社労士法ではさまざまな懲戒処分や罰則が規定されていて、社労士試験でもちょくちょく出題されていますが、
どんなことをしたらどんな処分になるのか、ちょっと分かりにくいところがありますね。
そんな場合は、こじつけでもいいので、自分なりのイメージや感想を持っておくと記憶のとっかかりができやすく、オススメです。
単に丸暗記するのは大変ですので試してみてくださいね。
それでは最初の問題を見てみましょう。
社労士法の第16条には
「社会保険労務士は、社会保険労務士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。」
と規定されています。
1人の社労士の軽はずみな行為で、他の社労士に迷惑をかけないようにしてね、ということだと思いますが、
もし、信用失墜行為をしてしまった場合、罰則が課せられてしまうのでしょうか。
下の過去問で確認しましょう。
信用失墜行為を行なってしまったら、、、
(平成29年問3C)
社会保険労務士法第16条に定める信用失墜行為を行った社会保険労務士は、同法第33条に基づき100万円以下の罰金に処せられる。
解説
解答:誤
信用失墜行為をしたとしても罰金などの罰則はありません。
いわゆる訓示規定というものですね。
そもそも、「信用失墜」って定義がフワッとしてますから、どこまでのことをしたら信用が失墜するのか線引きが難しそうですよね。
そのようなものに罰則を規定するのは馴染まない気がしますね。
さて、次の問題では、「相当の注意を怠って」違反行為をしてしまったときの懲戒処分について問われています。
いわば「不注意」で違反行為をしたとき、どこまでの処分が課せられるのでしょうか。
「相当の注意を怠って」法令に違反したときの罰則
(平成28年問3C)
社会保険労務士法第25条の2第2項では、厚生労働大臣は、開業社会保険労務士が、相当の注意を怠り、労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じたときは、当該社会保険労務士の失格処分をすることができるとされている。
解説
解答:誤
設問の「相当の注意を怠り」の場合の懲戒には、「失格処分」はありません。
「相当の注意を怠り」、法令に違反する行為について指示をしたり相談に応じた時の懲戒処分は、
- 戒告
- 1年以内の業務の停止の処分
となっています。
「失格処分」を受けるのは、「故意」に不正行為をしたときが該当します。
「不注意で失格処分は重い」と覚えておくといいかもしれませんね。
では、「相当の注意を怠った」ときの懲戒処分についてもう一問見ておきましょう。
次の問題では、「数字」が論点になっています。(もう答えは先ほど書いてしまっていますが。笑)
注意義務を怠ったときの業務停止になる期間は?
(平成25年問6C)
社会保険労務士は、労働社会保険諸法令に関する事務の専門家として業務の遂行に当たり相当の注意を払うべきことは当然であるから、注意義務を怠り真正の事実に反して申請書の作成を行った場合等についても、その責任を追及され、開業社会保険労務士の場合は、2年間の業務の停止の処分を受けることがある。
解説
解答:誤
「相当の注意を怠って」違反行為をしたときの懲戒処分は、「戒告」と「業務停止処分」ですが、業務停止処分の期間は2年ではなく「1年以内」です。
で、もし業務停止処分をくらってしまったらどうなるのでしょう。
「業務停止」というくらいですから、社労士としての商売ができなくなるということですよね。
具体的にどうしなければならないのか、次の問題で確認しましょう。
業務停止になってしまったら、、、
(令和2年問5ウ)
開業社会保険労務士が、その職責又は義務に違反し、社会保険労務士法第25条第2号に定める1年以内の社会保険労務士の業務の停止の懲戒処分を受けた場合、所定の期間、その業務を行うことができなくなるので、依頼者との間の受託契約を解除し、社会保険労務士証票も返還しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
「業務停止」処分を受けると、社労士としての仕事ができなくなるわけですから、「依頼者との受託契約解除」、「社会保険労務士証票の連合会への返還」をしなければならないということですね。
で、晴れて処分期間が過ぎれば社労士票は返してもらうことができます。
では最後に、社労士業務の請負についての過去問を見ておきましょう。
たとえば、雇用保険や社会保険の加入手続きについて、下請けのような形で仕事を請けることができるのかどうか、社労士法ではどのように規定されているのか下の問題で確認しましょう。
社労士業務の請負は違反になるか
(平成26年問6C)
経営コンサルタント業をしているA社からのあっせんを受け、開業社会保険労務士のB氏が、A社が受注したC社の新入社員の健康保険・厚生年金保険の資格取得手続きを行い、その報酬をA社から受けた場合、A社(元請け)と開業社会保険労務士のB氏(下請け)間で当該手続き業務に関する請負契約を締結していれば、開業社会保険労務士B氏の行為は、社会保険労務士法に抵触することはない。
解説
解答:誤
問題文の場合、社労士法に抵触します。
社労士法第27条では、社労士や社労士法人でない者が社労士業務を商売として行うことができない、と定められています。
(第27条:社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行つてはならない。後略)
この時点で、C社から社労士業務を受注したA社は社労士法違反となってしまいますね。
また、社労士側にも規制があって、第23条の2では、社労士や社労士法人でない者から業務のあっせんを受けたり、名義貸しをすることが禁じられています。
(第23条の2:社会保険労務士は、第26条又は第27条の規定に違反する者から事件のあつせんを受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。)
なので、C社の資格取得手続き業務について、A社から請負契約を結んでいるB氏も社労士法違反ということになります。
今回のポイント
- 信用失墜行為をしたとしても、訓示規定なので、罰金などの罰則はありません。
- 「相当の注意を怠り」、法令に違反する行為について指示をしたり相談に応じた時の懲戒処分は、
- 戒告
- 1年以内の業務の停止の処分
となっています。
- 「業務停止」処分を受けると、「依頼者との受託契約解除」、「社会保険労務士証票の連合会への返還」をしなければなりません。
- 社労士や社労士法人でない人が社労士業務を商売として行うことができず、社労士側も、社労士や社労士法人でない者から業務のあっせんを受けたり、名義貸しをすることは禁じられています。
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