「社労士試験 厚生年金法 保険料の決め手となる標準報酬の考え方」過去問・厚-53

標準報酬」は、厚生年金や健康保険の保険料を決めるために、会社からもらうお給料やボーナス(賞与)の取り扱いを規定するものです。

標準報酬には、「報酬」と「賞与」に分かれており、それぞれ該当する要件が決まっています。

社労士試験でも出題されていますので、過去問を見ていくことにしましょう。

まず、最初の問題は「報酬」についての論点になっています。

通常、お給料は現金(通貨)で支払われるものですが、中には食事や住居などの費用が含まれることがあります。

これが現物支給というものですが、こちらについての規定を見てみましょう。

 

報酬が現物支給の場合、価額はどうやって決める?

(令和2年問5A)

被保険者の報酬月額の算定に当たり、報酬の一部が通貨以外のもので支払われている場合には、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

報酬の一部が通貨以外のもの、たとえば食事などの現物支給で支払われているときに、

報酬月額を算定する場合の価額は、厚生労働大臣がその地方の時価によって定めることになっています。

物価は、その土地によって変わってくるものですから、報酬月額を算定するときも、その地方の時価を参考にして決めているんですね。

具体的にどうなっているかは、日本年金機構に記載されていますのでリンクを貼っておきますね。

 

参考記事:全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)

 

さて、報酬」の定義といえば、被保険者が事業主から労務の対償として支給されるすべてのものが対象になっていて、賃金、給料、手当などその名称は関係ありません

ただ、3カ月を超える期間ごとに受けるもの(たとえば賞与など)や、臨時に支給されるものは報酬の対象外になっています。

では、「見舞金」と聞いてあなたはどのような印象を持ちますか?

一般的には「臨時に支給されるもの」というイメージがありますね。

臨時に支給されるものであれば報酬には該当しなさそうですが、必ずしもそういうわけではなさそうです。

次の問題で確認しましょう。

 

見舞金の支給が労働協約で定められている場合の取り扱い

(平成24年問1A)

労働協約により報酬と傷病手当金との差額を見舞金として支給する場合、当該見舞金は臨時に受け取るものであるので、厚生年金保険法第3条第1項第3号に規定する報酬には含まれない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は、見舞金という名目ではありますが、労働協約で支給すると取り決められたものになるので、雇用関係に基づいた生活費の補償ということになり、「報酬」に含まれます

こういったものは労働基準法の賃金の定義にも出てきましたね。

たとえば、結婚祝金として使用者が支給するものについて、恩恵的に渡すものは労働の対償ではないので賃金になりませんが、

就業規則などで一定の条件に該当すれば支給することが決まっている場合は、賃金に該当します。

どちらも、何らかの取り決めや規定によって支給することが決まっているところが共通点ですね。

さて、次は「賞与」について見ていくことにしましょう。

賞与の定義は、いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、3ヶ月を超える期間ごとに受けるものを言います。

これを押さえた上で、まずは下の過去問を見てみましょう。

 

賞与の定義

(平成29年問4A)

被保険者が労働の対償として毎年期日を定め四半期毎に受けるものは、いかなる名称であるかを問わず、厚生年金保険法における賞与とみなされる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は賞与とはみなされません。

問題文にある「四半期毎」ということは、言い換えれば「3ヶ月ごと」読み替えることができます。

賞与の定義は、「3月を超える期間ごとに受けるもの」ですから、賞与とはならず、報酬ということになります。

では、もう少し突っ込んで確認することにしましょう。

次の問題は事例問題ですが、先ほどの定義を当てはめれば大丈夫です。

 

賞与?それとも報酬? 事例問題を見てみましょう

(平成23年問10A)

賞与の支給が、給与規定、賃金協約等の諸規定によって年間を通じて4回以上支給されることが客観的に定められているときは、当該賞与は報酬に該当し、定時決定又は7月、8月若しくは9月の随時改定の際には、7月1日前の1年間に受けた賞与の額を12で除して得た額を、賞与に係る部分の報酬額として算定する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

年間を通じて4回以上支給されることになっているので、賞与の定義である「3月を超える期間ごとに受けるもの」には当てはまりませんね。

なので、問題文のケースでは「報酬」に該当します。

次に、給与規定上の賞与の金額をどのように報酬額として算定するのかというと、

7月1日より前1年分の賞与の額を12等分して通常の給与と合算して、定時決定または随時改定の際に算定することになります。

それでは賞与・報酬についての事例問題をもう1問見てみましょう。

次の問題は、賞与の回数が変更になった場合の取り扱いについて問われています。

 

賞与?それとも報酬? 事例問題を見てみましょう その2

(平成30年問8D)

7月1日前の1年間を通じ4回以上の賞与が支給されているときは、当該賞与を報酬として取り扱うが、当該年の8月1日に賞与の支給回数を、年間を通じて3回に変更した場合、当該年の8月1日以降に支給される賞与から賞与支払届を提出しなければならない。

 

解説

解答:誤

定時決定の基準となる7月1日より後に、賞与の支給回数が少なくなり、報酬になっていた賞与が、3ヶ月を超える支給ペースになったため、規定上の「賞与」に該当したとしても、

来年の定時決定まではこれまで通り「報酬」として取り扱うので、賞与支払届を提出する必要はありません。

こちらについては、通達のリンクを貼っておきますのでご自由にご参考になさってくださいね。

 

参考記事:健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて 昭和五三年六月二〇日 保発第四七号・庁保発第二一号

 

今回のポイント

  • 報酬の一部が通貨以外のもの、たとえば食事などの現物支給で支払われているときに、報酬月額を算定する場合の価額は、厚生労働大臣がその地方の時価によって定めることになっています。
  • 見舞金という一見、臨時に支払われるものであっても、労働協約で支給すると取り決められている場合、雇用関係に基づいた生活費の補償ということになり、「報酬」に含まれます
  • 賞与の定義は、いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、3ヶ月を超える期間ごとに受けるものを指します。

 

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