「社労士試験 健康保険法 5分で読める被保険者に関する論点」過去問・健保-54

健康保険法で被保険者に関する出題はかなり多いです。

これは、適用除外の要件が多くてややこしい、の一言につきますね。

しかも、短時間労働者について、被保険者への適用拡大が行われたこともまだ記憶に新しいところです。

それだけ被保険者について、出題の論点が満載だということですね。

なので、一度に押さえるのは大変ですので、少しずつでも自分のものにしていきましょう。

それでは最初の問題に進みますね。

1問目は、被保険者資格について、「試用期間」が絡んだ問題になっていますので見ていきましょう。

 

試用期間と被保険者資格

(令和2年問9E)

適用事業所に期間の定めなく採用された者は、採用当初の2か月が試用期間として定められていた場合であっても、当該試用期間を経過した日から被保険者となるのではなく、採用日に被保険者となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

規定では、適用事業所に使用されるに至った日に被保険者の資格を取得することになっています。

たとえ雇い入れのスタートが使用期間だったとしても、適用事業所に使用されることには変わりありませんので、採用日に被保険者になります

では、雇い入れ日からいきなり自宅待機となり、仕事をしていない場合はどうなるのでしょうか。

たとえば新型コロナウイルスの影響で会社が休業となり、採用日に従業員に自宅待機を命じることもあるかもしれません。

そのような場合の被保険者の資格取得日はいつになるのでしょうか。

 

雇用契約が成立しても自宅待機となった時の取り扱い

(令和2年問4E)

新たに適用事業所に使用されることになった者が、当初から自宅待機とされた場合の被保険者資格については、雇用契約が成立しており、かつ、休業手当が支払われているときは、その休業手当の支払いの対象となった日の初日に被保険者の資格を取得するものとされる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

雇用契約が成立しているものの、適用事業所の都合で自宅待機になった場合は、労働基準法第26条に基づいて休業手当が支払われることになります。

ということは、現実に仕事をしていなくても適用事業所の従業員であることには変わりありませんので、休業手当の支払日の初日が被保険者資格の取得日となります。

こちらは、通達がありますので、リンクを貼っておきますね。

 

参考記事:一時帰休等の措置がとられた場合における健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格及び標準報酬の取扱いについて 昭和五〇年三月二九日 保険発第二五号・庁保険発第八号

 

次は、派遣労働者の被保険者資格について見てみましょう。

派遣労働者の場合、派遣先の都合によっては次の派遣先で仕事を開始する日が空いてしまい、働いていない日が発生することも十分考えられます。

そのような場合、被保険者資格は一旦喪失してしまうのでしょうか。

下の過去問で確認しましょう。

 

派遣先が変わる時に被保険者資格はどうなる?

(平成23年問1B)

労働者派遣事業の事業所に雇用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者の被保険者資格の取扱いは、派遣就業に係る一の雇用契約の終了後、最大1か月以内に同一の派遣元事業主のもとで派遣就業に係る次回の雇用契約(1か月以上のものに限る。)が確実に見込まれるときは、使用関係が継続しているものとして取り扱い、被保険者資格を喪失させないことができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

派遣先との契約が終わってから、最大1ヶ月以内に次の派遣先への就業がすることが決まっている場合は、被保険者資格を継続することができます。

ただ、当然のことながら派遣元会社が同じである必要があり、次の派遣先への就業が1ヶ月以上であることが条件です。

ちなみに、問題文にある「派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者」というのは、登録型派遣労働者のことを指しています。

こちらについても通達のリンクを貼っておきますので、よろしければご覧になってくださいね。

 

参考記事:派遣労働者に対する社会保険適用の取扱いについて」の一部改正について〔厚生年金保険法 平成27年9月30日 保保発0930第9号 年管管発0930第11号

 

さて、次は短時間正社員の被保険者への適用を見ておきましょう。

短時間正社員を健康保険の被保険者として適用するのはどのような基準があるのでしょうか。

 

