今回は、埋葬料を中心とした過去問を集めてみました。
健康保険法で死亡に関する給付になっているのですが、登場する名前だけでも埋葬料・埋葬費・家族埋葬料と3種類あります。
それぞれ支給されるシチュエーションが違うので混同しないように整理しておきたいですね。
それでは過去問に入っていきたいと思います。
1問目は、埋葬料がテーマになっています。
この問題では、埋葬料の支給対象者が論点になっているのですが、誰に対して支給される規定になっているのでしょうか。
埋葬料の支給対象者となっているのは
(平成25年問7A)
埋葬を行う者とは、実際に埋葬を行った者をいうのであるから、被保険者が死亡し社葬を行った場合には、たとえその被保険者に配偶者がいたとしても、配偶者には埋葬料は支給されない。
解説
解答:誤り
埋葬料の場合、「埋葬を行う者」とは、実際に埋葬を行なった者ではなく、「埋葬を行うべき者」となるので誤りです。
埋葬料の支給対象は、被保険者の死亡当時、被保険者の収入で生計を維持していた者で、埋葬を行う者(埋葬を行うべき者)となっています。
なので、社葬が行われたとしても、配偶者に埋葬料が支給されます。
ちなみに、生計維持の要件は、被保険者によって生計を全部を維持している必要はなく、共働きのように一部を維持している状態でも大丈夫です。
それでは埋葬料の支給対象について、別の視点から問われている過去問がありますので、こちらも見てみましょう。
埋葬料の支給対象になっているのは その2
(令和元年問2E)
被保険者が死亡したときは、埋葬を行う者に対して、埋葬料として5万円を支給するが、その対象者は当該被保険者と同一世帯であった者に限られる。
解説
解答:誤り
埋葬料の支給については、生計同一ではなく、生計維持が要件になっているので、問題文は誤りです。
生計同一と生計維持がどのように違うのかというと、
生計同一は、住民票上の住所が同じだとか、住民票の住所は違うけど実際に住んでいる住所が同じというように、「住所」が主な判断基準となってきます。
一方、生計維持は、生計同一要件も満たしながら、「収入」も判断基準とされます。
埋葬費の場合は、死亡者の収入で生活を維持されていたか、つまり、死亡者の収入が生活費になっていたかが生計維持要件になります。
被扶養者の判定に使う場合は、年間収入が一定の額に収まっているかどうかで生活維持要件が判断されていますね。
ちなみに、埋葬料の金額が5万円というのは正しいです。
さて、次は埋葬費について見てみましょう。
下の問題で、埋葬料と埋葬費の支給対象者の違いを確認していきますね。
埋葬費の支給対象者
(平成25年問7D)
死亡した被保険者により生計を維持されていなかった兄弟姉妹は、実際に埋葬を行った場合であっても、埋葬費の支給を受ける埋葬を行った者に含まれない。
解説
解答:誤り
問題文の場合、埋葬費の支給対象となる「埋葬を行なった者」に含まれますので誤りです。
埋葬費は、生計維持要件を満たした者がおらず、埋葬料の支給対象者がいない場合に、埋葬を行なった者に対して支給されるものです。
なので、生計維持関係のない父母や兄弟姉妹、子などが実際に埋葬を行なった場合は、埋葬費の支給対象となる「埋葬を行った者」となります。
では、埋葬費の支給がどのように支給されるのかを見てみましょう。
埋葬料の場合は、一律5万円でしたが、埋葬費の場合は支給の仕方が違うようです。
埋葬費の支給額
(平成28年問8E)
被保険者が死亡し、その被保険者には埋葬料の支給を受けるべき者がいないが、別に生計をたてている別居の実の弟が埋葬を行った場合、その弟には、埋葬料の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額が支給される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
埋葬費の場合は、埋葬料の金額(5万円)の範囲内で埋葬に要した実費の金額が支給されます。
つまり、霊柩代や火葬料、僧侶への謝礼などの費用について最大5万円が支給されるということですね。
なので、現実に埋葬を行なった後に、領収書などの埋葬に要した費用の金額に関する証拠書類を添付して支給申請を行うことになります。
では最後に、家族埋葬料について見ておきましょう。
埋葬料や埋葬費は、被保険者が亡くなった場合に支給されるものですが、
家族埋葬料は被保険者の被扶養者が亡くなった時に支給されるものです。
家族埋葬料の場合、いくら支給されるのかを下の問題で確認しましょう。
家族埋葬料はいくら支給される?
(平成24年問7B)
被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対して10万円が支給される。
解説
解答:誤り
家族埋葬料の支給額は10万円ではなく「5万円」ですので誤りです。
家族埋葬料は、被保険者に対して一律5万円支給されることになっています。
「埋葬料」と名のつくものは5万円が一律に支給されるということになりますね。
ちなみに、死産児の場合は被扶養者になっていないので家族埋葬料の支給対象外となっていますが、
分娩後2〜3時間を経過した後に亡くなった場合は、その事実を立証できれば家族埋葬料が支給されます。
今回のポイント
- 埋葬料の支給対象は、被保険者の死亡当時、被保険者の収入で生計を維持していた者で、埋葬を行う者(埋葬を行うべき者)となっています。
- 埋葬料の支給は、生計同一ではなく、生計維持が要件になっています。
- 埋葬費は、生計維持要件を満たした者がおらず、埋葬料の支給対象者がいない場合に、埋葬を行なった者に対して支給されるものです。
- 埋葬費は、埋葬料の金額(5万円)の範囲内で埋葬に要した実費の金額が支給されます。
- 家族埋葬料は、被保険者に対して一律5万円支給されることになっています。
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