傷病手当金は、社労士試験で本当によく出題されていますね。
社労士試験の健康保険法は出題範囲が広いイメージがあるのですが、傷病手当金は頻出項目ですので、きっちりと押さえておきましょう。
それでは過去問を見ていきたいと思います。
最初の問題は、傷病手当金の対象となる「療養」の範囲が論点になっています。
必ずしも保険給付の対象でなくてもいいようですが、どのようになっているのか見てみましょう。
傷病手当金の対象となる療養とは
(平成23年問9A)
傷病手当金は、療養のため労務に服することができないときに支給されるが、その場合の療養は、健康保険で診療を受けることができる範囲内の療養であれば、保険給付として受ける療養に限らず、自費診療で受けた療養、自宅での療養や病後の静養についても該当し、傷病手当金は支給される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
つまり、傷病手当金は療養のために「労務に服することができない」場合に支給されるのですが、
健康保険で診療を受けることができる範囲内の療養なら、労務に服することができないと判断されれば自宅療養でもオーケーということですね。
なので、必ずしも保険給付で受けた療養だけが対象ではないということですね。
ただ、業務上の傷病や美容のための整形手術など、保険事故とならない傷病の療養で労務に服せないというのはアウトです。
では療養についてもう少し見てみましょう。
伝染病にかかっていて隔離収容されている場合も傷病手当金の対象になるのかどうか、次の問題で確認しましょう。
隔離収容されて労務不能になっても傷病手当金の対象となる?
(令和2年問3ア)
伝染病の病原体保有者については、原則として病原体の撲滅に関し特に療養の必要があると認められる場合には、自覚症状の有無にかかわらず病原体の保有をもって保険事故としての疾病と解するものであり、病原体保有者が隔離収容等のため労務に服することができないときは、傷病手当金の支給の対象となるものとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
伝染病の病原体を撲滅するために、特に療養の必要があると認められる場合は、自覚症状があるかどうかにかかわらず、保険事故として取り扱い、隔離収容のために労務に服することができないときは傷病手当金の対象となります。
これは、まさに新型コロナウイルスにも当てはまりそうですね。
新型コロナウイルスに感染したものの、自覚症状がない場合でも自宅療養とされて労務に服することができない場合は、傷病手当金の対象となり得ます。
これは厚生労働省の事務連絡にもありますので、リンクを貼っておきますね。
参考記事:新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について
それでは、次に傷病手当金がどのタイミングで支給されるのか見てみましょう。
下の問題では、待期機関が論点になっていますので読んでみましょう。
傷病手当金はいつから支給される?
(平成23年問4A)
傷病手当金は、被保険者(任意継続被保険者及び特例退職被保険者を除く。)が療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から支給される。ただし、その3日に会社の公休日が含まれている場合は、その公休日を除いた所定の労働すべき日が3日を経過した日から支給される。
解説
解答:誤り
傷病手当金は、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から支給されますが、
3日の待期期間には公休日を含めますので、問題文は誤りです。
たとえば週休2日制で土曜と日曜が休みの場合、金曜に労務不能になったとしたら、金・土・日の3日で待期が完成することになります。
で、傷病手当金が支給されると、支給をはじめた日から1年6月支給されるわけですが、
次の事例問題を読んでみて、いつまで傷病手当金が支給されるのか確認しましょう。
傷病手当金はいつまで支給される?(事例問題)
(平成26年問10A)
被保険者が、業務外の事由による疾病で労務に服することができなくなり、4月25日から休業し、傷病手当金を請求したが、同年5月末日までは年次有給休暇を取得したため、同年6月1日から傷病手当金が支給された。この傷病手当金の支給期間は、同年4月28日から起算して1年6か月である。
解説
解答:誤り
問題文の場合、4月28日からではなく、「6月1日」から起算して1年6月支給されます。
傷病手当金は、その支給を始めた日から起算して1年6月までとなっているので、有給休暇を取得して傷病手当金を受給していなかれば、その期間はカウントされないということですね。
ちなみに、令和4年1月からは、支給期間について法改正が行われる予定です。
では最後に、傷病手当金の額の計算方法について見ておきましょう。
下の問題では、任意継続被保険者の期間をからめた問題になっていますので、どういうことなのか確認しましょう。
傷病手当金の金額の計算方法
(平成29年問3A)
傷病手当金の額の算定において、原則として、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。)の平均額を用いるが、その12か月間において、被保険者が現に属する保険者が管掌する健康保険の任意継続被保険者である期間が含まれるときは、当該任意継続被保険者である期間の標準報酬月額も当該平均額の算定に用いることとしている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
傷病手当金の額を算定するときは、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額を用いるのが原則になっています。
ただ、その12月に被保険者が現に属する保険者が管掌する健康保険の任意継続被保険者である期間が含まれる場合は、その期間の標準報酬月額を含んで算定されることになります。
で、その標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額を3分の2にした額が傷病手当金の金額となります。
今回のポイント
- 傷病手当金は療養のために「労務に服することができない」場合に支給されるのですが、健康保険で診療を受けることができる範囲内の療養なら、労務に服することができないと判断されれば自宅療養でもオーケーです。
- 伝染病の病原体を撲滅するために、特に療養の必要があると認められる場合は、自覚症状があるかどうかにかかわらず、保険事故として取り扱い、隔離収容のために労務に服することができないときは傷病手当金の対象となります。
- 傷病手当金は、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から支給されますが、3日の待期期間には公休日を含めます。
- 傷病手当金は、その支給を始めた日から起算して1年6月までとなっているので、有給休暇を取得して傷病手当金を受給していなかれば、その期間はカウントされません。
- 傷病手当金の額を算定するときは、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額を用いるのが原則になっています。
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