なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、徴収法から「増加概算保険料と追加徴収」について見てみたいと思います。
まず、増加概算保険料ですが、こちらは、保険料の増額が見込まれたときに追加で納付する保険料のことですが、
たとえば労働者の数が増えて保険料の算定基礎額が2倍を超えたうえに、
以前の保険料との差額が13万円以上ある場合が対象となります。
で、一般的に労働保険料を納付する場合、「延納」といって保険料を分割払いすることができるのですが、
増加概算保険料が発生した場合も延納ができるのかどうか下の問題で確認しましょう。
増加概算保険料は延納できる?
(平成27年雇用問9A)
概算保険料について延納が認められている継続事業(一括有期事業を含む。)の事業主は、増加概算保険料の納付については、増加概算保険料申告書を提出する際に延納の申請をすることにより延納することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
増加概算保険料を延納するためには、まず本体の概算保険料を延納している必要があり、
増加概算保険料が発生したときに、増加概算保険料を延納する場合はあらためて延納を申請する必要があります。
つまり、本体の概算保険料を延納しているからといって、自動的に概算保険料も延納になるわけではないということですね。
では次に、増加概算保険料の延納回数について見てみましょう。
本体の概算保険料では、タイミングによっては延納の回数が2回までとなってしまうこともあるのですが、
増加概算保険料の場合はどうなのでしょうか。
増加概算保険料の延納回数
(令和2年雇用問8C)
概算保険料について延納が認められている継続事業(一括有期事業を含む。)の事業主が、増加概算保険料の納付について延納を希望する場合、7月1日に保険料算定基礎額の増加が見込まれるとき、3回に分けて納付することができ、最初の期分の納付期限は7月31日となる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
増加概算保険料を延納する場合、1回目の納付については、保険料算定基礎額の増加が見込まれた日の翌日から30日以内に納付することになります。
なので、問題文の場合、7月1日に保険料算定基礎額の増加が見込まれる場合の納付期限は、7月2日から起算して30日以内、つまり7月31日までとなり、延納回数も3回に分けて納付が可能です。
さて、次は追加徴収の方を見てみましょう。
追加徴収というのは、政府が保険料率を引き上げたことにより、保険料が増額された場合に追加の徴収が行われる制度です。
政府が追加徴収をする場合には、通知を発する日から30日を経過した日を納期限に設定して通知をするのですが、
どのような形で通知をするのか次の問題を見てみましょう。
追加徴収の通知方法
(平成30年労災問9ウ)
追加徴収される概算保険料については、所轄都道府県労働局歳入徴収官が当該概算保険料の額の通知を行うが、その納付は納付書により行われる。
解答
解説:正
問題文のとおりです。
追加徴収の通知は「納付書」によって行われます。
徴収法ではほかに納入告知書という通知方法もあるので、区別できるようにしておきましょう。
では逆に保険料率を引き下げた場合はどうなるのでしょう。
保険料率が下がる分、労働保険料も安くなるわけですが、保険料の還付は行われるのでしょうか?
労働保険料が引き下げられた時は還付される?
(平成30年労災問9イ)
政府が、保険年度の中途に、一般保険料率、第1種特別加入保険料率、第2種特別加入保険料率又は第3種特別加入保険料率の引下げを行ったときは、法律上、引き下げられた保険料の額に相当する額の保険料の額について、未納の労働保険料その他この法律による徴収金の有無にかかわらず還付が行われることとなっている。
解説
解答:誤り
政府が労働保険料の引き下げを行ったとしても、労働保険料の還付の規定がないので還付は行われません。
今回のポイント
- 増加概算保険料を延納するためには、まず本体の概算保険料を延納している必要があり、増加概算保険料が発生したときに、増加概算保険料を延納する場合はあらためて延納を申請する必要があります。
- 増加概算保険料を延納する場合、1回目の納付については、保険料算定基礎額の増加が見込まれた日の翌日から30日以内に納付することになります。
- 追加徴収の通知は「納付書」によって行われます。
- 政府が労働保険料の引き下げを行ったとしても、労働保険料の還付の規定がないので還付は行われません。
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