今回は、厚生年金法の根っこの部分である目的条文や、管掌、権限の委任について再確認していきましょう。
多くのテキストでは一番最初の方に記載されていますが、それだけ基本的な事項であると言えるでしょう。
特に、目的条文は選択式で出題される可能性もありますから、しっかり押さえていきましょう。
それでは最初の過去問を見ていきたいと思います。
1問目は、ズバリ!目的条文です。
厚生年金法の目的条文にはどんなことが書かれてあったのか思い出してみましょう。
厚生年金法の目的条文
(平成30年問7D)
厚生年金保険制度は、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的としている。
解説
解答:誤り
問題文に書かれているのは、国民年金法の目的条文なので誤りです。
国民年金法の目的条文のキーワードは「国民の共同連帯」ですね。
厚生年金法の目的条文は、
「この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」
です。
厚生年金には「労働者」と「遺族」という言葉が出てくるのが印象的ですね。
では、次に、厚生年金を「管掌」しているのはどこかを確認しておきましょう。
厚生年金を「管掌」しているのは?
(平成30年問7E)
厚生年金保険は、厚生年金保険法に定める実施機関がそれぞれ管掌することとされている。
解説
解答:誤り
厚生年金を管掌しているのは、実施機関ではなく、「政府」です。
管掌というのは、「つかさどること・監督して取り扱うこと」という意味ですが、
厚生年金という保険制度について監督しているのは「政府」ということになります。
実施機関は、具体的に厚生年金の事務を担当している機関ということですね。
たとえば、第1号厚生年金被保険者に対する保険料の徴収や保険給付の事務は実施機関である厚生労働大臣が行います。
で、この実施機関を監督しているのが政府、ということになりますね。
では次に、実施機関について問われている過去問を見てみましょう。
第2号厚生年金被保険者の実施機関は国家公務員共済組合ですが、拠出金の取扱となると話が違っているようです、、、
第2号厚生年金被保険者にかかる拠出金の納付をしているのは
(令和2年問6A)
第2号厚生年金被保険者に係る厚生年金保険法第84条の5第1項の規定による拠出金の納付に関する事務は、実施機関としての国家公務員共済組合が行う。
解説
解答:誤り
第2号厚生年金被保険者にかかる拠出金の納付に関する事務は、国家公務員共済組合ではなく「国家公務員共済組合連合会」が行います。
ひとくちに国家公務員といっても、総務省や外務省などいろいろと種類があり、共済組合も総務省共済組合などのように分かれており、それぞれの共済で保険料の徴収や納付が行われています。
しかし、拠出金となると共済全体で行うことになるので、それぞれの共済が集まった国家公務員共済組合連合会がまとめて行うと考えれば納得がいきますね。
さて、次は滞納処分について見てみましょう。
滞納処分は、日本年金機構が行うことができるのですが、色々と取り決めがあるようですので下の問題で確認しましょう。
日本年金機構が滞納処分を行うときのルール
(令和2年問3エ)
日本年金機構は、滞納処分等を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けるとともに、厚生年金保険法第100条の7第1項に規定する滞納処分等実施規程に従い、徴収職員に行わせなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
日本年金機構が滞納処分をするときは、「あらかじめ」厚生労働大臣の「認可」を受けることが必要で、規定に従って徴収職員に行わせることになっています。
ちなみに、この徴収職員は、日本年金機構の理事長が任命しますが、事前に厚生労働大臣の認可を受ける必要があります。
このように、日本年機構には徴収職員という人がいるのですが、滞納処分を外部に委託することができるのかどうかについて最後に確認しておきましょう。
滞納処分は委任することができる?
(平成24年問6D)
厚生労働大臣は、滞納処分等に係る納付義務者が、処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることなど、保険料等の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、財務大臣に、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
滞納処分についての権限を財務大臣に委任することができるわけですが、財産の隠ぺいが疑われる悪質な滞納者へ滞納処分を行うときに必要があると認められる場合が対象です。
ちなみに、財務大臣に委任された滞納処分の権限は、滞納処分の実行部隊である国税庁長官に委任されることになります。
今回のポイント
- 厚生年金法の目的条文は、「この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」となっています。
- 厚生年金を管掌しているのは「政府」です。
- 第2号厚生年金被保険者にかかる拠出金の納付に関する事務は、「国家公務員共済組合連合会」が行います。
- 日本年金機構が滞納処分をするときは、「あらかじめ」厚生労働大臣の「認可」を受けることが必要で、規定に従って徴収職員に行わせることになっています。
- 滞納処分についての権限を財務大臣に委任することができるわけですが、財産の隠ぺいが疑われる悪質な滞納者へ滞納処分を行うときに必要があると認められる場合が対象です。
毎日の勉強のヒントにどうぞ♫
問題演習では、正解できたかどうかに目が行きがちですが、
論点がテキストのどこのページに書いてあったかを思い出せたかどうかも非常に重要です。
つまり、論点と記憶の照合ができるようになると初見の問題にも適応できるようになるからです(^^)
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