過去問

「社労士試験 健康保険法 資格喪失後の給付のキモはこれ!」過去問・健保-48

社労士試験で、健康保険法の被保険者が、資格を喪失したときの給付の取り扱いについて、結構な頻度で出題されています。

傷病手当金の支給要件や、逆に不支給になる事由、他の給付の取り扱いなど、ツッコミどころが多いためかもしれませんね。

問題文もそこそこ長いので、読み飛ばさないようにすることも大切です。

要件を整理した上で、問題文に当てはめて落ち着いて判断できるようにしましょう。

では最初の問題です。

健康保険の被保険者の資格を喪失した後、傷病手当金を受給するための要件について問われています。

さてどんな要件を満たす必要があるのでしょうか。

 

資格喪失後に傷病手当金を受けるための条件

(令和元年問8D)

資格喪失後の継続給付としての傷病手当金を受けるためには、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったことが要件の1つとされているが、転職等により異なった保険者における被保険者期間(1日の空白もなく継続しているものとする。)を合算すれば1年になる場合には、その要件を満たすものとされている。なお、これらの被保険者期間には、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者の期間は含まれないものとする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

資格喪失をしても傷病手当金を引き続き受給するためには、

資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったこと

が条件ですが、「被保険者であったこと」については必ずしも一つの会社にいたということでなくても大丈夫です。

つまり、問題文のように転職をしててもオーケーですが、

1日の空白もなく継続している

ことが要件になっています。

ただ、被保険者の種類については、任意継続被保険者、特例退職被保険者や共済組合の組合員である被保険者の期間は含まれないということになっています。

では次に傷病手当金を受給できる期間に目を向けてみましょう。

会社を辞めて健康保険の被保険者の資格を喪失したときに、いつまで傷病手当金は支給されるのでしょうか。

下の問題文を読むとき、「起算日」を意識しながら確認しましょう。

 

資格喪失後に傷病手当金が支給される期間

(平成30年問9A)

被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、その資格を喪失した際、その資格を喪失した日の前日以前から傷病手当金の支給を受けている者は、その資格を喪失した日から1年6か月間、継続して同一の保険者から当該傷病手当金を受給することができる。

 

解説

解答:誤

資格喪失後の傷病手当金は、「資格喪失日から」1年6か月間ではなく、その傷病手当金の支給を始めた日から起算して1年6月を超えない期間の間、支給されることになります。

なので、被保険者の資格を喪失してもしなくても、傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷について最大1年6か月ということですね。

ここはうっかり問題文を読み飛ばさないように気をつけたいところです。

しかし、1年6か月どころか資格を喪失したら傷病手当金を受け取れない場合もあるのです。

それはいったいどういうことなのでしょうか。

次の問題を見てみましょう。

 

資格喪失後の傷病手当金を受け取れないケースとは?

(平成27年問9C)

継続して1年以上健康保険組合の被保険者(任意継続被保険者又は特例退職被保険者を除く。)であった者であって、被保険者の資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている者は、資格喪失後に任意継続被保険者となった場合でも、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から傷病手当金を受けることができるが、資格喪失後に特例退職被保険者となった場合には、傷病手当金の継続給付を受けることはできない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、継続して1年以上健康保険組合の被保険者だった者でも、資格を喪失して特例退職被保険者になった場合は、継続して傷病手当金を受け取ることはできません

ただ、この問題では特例退職被保険者のお話でしたが、任意継続被保険者の場合は、所定の要件を満たしていれば傷病手当金が支給されます。

この論点については、令和2年度の社労士試験にも出題されていますので、こちらも見ておきましょう。

 

資格喪失後の傷病手当金を受け取れないケース その2

(令和2年問6A)

被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、その資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている者が、その資格を喪失後に特例退職被保険者の資格を取得した場合、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。

 

解説

解答:誤

特例退職被保険者の場合、被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者だったとしても、傷病手当金を継続して受け取ることはできません。

では最後に、特例退職被保険者ではなく、船員保険の被保険者になった場合の取り扱いについて確認しましょう。

傷病手当金だけではなく、他の給付にも注目です。

 

健康保険の被保険者から船員保険の被保険者になったら、、、

(平成26年問8A)

被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは、傷病手当金又は出産手当金の継続給付、資格喪失後の死亡に関する給付及び資格喪失後の出産育児一時金の給付は行われない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

健康保険の被保険者だった者が、船員保険の被保険者になった場合、以下の給付は行われないことになります。

  • 傷病手当金又は出産手当金継続給付(法104条)
  • 資格喪失後の埋葬料など死亡に関する給付(法105条)
  • 資格喪失後の出産育児一時金の給付(法106条)

 

今回のポイント

  • 資格喪失をしても傷病手当金を引き続き受給するためには、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったこと(通算も可)」、1日の空白もなく継続していることが要件になっています。
  • 資格喪失後の傷病手当金は、その傷病手当金の支給を始めた日から起算して1年6月を超えない期間の間、支給されることになります。
  • 継続して1年以上健康保険組合の被保険者だった者でも、資格を喪失して特例退職被保険者になった場合は、継続して傷病手当金を受け取ることはできません
  • 健康保険の被保険者だった者が、船員保険の被保険者になった場合、以下の給付は行われないことになります。
    • 傷病手当金又は出産手当金継続給付(法104条)
    • 資格喪失後の埋葬料など死亡に関する給付(法105条)
    • 資格喪失後の出産育児一時金の給付(法106条)

 

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