「社労士試験 労一 労働組合法 読むだけでわかる団体交渉のルール」過去問・労一-10

今回は、労働組合法の中から「団体交渉」をテーマにした過去問を集めてみました。

社労士試験の労働一般では、労働組合法に関する出題数が結構あるので、きちんと勉強しておきたいところですが、

なにせ社労士試験は範囲が広く、詰めて勉強したい科目は他にも山ほどありますから、労働組合法だけに時間を割くことはできません。

なので、こういった記事をちょくちょく読んでいただいて頭の隅に置いておいていただければと思います。

それでは最初の問題を見ていきましょう。

下の問題は、労働者と労働組合に関する「そもそも論」的なお話です。

団体交渉をする労働組合と労働者の関係を最初に押さえておくようにしましょう。

 

労働者と労働組合の関係とは

(平成24年問2C)

労働組合は、組合員に対する統制権の保持を法律上認められ、組合員はこれに服し、組合の決定した活動に加わり、組合費を納付するなどの義務を免れない立場に置かれるものであるが、それは、組合からの脱退の自由を前提として初めて容認されることであるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働組合が、いかに労働者の労働条件を守るために存在するとはいえ、組合費を払う必要もありますし、労働組合が決定した労働条件にも従う必要も出てきます。

ですから、労働者が組合に対し、労働組合から抜ける自由が保証されているか、自分から組合を抜ける選択ができる環境の中にいるのかというのが大切なことになってきますね。

自分の意思で労働組合に所属しているという前提があるからこそ、組合費を納めて活動に参加する意義もあるということになるのでしょうね。

ただ、社労士試験対策として、「ユニオンショップ制」という仕組みがあることも押さえておいた方がいいです。

ユニオンショップ制というのは、会社に雇用されたときに、労働者は所定の労働組合に必ず加入する必要があり,

もし労働組合に加入しなかったり、組合を脱退した、もしくは組合から除名された場合には、

その労働者は解雇されるという制度のことです。

判例の中には、所定の労働組合から除名されたとしても、会社側から見て解雇事由に当たらない場合は解雇は成立しないというものもあるのですが、

ここであまり深く突っ込むことは社労士試験対策としては望ましいものではないので、「そういった制度もあるんだ」くらいで取りあえずは押さえておきましょう。

さて、次は労働組合が会社側に交渉するテーマついての過去問を見てみましょう。

労働組合はどういったことを会社に交渉しているのでしょうか。

 

労働組合が交渉する事柄

(平成25年問2E)

労働組合の目的は、賃金等の労働条件を維持改善し労働者の経済的地位の向上を図ることにあるから、いわゆるセクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントなどを予防するための職場環境の整備は、いわゆる義務的団体交渉事項に含まれない。

 

解説

解答:誤

セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントなどを予防するための職場環境の整備も義務的団体交渉事項に含まれます。

義務的団体交渉事項というのは、労働組合の組合員の労働条件などについて使用者が処分可能(対応ができる)なもので、

使用者が団体交渉を拒否できない事項のことです。

セクハラは男女雇用機会均等法、パワハラはパワハラ防止法(大企業は2020年6月1日、中小企業は2022年4月1日から施行)でどちらも企業側には職場環境を守ることが求められていますから、

そういう点から見ても使用者はそれらの事項についての団体交渉は拒否できないということになるでしょうね。

しかし、使用者が労働組合と交渉する義務があることは分かりましたが、もし一つの会社に労働組合が複数ある場合、使用者はどのような対応をすればいいのでしょう。

一つの労働組合と交渉しておけばいいのでしょうか??

 

同じ会社に労働組合がいくつかあったとき、使用者は、、、

(平成28年問2C)

同一企業内に複数の労働組合が併存する場合には、使用者は団体交渉の場面に限らず、すべての場面で各組合に対し中立的態度を保持しなければならないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、使用者は中立的な態度を保持することが必要で、それぞれの労働組合に対して差別的な取り扱いをしてはならないことになっています。

これは日産自動車事件という最高裁判例が根拠になっているのですが、残業に関しての協議をした労働組合と協議しなかった労働組合があったそうで、

協議をしなかった労働組合の組合員には一切の残業をさせなかったそうです。

そういった行為は、組合に対しての差別的な取り扱いとなるのでダメだよ、という判決になったようですね。

では同じ論点について、違った表現で社労士試験で出題されているので、この機会に見ておきましょう。

 

同じ会社に労働組合がいくつかあったとき、使用者は、、、 その2

(平成23年問5B)

労働組合法に関して、一の工場事業場に複数の労働組合がある場合においては、使用者は、当該工場事業場の労働者の過半数で組織する労働組合とのみ誠実に団体交渉を行う義務を負う。

 

解説

解答:誤

事業場の労働者の過半数で組織する労働組合とのみ団体交渉を行うのではなく、使用者は、他の労働組合に対しても誠実に団体交渉を行う必要があります。

で、この問題は事業場の中にある労働組合のお話でしたが、労働組合が必ずしも会社の中で組織されているとは限りません。

いわゆる「ユニオン」といった外部の労働組合も存在しているわけで、そういった労働組合に対しても企業側はきちんと対応する義務はあるのでしょうか。

最後にこちらの過去問で確認しましょう。

 

使用者は、会社の外部にある労働組合とも交渉はしないといけない?

(平成23年問5C)

労働組合法に関して、使用者は、その雇用する労働者が加入している労働組合であっても、当該企業の外部を拠点に組織されている労働組合(いわゆる地域合同労組など)とは、団体交渉を行う義務を負うことはない。

 

解説

解答:誤

企業の外部を拠点に組織されている労働組合についても使用者は団体交渉を行う義務があります。

使用者が、雇用している労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由がなく拒否することは許されていないのですが、

これは企業内の労働組合だけでなく、企業外の労働組合にも適用されるのです。

ちなみに、令和元年における労働組合の推定組織率16.7%ということですから、

企業内の労働組合で団体交渉をしたくても、労働組合自体がない会社が増えていますので、

こういった企業外の労働組合と使用者との団体交渉は今後増えていくかも知れませんね。

 

今回のポイント

  • 労働組合は、組合員に対する統制権の保持を法律上認められていますが、それは、労働者が組合からの脱退の自由を持っていることを前提として初めて容認されています。
  • セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントなどを予防するための職場環境の整備も義務的団体交渉事項に含まれます。
  • 義務的団体交渉事項というのは、労働組合の組合員の労働条件などについて使用者が処分可能(対応ができる)なもので、使用者が団体交渉を拒否できない事項のことです。
  • 労働組合が複数ある場合、使用者は中立的な態度を保持することが必要で、それぞれの労働組合に対して差別的な取り扱いをしてはならないことになっています。
  • 企業の外部を拠点に組織されている労働組合についても使用者は団体交渉を行う義務があります。

 

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