失業等給付から独立した育児休業給付ですが、会社で取得している人も多いので馴染みはあるのではないでしょうか。
ただ、給付の要件や内容について、社労士試験でよく出題されていますが、パパママ育休プラスなど、ちょっと理解するのに戸惑うものもありますので、手堅く自分のものにしたいですね。
では最初の問題を見てみましょう。
取っ付きにくいパパママ育休プラスについての問題になっています。
育児休業はいつまで取ることができる?
(平成23年問6A)
被保険者の養育する子について、当該被保険者の配偶者が、その子が1歳に達する日以前にその子を養育するために育児休業している場合、当該被保険者は、一定の要件を満たせば、その子が1歳2か月に達する日の前日までに自らが取得した育児休業について、育児休業給付金の支給を受けることができるが、支給対象となる期間は、配偶者との合計で1年が上限となる。
解説
解答:誤
いわゆるパパママ育休プラスの場合の育児休業給付金の支給対象期間は、「配偶者との合計で1年」ではなく、 被保険者と配偶者1人ずつについて1年間となっています。
母の場合は、産後休業と育児休業を合わせて1年というようになっています。
ここで、男性が育児休業を取るときに、いつから休めるのかを確認しておきましょう。
次の問題では、男性の育児休業の起算日という表現をしています。
男性が育児休業を取るときの起算日
(平成29年問6D)
育児休業給付金の支給対象となる男性が取得する育児休業は、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の出産日から8週間を経過した日を起算日とする。
解説
解答:誤
男性が育児休業を取るときは、「出産日から8週間を経過した日」ではなく「出産日」が育児休業を開始できる起算日になります。
2019年度の男性の育児休業取得率は、およそ7.5%ということですから、男性の育児休業がもっと普及するといいですね。
では、育児休業給付金を受給できないパターンを見ておきましょう。
育児休業給付金を受給できない要件にはどんな場合があるのでしょうか。
こんな時、育児休業給付金を受給できない
(平成29年問6C)
育児休業給付金を受給している被保険者が労働基準法第65条第1項の規定による産前休業をした場合、厚生労働省令で定める特別の事情がなければ育児休業給付金を受給することができなくなる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
育児休業給付金を受給できるタイミングで産前休業をしている場合は、育児休業給付金は支給されません。
育児休業給付金が支給されない要件として、
- 子が1歳になったとき(原則)
- 子が亡くなったり養育しなくなった場合
- 産前産後休業、介護休業の期間
があります。
産前産後休業中は健康保険から出産手当金が、介護休業の場合は介護休業給付金が支給される可能性があるから、と覚えておくといいですね。
さて、育児休業給付金を受給するには、原則として育児休業を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上ある必要がありますが、
2年より前に被保険者期間があっても参入されないのでしょうか。
みなし被保険者期間は2年前より前は参入されない??
(平成23年問6D)
事業主が雇用保険に関する届出等の手続を怠っていたため、雇用保険法第22条第5項が定める特例によって、被保険者の確認があった日の2年前の日よりも前に被保険者となったものとされる被保険者の場合であっても、育児休業給付及び介護休業給付の受給要件であるみなし被保険者期間に関しては、被保険者の確認があった日の2年前の日よりも前の期間は算入されない
解説
解答:誤
被保険者の確認があった日の2年前の日よりも前の期間は算入されない、というのは誤りです。
問題文のように、事業主のミスで雇用保険の届出ができていなかったにもかかわらず、雇用保険料が賃金から引かれていた「特例対象者」については、
賃金から控除されていた一番古い時期以後は被保険者期間に含めてくれるので、育児休業給付を受けようとするときも、
2年より前であってもみなし被保険者期間として算入してくれます。
ちなみに介護休業給付でも同じ取り扱いになります。
では最後に、育児休業給付金の支給申請の方法について次の問題で見ておきましょう。
育児休業給付金の申請方法とは
(平成25年問5C)改正
被保険者は、初めて育児休業給付金の支給を受けようとするときは、育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書の提出を、雇用保険法第61条の7第3項に規定する支給単位期間の初日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までにしなければならない。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:誤
はじめて育児休業給付金の支給申請をする場合、支給単位期間の初日から起算して、「2か月」ではなく、
「4ヶ月」を経過する日の属する月の末日までに、事業主を経由して申請書を提出する必要があります。
ちなみに、介護休業給付金の場合は、介護休業を終了した日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日までに申請しなければなりません。
今回のポイント
- パパママ育休プラスの場合の育児休業給付金の支給対象期間は、「配偶者との合計で1年」ではなく、 被保険者と配偶者1人ずつについて1年間となっています。
- 男性が育児休業を取るときは、「出産日」が育児休業を開始できる起算日になります。
- 育児休業給付金が支給されない要件として、
- 子が1歳になったとき(原則)
- 子が亡くなったり養育しなくなった場合
- 産前産後休業、介護休業の期間
があります。
- 特例対象者については、賃金から控除されていた一番古い時期以後は被保険者期間に含めてくれるので、育児休業給付を受けようとするときも、2年より前であってもみなし被保険者期間として算入してくれます。
- はじめて育児休業給付金の支給申請をする場合、支給単位期間の初日から起算して、「4ヶ月」を経過する日の属する月の末日までに、事業主を経由して申請書を提出する必要があります。
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