今回は、被保険者資格の取得日と喪失日について見てみたいと思います。
一口に被保険者と言っても、国民年金の場合は、第1号〜3号、任意加入被保険者に特例任意加入被保険者とバラエティーに富んでいるので、整理が大変ですね。
ただ、規定の年齢に達したときや、他の被保険者になった時など、資格の得喪日に共通点がありますので、できるだけ効率的に押さえるようにしたいですね。
それでは過去問を見ていくことにしましょう。
最初の問題は第3号被保険者がテーマになっています。
第3号被保険者は第2号被保険者の被扶養配偶者である立場上、資格取得日には2つの要件がありますので見てみましょう。
第3号被保険者の資格取得日
(平成27年問7B)
18歳の厚生年金保険の被保険者に19歳の被扶養配偶者がいる場合、当該被扶養配偶者が20歳に達した日に第3号被保険者の資格を取得する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
第3号被保険者の資格取得日は、基本的には「被扶養配偶者となった日」ですが、20歳未満の場合は第3号被保険者になることができず、「20歳に達した日」が資格取得日となります。
ちなみに、20歳未満で被保険者になれるのは第2号被保険者だけですね。
では次に、任意加入被保険者の資格取得日について見てみましょう。
任意加入被保険者になるには、厚生労働大臣に申出が必要ですが、
どのタイミングで資格取得となるのでしょうか。
任意加入被保険者の資格取得日は?
(平成29年問3E)
日本国籍を有する者で、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者(第2号被保険者及び第3号被保険者を除く。)が任意加入被保険者の資格の取得の申出をしたときは、申出をした日に任意加入被保険者の資格を取得する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
任意加入被保険者の資格取得日は、厚生労働大臣に申出をした日となっていますが、
これが受理された日となってしまうと、時間差が生じてしまう可能性がありますので、申し出をした日ということにしているのですね。
問題文のように日本にいないのであればなおさらですよね。
さて、次は任意加入被保険者の資格喪失について確認しましょう。
こちらは、先ほどの資格取得日の規定とは違った取り扱いをしているようですので見てみましょう。
任意加入被保険者の資格喪失日
(平成28年問5D)
任意加入被保険者は、いつでも厚生労働大臣に申し出て、被保険者の資格を喪失することができるが、その資格喪失の時期は当該申出が受理された日の翌日である。
解説
解答:誤り
任意加入被保険者の資格喪失日は、申出が「受理された日」ですので誤りです。
資格喪失の場合は、資格取得の時と違って申出をした日ではないので区別しておく必要がありますね。
では他に資格を喪失するタイミングを見てみましょう。
厚生年金の被保険者になった場合の任意加入被保険者の資格喪失日
(平成29年問3C)
日本国籍を有する者で、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、厚生年金保険の被保険者資格を取得したときは、当該取得日に任意加入被保険者の資格を喪失する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
厚生年金の被保険者になったときは、「その日」に任意加入被保険者の資格を喪失します。
厚生年金の被保険者期間の方を優先させるということですね。
任意加入被保険者が資格喪失するタイミングとしては他に、
- 死亡したとき → 翌日
- 65歳に達したとき → その日
- 保険料納付月数が480月に達したとき → その日
があります。
では最後に、特例任意加入被保険者の資格喪失日について確認しておきましょう。
特例任意加入被保険者の資格喪失日
(平成27年問1B)
特例による任意加入被保険者が、70歳に達する前に厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき、又は老齢若しくは退職を支給事由とする年金給付の受給権を取得したときは、それぞれその日に被保険者の資格を喪失する。(一部問題文を補正しています)
解説
解答:誤り
特例任意加入被保険者が資格喪失するタイミングとして、老齢・退職年金等の受給権を得たときは、「受給権を得た日の翌日」に資格を喪失しますので誤りです。
厚生年金の被保険者の資格を取得した時は、その日に特例任意加入被保険者の資格を喪失するという記述は正しいです。
今回のポイント
- 第3号被保険者の資格取得日は、基本的には「被扶養配偶者となった日」ですが、20歳未満の場合は第3号被保険者になることができず、「20歳に達した日」が資格取得日となります。
- 任意加入被保険者の資格取得日は、厚生労働大臣に申出をした日となっています。
- 任意加入被保険者の資格喪失日は、申出が「受理された日」です。
- 厚生年金の被保険者になったときは、「その日」に任意加入被保険者の資格を喪失します。
- 特例任意加入被保険者が資格喪失するタイミングとして、老齢・退職年金等の受給権を得たときは、「受給権を得た日の翌日」に資格を喪失し、厚生年金の被保険者の資格を取得した時は、その日に特例任意加入被保険者の資格を喪失します。
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