使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に、使用者は休業期間中、平均賃金の100分の60以上の手当を労働者に支払う必要があります。
これを休業手当と言いますが、社労士試験では、「使用者の責」に当てはまるかどうか、といった論点で出題されています。
それでは早速見ていきましょう。
仕事したくてもできないんです、、、
(平成26年問4C)
労働基準法第26条にいう「使用者の責に帰すべき事由」には、天災地変等の不可抗力によるものは含まれないが、例えば、親工場の経営難から下請工場が資材、資金の獲得ができず休業した場合は含まれる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。問題文にある親工場の経営難は「使用者の責」と判断されます。
それでは、労働者の方が病気になってしまった場合はどうなるのでしょう。
病気なので仕事に来るな、と言われた場合は?
(平成23年問6A)
労働安全衛生法第66条による健康診断の結果、私傷病を理由として医師の証明に基づき、当該証明の範囲内において使用者が休業を命じた場合には、当該休業を命じた日については労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するので、当該休業期間中同条の休業手当を支払わなければならない。
解説
解答:誤
問題文の場合、「私傷病」とありますので、「使用者の責」にはあたらず、休業手当を支払う義務はありません。
それでは、次は、出来高払制の保障給についての過去問を見てみましょう。
出来高制なのに、したくても仕事が出来なかったんです、、、
(平成26年問4E)
いわゆる出来高払制の保障給を定めた労働基準法第27条の趣旨は、月給等の定額給制度ではなく、出来高払制で使用している労働者について、その出来高や成果に応じた賃金の支払を保障しようとすることにある。
解説
解答:誤
「その出来高や成果に応じた」ではなく、「労働時間に応じた」が正解です。
出来高や成果にフォーカスしてしまうと、上記の問題にあったように、材料がないために仕事が出来なかった場合、労働者に不利になります。
そこで、実際の労働時間に応じた賃金の支払を保障することになっているのです。
今回のポイント
- 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に、使用者は休業期間中、平均賃金の100分の60以上の手当を労働者に支払う必要があります。
- 私傷病が原因で休業を命じられても、休業手当の対象になりません。
- 出来高払制で使用している労働者について、労働時間に応じた賃金の支払を保障しようとすることにあります。
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