための計画(以下本問において「都道府県医療費適正化計画」という。)を定めるものとする。
解説
解答:誤り
都道府県医療費適正化計画は、「5年ごとに、5年を1期」ではなく、「6年ごとに、6年を1期」として定められています。
ちなみに、都道府県医療費適正化計画が終了すると、
都道府県は、計画の期間の終了の日の属する年度の翌年度において、その計画に掲げる目標の達成状況や施策の実施状況に関する調査や分析をして、計画の実績に関する評価を行うことになっています。
この、「翌年」のキーワードは押さえておくようにしましょう。
ところで、後期高齢者医療がどこまでの給付をするのか確認しておきましょう。
問題文では、死亡に関しては給付をしないとなっていますが、、、
後期高齢者医療の給付の範囲とは
(平成29年問8A)
後期高齢者医療は、高齢者の疾病又は負傷に関して必要な給付を行うものとしており、死亡に関しては給付を行わない。
解説
解答:誤り
後期高齢者医療は、「死亡」に関しても給付が行われます。
つまり、後期高齢者医療は、「疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行う」と規定されているのです。
死亡の場合、具体的には「葬祭費」という名目で給付が行われているようです。
ちなみに、私の住んでいる自治体の葬祭費は5万円でした。
あなたの住んでいるところではどうでしょうか?
では最後に後期高齢者医療の保険料を徴収しているのはどこなのかを見ておきましょう。
やはり、被保険者にとって一番身近なお役所、ということになるのでしょうか。
後期高齢者医療の保険料を徴収するのはどこ?
(平成23年問8A)
都道府県及び市町村(特別区を含む。)は、後期高齢者医療に要する費用(財政安定化基金拠出金及び第117条第2項の規定による拠出金の納付に要する費用を含む。)に充てるため、保険料を徴収しなければならない。
解説
解答:誤り
後期高齢者医療の保険料は、「都道府県及び市町村」ではなく、「市町村(特別区を含む)」がを徴収しています。
都道府県が絡むと対象者数が多すぎて大変なことになりそうですね。笑
今回のポイント
- 「地方公共団体」は、高齢者医療確保法の趣旨を尊重して、
- 住民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組
- 高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策
を実施しなければなりません。
- 高齢者医療確保法での保険者は、
- 全国健康保険協会
- 健康保険組合
- 都道府県及び市町村(特別区を含む。)
- 国民健康保険組合
- 共済組合
- 日本私立学校振興・共済事業団
という主演メンバー総出演という感じですね。
- 都道府県医療費適正化計画は、「6年ごとに、6年を1期」で定められています。
- 後期高齢者医療は、「疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行う」と規定されています。
- 後期高齢者医療の保険料は、「市町村(特別区を含む)」がを徴収しています。
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