短時間正社員が被保険者になるためには

(平成24年問2D)

短時間正社員の健康保険の適用については、①労働契約、就業規則及び給与規定等に、短時間正社員に係る規定がある、②期間の定めのない労働契約が締結されている、③給与規定等における、時間当たり基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用されている同種フルタイムの正規型の労働者と同等である場合であって、かつ、就労実態も当該諸規定に即したものとなっているといった就労形態、職務内容等をもとに判断することとなっている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

基本的に、所定の要件を満たせば短時間労働者は健康保険の適用除外になるわけですが、

この短時間労働者を健康保険に適用するにあたっては、通達により、その事業所の就業規則などにおける短時間正社員の位置づけを踏まえつつ、

労働契約の期間給与等の基準等の就労形態職務内容等を基に判断するものであること、となっており、

具体的には、

  1. 労働契約、就業規則及び給与規程等に、短時間正社員についての規定がある
  2. 期間の定めのない労働契約が締結されている
  3. 給与規程などで、時間当たりの基本給や賞与、退職金などの算定方法等が、同一事業所に雇用される同種フルタイムの正規型の労働者と同等で、かつ、就労実態も規程に則したものとなっている

ときは、健康保険の被保険者として取り扱うこと、となっています。

つまり、働いている時間が短いだけで、それ以外は正社員と同じような感じがしますね。

では最後に、短時間労働者が被保険者になるとした場合に、報酬額の計算方法について取り扱った過去問を見ておきましょう。

 

短時間労働者に対する報酬額の算定方法

(平成30年問8エ)

特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者資格の取得の要件の1つである、報酬の月額が88,000円以上であることの算定において、家族手当は報酬に含めず、通勤手当は報酬に含めて算定する。

 

解説

解答:誤り

短時間労働者の報酬の月額には、通勤手当は報酬に含まれません。

まず、特定適用事業所というのは、適用事業所で使用される被保険者の総数が、直近1年のうち6か月以上500人を超える場合に該当します。

で、短時間労働者が被保険者資格の要件を満たすために必要な「報酬の月額が88,000円以上」かどうかを判定するために、

報酬の額を計算する時は、精皆勤手当通勤手当家族手当は算定に含めません

これらは、最低賃金を計算するときにも含まれないものです。

ちなみに、報酬の額に含めないものには、

  • 結婚手当などの「臨時に支払われる賃金」
  • 賞与など、「1月を超える期間ごとに支払われる賃金」
  • 割増賃金など、所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
  • 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
  • 深夜労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
  • 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当などの、最低賃金において算入しないことを定める賃金

となっています。

こちらも通達が元になっているので、リンクを貼っておきますね。

 

参考記事:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に係る事務の取扱いについて 厚生年金保険法 平成28年5月13日 保保発0513第1号 年管管発0513第1号

 

今回のポイント

  • 適用事業所に使用されるに至った日に被保険者の資格を取得することになっていますので、たとえ雇い入れのスタートが使用期間だったとしても、採用日に被保険者になります。
  • 雇用契約が成立しているものの、適用事業所の都合で自宅待機になった場合は、労働基準法第26条に基づいて休業手当が支払われることになりますが、休業手当の支払日の初日が被保険者資格の取得日となります。
  • 派遣先との契約が終わってから、最大1ヶ月以内に次の派遣先への就業がすることが決まっている場合は、被保険者資格を継続することができますが、派遣元会社が同じである必要があり、次の派遣先への就業が1ヶ月以上であることが条件です。
  • 基本的に短時間労働者は健康保険の適用除外ですが、短時間労働者を健康保険に適用するにする場合、その事業所の就業規則などにおける短時間正社員の位置づけを踏まえつつ、労働契約の期間や給与等の基準等の就労形態、職務内容等を基に判断されることになります。
  • 短時間労働者が被保険者資格の要件を満たすために必要な「報酬の月額が88,000円以上」かどうかを判定するために、報酬の額を計算する時は、精皆勤手当通勤手当家族手当は算定に含めません

 

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