遺族(補償)年金は、範囲は広くないのですが、論点がたくさんあるので整理が大変かもしれません。
他の科目とも項目が重なる部分があるので混同してしまいがちなのも要注意ですね。
なので、他の科目とも比較しながら少しずつ知識を定着させていきたいですね。
それでは過去問を見ていきましょう。
最初の問題は、生計維持要件がテーマになっています。
この生計維持要件を満たしていないと遺族(補償)年金の受給権を得ることができませんが、どのようなルールになっているのでしょう。
傷病補償年金の受給権者が亡くなった場合、遺族補償年金は、、、?
(平成28年問6ア)
傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合には、その死亡の当時その収入によって生計を維持していた妻は、遺族補償年金を受けることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
生計維持の要件を判断するときは、労働者の賃金での収入だけでなく、傷病補償年金や休業補償給付などの給付による収入も含まれることになっています。
ちなみに、共稼ぎの状態でも生計維持要件は満たせるので、労働者の収入だけで生計を維持している必要はありません。
これらは、通達から出ていますのでリンクを貼っておきますね。
(「四 遺族補償年金 ハ」のところに記載があります)
参考記事:労働者災害補償保険法の一部を改正する法律第三条の規定の施行について 昭和四一年一月三一日 基発第七三号
さて、次は受給権について見ていきたいと思います。
下の問題では「欠格」について取り扱っています。
欠格というのは、必要な資格がないことを言いますが、
普通にしていれば受給権が発生する予定だったのに、あることをしてしまうと欠格になってしまうのです。。。
遺族となるべき者を故意に死亡させた場合のルール
(平成23年問4E)
労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者のみ、遺族補償年金を受けることができる遺族とされない。
解説
解答:誤り
先順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者「のみ」の部分が誤りです、
労働者がまだ生きているときに、もし労働者が亡くなれば遺族補償年金を受けることができる「先順位または同順位」の遺族を故意に死亡させると、遺族補償年金を受けることができる遺族となりません。
ちなみに、労働者が亡くなって、遺族補償年金を受けることができる遺族が、遺族補償年金を受けることができる先順位または同順位の他の遺族を故意に死亡させたときも、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなります。
では次に遺族(補償)年金の金額について見ておきましょう。
遺族(補償)年金では、妻の取り扱いに特徴があります。
ある要件を満たすと遺族(補償)年金の金額が改定されるのですが、どのような要件なのか次の問題で確認しましょう。
遺族が妻の場合、遺族補償年金の金額改定はいつ行われる?
(平成25年問1A)
遺族補償給付を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が55歳に達したとき(労災保険法別表第一の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)は、その達した月から遺族補償年金の額を改定する。
解説
解答:誤り
55歳に達した月からではなく、55歳に達した月の「翌月」から妻の遺族補償年金の額が改定されます。
通常、遺族(補償)年金の額は、遺族の数が1人の場合は給付基礎日額の153日分なのですが、
妻の場合、55歳以上か、一定の障害の状態であれば175日分となります。
では次は受給権の消滅について見てみましょう。
遺族(補償)年金の受給権の消滅事由には色々なものがあるのですが、
社労士試験で出題されているのは主に、婚姻、養子、年齢、障害の事由が関係しています。
ではどのように出題されているのか確認しましょう。
遺族補償年金の権利が消滅するのは
(平成28年問6ウ)
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、自分の伯父の養子となったときは、消滅する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
遺族(補償)年金を受ける権利は、「直系血族又は直系姻族以外の者の養子」になったときに消滅します。
直系血族というのは父母、祖父母など家系図のタテのラインの家族を指します。
直系姻族は、配偶者側の直系血族ですね。
伯父は直系血族ではありませんので、問題文の場合は遺族補償年金の受給権が消滅します。
では最後に、遺族補償年金の受給権消滅についてもう一問見ておきましょう。
次の問題では、年齢と障害が論点になっていますので読んでみてくださいね。
遺族補償年金の権利が消滅するのは その2
(平成23年問3C)
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する兄弟姉妹が労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは、消滅する。
解説
解答:誤り
労働者の死亡当時から引き続き障害の状態にある場合、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了しても受給権は消滅しません。
失権の事由については、遺族厚生年金と比較しておくと良いですね。
遺族厚生年金の場合は、まず兄弟姉妹には受給権がなかったですね。
失権についても、子や孫の場合、障害の状態にあったとしても20歳までが限界でしたので、この機会にお手持ちのテキストで確認なさって見てくださいね。
今回のポイント
- 生計維持の要件を判断するときは、労働者の賃金での収入だけでなく、傷病補償年金や休業補償給付などの給付による収入も含まれることになっています。
- 労働者がまだ生きているときに、もし労働者が亡くなれば遺族補償年金を受けることができる「先順位または同順位」の遺族を故意に死亡させると、遺族補償年金を受けることができる遺族となりません。
- 遺族(補償)年金の額は、遺族の数が1人の場合は給付基礎日額の153日分なのですが、妻の場合、55歳以上か、一定の障害の状態であれば175日分となります。
- 遺族(補償)年金を受ける権利は、直系血族又は直系姻族以外の者の養子になったときは消滅します。
- 労働者の死亡当時から引き続き障害の状態にある場合、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了しても受給権は消滅しません。
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