過去問

「社労士試験 国民年金法 遺族基礎年金の支給要件には何があったでしょうか」過去問・国−60

今回は、遺族基礎年金支給要件について取り上げた過去問を見ていきたいと思います。

まず押さえるべきは、被保険者要件保険料納付要件ですね。

こちらについては、機会を見つけて遺族厚生年金と比較してもいいかもしれませんね。

二つを見比べて、違う点などをはっきりさせておくと知識の定着にもつながりますのでオススメです。

こちらの記事では、遺族基礎年金に絞って見ていきますので、しっかりと押さえていきましょう。

それでは最初の問題です。

この問題は、遺族基礎年金にかかる被保険者要件について問われています。

色々と書いてありますが、読み飛ばしをしないよう見ていきましょう。

 

遺族基礎年金の被保険者要件

(平成24年問2D)

遺族基礎年金は、被保険者、被保険者であった60歳以上65歳未満の者、老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)、又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者、のいずれかに該当する者が死亡した場合に、一定の要件に該当する遺族に支給する。

 

解説

解答:誤り

被保険者であった60歳以上65歳未満の者の場合は、「日本国内に住所を有している」必要もあります。

ここで遺族基礎年金支給要件をまとめておきましょう。

  • 被保険者が、死亡したとき
  • 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき
  • 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が、死亡したとき
  • 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき

「被保険者だった」者の場合、

「日本国内に住所があること」と、「60歳以上65歳未満であること」

の両方の要件を満たしている必要があるということですね。

別の見方をすると「被保険者」の場合は、第2号被保険者や第3号被保険者であれば、国内居住要件はないので、海外にいたときに亡くなったとしても大丈夫ということになりますね。

ところで、死亡した側の遺族基礎年金の支給要件には、「被保険者要件」と「保険料納付要件」があるわけですが、

これらがどのように関係しているのか、次の問題で見てみましょう。

 

被保険者要件と保険料納付要件の関係

(平成26年問8D)

保険料納付済期間を25年有する50歳の第1号被保険者が死亡した場合、その者によって生計を維持していた14歳の子がいても、当該死亡日の前日において当該死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料滞納期間があるときは、子は遺族基礎年金の受給権を取得しない。

 

解説

解答:誤り

保険料納付済期間保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある被保険者が死亡した場合には、保険料納付要件は問われません

保険料納付要件が問われるのは、

  • 被保険者
  • 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるもの

となっていて、問題文のように、25年以上保険料納付済期間がある場合は保険料納付要件は必要ないのです。

ちなみに、この「25年」は、保険料納付済期間と保険料免除期間で構成されていることが必要で、

学生納付特例や納付猶予規定に要るものは含まれません。

もし、保険料納付済期間と保険料免除期間だけで25年に満たない場合は、合算対象期間も含めることができます。

で、この保険料納付要件が適用される場合は、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、

その被保険者期間の中に保険料納付済期間保険料免除期間を合算した期間が、被保険者期間の「3分の2」以上あることが

遺族基礎年金が支給されるための条件です。

これは、原則になるのですが、もし「3分の2以上」なくても、ある条件を満たせば遺族基礎年金の保険料納付要件をクリアすることができます。

それはどんな規定なのでしょうか。

 

保険料納付要件の「3分の2」を満たしていない時は?

(平成28年問8E)

平成26年4月から障害等級2級の障害基礎年金を継続して受給している第1号被保険者が、平成28年4月に死亡した場合、その者の死亡当時、その者に生計を維持されていた16歳の子がいた場合、死亡した者に係る保険料納付要件は満たされていることから、子に遺族基礎年金の受給権が発生する。なお、死亡した者は国民年金法第89条第2項の規定による保険料を納付する旨の申出をしていないものとする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

仮に保険料納付要件の「3分の2」を満たしていなくても、

令和8年4月1日前の死亡については、死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間保険料免除期間しかなく、

