「届出」の日数を整理するときは、通常の事業主と船舶所有者を対比しながら押さえていくと良いと思います。
強制適用事業所になったときは、通常は5日以内だけど船舶は10日以内、というように個々の項目について比較しながら整理していくようにしましょう。
それでは過去問に入っていきたいと思います。
1問目は、適用事業所に該当しなくなった場合の取り扱いです。
通常の適用事業所と船舶でどのような違いがあるでしょうか?
適用事業所に該当しなくなったら
(平成26年問9E)
適用事業所の事業主(船舶所有者を除く。)は、廃止、休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったときは、当該事実があった日から10日以内に、適用事業所に該当しなくなったことを証する書類を添えて、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。
解説
解答:誤り
適用事業所の事業主は、適用事業所に該当しなくなった場合は、10日以内ではなく「5日」以内に届出をする必要がありますので誤りです。
船舶所有者の場合は10日以内ですので、日数を入れ替えた出題になっていますね。
では次に、船舶所所有者が論点になった問題を見てみましょう。
下の問題は、新規適用事業所になった場合の届出について問われていますが、
日数はどうなっていたでしょうか。
新規適用事業所となった船舶所有者の届出期限
(平成27年問1ウ)
厚生年金保険法第6条第1項の規定により初めて適用事業所となった船舶の船舶所有者は、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。
解説
解答:誤り
新規適用事業所となった船舶の船舶所有者は、5日以内ではなく「10日以内」に届出をする必要があります。
こちらは通常の事業主の日数と入れ替えていますね。
さて、次は賞与を支払った時の届出について見てみましょう。
こちらについても、通常の適用事業所と船舶では違いがありそうです。
賞与額の届出期限は?
(平成25年問9ウ)
事業主が被保険者(船員被保険者を除く。)に賞与を支払ったときの「被保険者の賞与額の届出」は、、5日以内に届け出なければならないとされている。(問題文を再構成しています)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
賞与支払届は、通常の事業主は「5日以内」、船舶所有者は「10日以内」となっています。
ここまで見てみると、通常の事業主は5日で船舶所有者は10日というのがベースになっていますね。
ベースをまず築いておいて、それとは違う規定を意識するといいかもしれませんね。
たとえば、被保険者の氏名や住所の変更は「速やかに」といった具合ですね。
さて、次は被保険者が行う届出について見てみましょう。
下の問題では、同時に2以上の適用事業所に使用される場合の届出です。
被保険者は同時に2以上の事業所に使用される場合は、年金事務所を選択する必要がありますが、
こちらも、日数を意識して問題文を読んでみましょう。
同時に2つ以上の事業所に使用されることになったら
(令和2年問2A)
第1号厚生年金被保険者は、同時に2以上の事業所に使用されるに至ったときは、その者に係る日本年金機構の業務を分掌する年金事務所を選択し、2以上の事業所に使用されるに至った日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。
解説
解答:誤り
2以上の事業所に使用される場合は、第1号厚生年金被保険者が、5日以内ではなく「10日以内」に機構に提出することになっているので誤りです。
どうやら、5日がキーワードになっているのは通常の事業主だけのようですね。
では最後に、年金の受給権者の届出について見ておきましょう。
次の問題では、加給年金額に関する届出になっていますが、年齢が関わっていることに注意しながら読んでみましょう。
加給年金額の対象者が65歳になった場合の届出
(令和元年問6D)
障害等級1級又は2級の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者は、当該障害厚生年金の加給年金額の対象者である配偶者が65歳に達したときは、10日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。
解説
解答:誤り
加給年金額の対象者が、65歳に達して不該当となる場合でも、届出は必要ないので誤りです。
これは、配偶者に限らず、老齢厚生年金の子への加給年金額で、18歳の年度末や20歳に達した時も同様です。
今回のポイント
- 通常の事業主は、適用事業所に該当しなくなった場合は、「5日」以内に届出をする必要があり、船舶所有者の場合は10日以内となっています。
- 新規適用事業所となった船舶の船舶所有者は、「10日以内」に届出をする必要があります。
- 賞与支払届は、通常の事業主は「5日以内」、船舶所有者は「10日以内」となっています。
- 2以上の事業所に使用される場合は、第1号厚生年金被保険者が、「10日以内」に機構に提出することになっています。
- 加給年金額の対象者が、65歳に達して不該当となる場合でも、届出は必要ありません。
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