今回は、継続事業のメリット制について見ていきたいと思いますが、
何度見てもメリット制の苦手意識は完全には取れないです。苦笑
でも、何度も触れることでその苦手意識は軽くなっていきますので、
一度に仕上げようとせず、少しずつではあっても回数でカバーすることで攻略できますので頑張っていきましょう。
それでは最初の問題に入っていきたいと思います。
メリット制は、納めた保険料に対してどれだけの給付を行なったかによって将来の労災保険率が変わる仕組みですが、
このメリット制がどのように運用されているのかが最初の問題のテーマになっているので見ていきましょう。
メリット制の運用方法
(平成24年労災問9ウ)
継続事業(一括有期事業を含む。)に係るいわゆるメリット制は、連続する3保険年度中の各保険年度においてその適用を受けることができる事業であって、当該連続する3保険年度中の最後の保険年度の3月31日において労災保険に係る保険関係の成立後3年以上経過したものについて、その連続する3保険年度の間におけるいわゆるメリット収支率を基礎として運用される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
まず、メリット制が適用されるためには、労災保険の保険関係が3年以上成立していることが条件になっていて、
その連続する3年の保険年度分のメリット収支率を基に運用されることになっています。
メリット収支率というのは、平たくいうと業務災害の給付額と労災保険料などの納付額の割合のことです。
納めた労災保険料などに対して、保険給付の額が多ければ、保険料が上がっていきますし、
逆に、業務災害がなければ保険料は安くなる仕組みになっています。
ただ、この継続事業のメリット制は、継続事業であれば適用されるわけではなく、一定の規模要件があるようです。
これがどのようになっているのか次の問題で見てみましょう。
メリット制の適用を受けるためには
(平成24年労災問9イ)
継続事業(一括有期事業を含む。)に係るいわゆるメリット制の適用を受けることができる事業は、連続する3保険年度中の各保険年度において、少なくとも次のいずれかに該当する事業であることが必要である。
①100人以上の労働者を使用する事業
②20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって所定の要件を満たすもの
③規模が、建設の事業及び立木の伐採の事業について当該保険年度の確定保険料の額が40万円以上であるもの
解説
解答:正
問題文のとおりです。
一括有期事業を含めた継続事業が、メリット制の適用を受けるには、
- 100人以上の労働者を使用する事業
- 20人以上100人未満の労働者を使用する事業で災害度係数が0.4以上であること
- 建設の事業及び立木の伐採の事業であって当該年度の確定保険料の額が40万円以上であること
のいずれかの条件を満たしている必要があります。
災害度係数というのは、その事業の「労災保険率」から、通勤災害など業務災害以外のものを考慮した「非業務災害率」を引いた率と、その事業の労働者数を掛け合わせたものになります。
なので、業務災害が起きる一定以上のリスクがある事業が対象になるということですね。
さて、次は将来の保険料の額を左右するメリット収支率について見てみましょう。
メリット収支率は、先ほど述べたように納付した労災保険料に対してどれだけ業務災害の給付を行なったのかということになるのですが、
次の問題では、業務災害の給付に入る範囲について問われていますので確認しましょう。
メリット収支率と第3種特別加入
(平成28年労災問10ウ)
メリット収支率を算定する基礎となる保険給付の額には、第3種特別加入者のうち、海外派遣者における事業により業務災害が生じた場合に係る保険給付の額は含まれない。(問題文を一部補正しています。)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
メリット収支率に含まれるのは業務災害に関するものが対象で、通勤災害や複数業務要因災害、二次健康診断等給付は含まれず、
海外で起こった第3種特別特別加入の業務災害分も対象外となっています。
どうして業務災害なのに第3種特別加入が外されるのかというと、国内の事業主が、海外で仕事をしている海外派遣者に対して安全策を講じるのには限界があるからですね。
では、メリット収支率が出たところで、その割合の数字が将来の労災保険率にどのように影響するのかを確認しましょう。
メリット制が適用されるメリット収支率とは
(平成25年労災問10E)
継続事業に対する労働保険徴収法第12条による労災保険率は、メリット制適用要件に該当する事業のいわゆるメリット収支率が100%を超え、又は75%以下である場合に、厚生労働大臣は一定の範囲内で、当該事業のメリット制適用年度における労災保険率を引き上げ又は引き下げることができる。
解説
解答:誤り
メリット収支率は、100%ではなく「85%」を超える時には労災保険率を引き上げ、75%以下の場合に労災保険率を引き下げることになります。
この数字は本試験までには押さえておくようにしておきたいですね。
ということで最後に、計算されたメリット収支率が、どの年度の労災保険率から適用されるのかを事例問題で見てみましょう。
ポイントは、「すぐには対応できない」です。
メリット制が適用されるのはどの年度?
(平成25年労災問10B)
平成22年度から同24年度までの連続する3保険年度の各保険年度における確定保険料の額が100万円以上であった有期事業の一括の適用を受けている建設の事業には、その3保険年度におけるメリット収支率により算出された労災保険率が平成25年度の保険料に適用される。
解説
解答:誤り
問題文の場合、平成25年度ではなく、「平成26年度」の労災保険料に適用されます。
メリット収支率は年度でまとめられるので、平成24年度の最後の日である3月31日(基準日)をもってメリット収支率が確定されることになります。
これを翌日の平成25年度の4月1日から適用するのは大変なので、メリット制は、連続する3保険年度の最後の日である3月31日(基準日)から見て翌々年度の労災保険率に適用される規定になっています。
ちなみに、問題文では確定保険料の額が100万円以上との記載がありましたが、
有期事業の一括をしている建設業や立木の伐採の事業の場合、
確定保険料が40万円以上あればオーケーなので、ここの部分の条件は満たしていますね。
今回のポイント
- メリット制は、連続する3年の保険年度分のメリット収支率を基に運用されることになっています。
- 一括有期事業を含めた継続事業が、メリット制の適用を受けるには、
- 100人以上の労働者を使用する事業
- 20人以上100人未満の労働者を使用する事業で災害度係数が0.4以上であること
- 建設の事業及び立木の伐採の事業であって当該年度の確定保険料の額が40万円以上であること
のいずれかの条件を満たしている必要があります。
- メリット収支率に含まれるのは業務災害に関するものが対象で、通勤災害や複数業務要因災害、二次健康診断等給付は含まれず、海外で起こった業務災害である第3種特別特別加入も対象外となっています。
- メリット収支率は、「85%」を超える時には労災保険率を引き上げ、75%以下の場合に労災保険率を引き下げることになります。
- メリット制は、連続する3保険年度の最後の日である3月31日(基準日)から見て翌々年度の労災保険率に適用される規定になっています。
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