保険料を滞納していなければ保険料納付要件を満たしたものとされます。

問題文の場合、2級の障害基礎年金を受給しているので国民年金の保険料が法定免除になっています。

平成26年4月から障害基礎年金の受給権者なので、1年以上法定免除になっていますから、保険料納付要件はクリアしていますね。

ちなみに、遺族基礎年金を受けることができる受給権者は、

  • 被保険者(被保険者だった者も含む)の死亡当時、被保険者によって生計を維持していて、18歳後の3月31日までにある子、20歳未満で障害等級に該当している状態の
  • 被保険者(被保険者だった者も含む)の死亡当時、被保険者によって生計を維持し、上記の子と生計を同じくしている配偶者

ですので、受給権者の要件も満たしていそうです。

では、次は受給権者に視線を移しましょう。

下の問題は、「子」について論点になったものですが、遺族基礎年金の受給権はどの段階から発生するのでしょうか。

 

夫が死亡時に胎児だった「子」についての取り扱い

(平成30年問8C)

夫が死亡し、その死亡の当時胎児であった子が生まれ、妻に遺族基礎年金の受給権が発生した場合、当該受給権の発生日は当該夫の死亡当時に遡ることとなり、当該遺族基礎年金は当該子が出生するまでの期間、支給停止され、当該子の出生により将来に向かって支給停止が解除される。なお、当該子以外に子はいないものとする。

 

解説

解答:誤り

受給権の発生日は当該夫の死亡当時に遡る、の部分が誤りです。

被保険者または被保険者であった者の死亡の当時に、胎児であった子が生まれたときは、

その子については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時にその者によって生計を維持していたものとみなされ

子が生まれた時から将来に向かって遺族基礎年金の受給権が発生する形になります。

なので、受給権が夫の死亡時までさかのぼるわけではありませんので注意が必要です。

では最後に、「生計維持」について確認しておきましょう。

被保険者によって生計を維持しているということは、生計が同じであることが必要で、

つまり家計のお財布が同じであることになるのですが、

維持される側については、一定の収入以下でないと「維持」になじまなくなってきます。

その収入の規定がどうなっているのか、次の問題で見ておきましょう。

 

生計維持と認められるための収入要件は?

(令和2年問1ウ)

遺族基礎年金の支給に係る生計維持の認定に関し、認定対象者の収入については、前年の収入が年額850万円以上であるときは、定年退職等の事情により近い将来の収入が年額850万円未満となると認められても、収入に関する認定要件に該当しないものとされる。

 

解説

解答:誤り

生計維持が認定されるには、収入の要件が、「年収850万円未満・年間所得655万5千円未満」である必要があります。

ただ、現時点で年収850万円以上あったとしても、近い将来に定年退職などで収入が下がり、要件を満たすようであれば、生計維持要件を満たすものとされます。

ちなみに、年収と年間所得の違いですが、自営業の場合、

「年収 → 売り上げ」で、「年間所得 → 売り上げから必要経費を引いた額」ということになります。

 

今回のポイント

  • 遺族基礎年金支給要件は、
    • 被保険者が、死亡したとき
    • 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき
    • 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が、死亡したとき
    • 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき

となっています。

  • 保険料納付済期間保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある被保険者が死亡した場合には、保険料納付要件は問われません
  • 保険料納付要件の原則は、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、その被保険者期間の中に保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、被保険者期間の「3分の2」以上あることが必要です。
  • ただ、令和8年4月1日前の死亡については、死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間保険料免除期間しかなく、保険料を滞納していなければ保険料納付要件を満たしたものとされます。
  • 被保険者または被保険者であった者の死亡の当時に、胎児であった子が生まれたときは、その子については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時にその者によって生計を維持していたものとみなされ子が生まれた時から将来に向かって遺族基礎年金の受給権が発生する形になります。
  • 生計維持が認定されるには、収入の要件が、「年収850万円未満・年間所得655万5千円未満」である必要がありますが、現時点で年収850万円以上あったとしても、近い将来に定年退職などで収入が下がり、要件を満たすようであれば、生計維持要件を満たすものとされます。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

ケアレスミス防止策は、「早く問題を解く」練習をすると良いです。

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