過去問

「社労士試験 徴収法 ちょっと苦手な督促や延滞金を克服する方法」過去問・徴-45

私が社労士試験の勉強をしていたとき、督促延滞金と聞くと、特例基準割合など数字の話が出てくるので、けっこう苦手意識がありましたね。

なので、問題を解いていたりテキストを読むときには拒否反応と闘っていながら勉強してました。

まさに自分との闘いでしたね。苦笑

でも、今から思うと、苦手なものに対しては真正面からぶつかるのもいいですが、

1回の勉強はさらっと流しておいて、そのかわり勉強する頻度を上げるやり方が良かったと感じました。

勉強に対するストレスをできるだけ低くしてモチベーションを保つ戦略もアリだと思いますね。

では最初の問題を見てみましょう。

どういったときに督促をするのか具体例をあげた過去問になっています。

はたして問題文のケースは督促をすることができるのでしょうか。

 

督促の具体例(概算保険料)

(令和元年雇用問8A)

労働保険徴収法第27条第1項は、「労働保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、期限を指定して督促しなければならない。」と定めているが、この納付しない場合の具体的な例には、保険年度の6月1日を起算日として40日以内又は保険関係成立の日の翌日を起算日として50日以内に(延納する場合には各々定められた納期限までに)納付すべき概算保険料の完納がない場合がある。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

督促は、労働保険料などの徴収金を納付しない者がいる場合、政府が期限を指定して支払いを促すものです。

労働保険料の例として問題文には、継続事業や一括有期事業の概算保険料が挙げられていますね。

政府が督促をするときは、督促状が発せられるわけですが、督促状には納期限が書いてあり、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日に設定されます。

もし納期限までに労働保険料を納付しなければ、政府は国税滞納処分の例によって処分されることになります。

つまり、最終的には財産が差し押さえられる、ということになるのですね。

このように、督促は財産の差し押さえにつながるものですが、督促をするにもルールがちゃんとありまして、

「こんな形で督促してもダメだよ」

という例が次の過去問で出ていますので見てみましょう。

 

正しく督促をする方法

(令和元年雇用問8C)

労働保険徴収法第27条第2項により政府が発する督促状で指定すべき期限は、「督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならない。」とされているが、督促状に記載した指定期限経過後に督促状が交付され、又は公示送達されたとしても、その督促は無効であり、これに基づいて行った滞納処分は違法となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、督促状に記載した指定期限経過後に督促状を交付しても、その督促状は無効だよ、ということなのですが、

たとえば、納期期限が11月15日なのに督促状を交付する日が11月20日だったらどうしようもないですよね。

つまり、「督促状を交付する日」が「納期限(督促状発送日から10日後以降)の日」を過ぎてしまったら、その督促状は無効ですよ、というお話になるわけです。

まあ、当たり前と言えばそのとおりなのでしょうが、本試験場で緊張している状態でこの文章を読んだときに、

「え?こんなことテキストに書いてあったっけ??」

と受験生の心を揺さぶる陽動作戦なのかもしれませんね。

さて、次は督促の効果について見てみることにしましょう。

督促の目的は、お金をきちんと回収することなのですが、そのために督促が役割を果たすことで得られるものは何なのでしょう。

 

督促をすることで得られる効果とは

(平成25年雇用問10C)

労働保険料を滞納する事業主に対する所轄都道府県労働局歳入徴収官の督促は、納付義務者に督促状を送付することによって行われるが、督促の法的効果として、
① 指定期日までに督促にかかる労働保険料を完納しないときは滞納処分をなすべき旨を予告する効力を有し、滞納処分の前提要件となるものであること
時効の更新の効力を有すること
③ 延滞金徴収の前提要件となること
が挙げられる。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働保険料を確実に回収するために、督促をすることで得られる効果は、

  • 「払わないと滞納処分(差し押さえ)するよ」という予告をして支払いをうながす
  • 時効の進行がリセットされるので、回収するための時間を確保できる
  • 督促状には納期限が書かれているので、延滞金を算定する起算日が明確になる

ということですね。

で、督促をしても納期限まで労働保険料が支払われなければ、いよいよ延滞金が発生するわけですが、その利息がどのように規定されているのか次の問題でチェックしましょう。

 

延滞金の計算方法は?

(平成29年雇用問9E)

労働保険料を納付しない者に対して、令和2年中に、所轄都道府県労働局歳入徴収官が督促したときは、労働保険料の額に、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年7.3%)を乗じて計算した延滞金が徴収される。

 

解説

解答:誤

ついつい読み飛ばしてしまいそうですが、延滞金の利息は、

納期限の翌日から、その「完納又は財産差押えの日」までではなく、「完納又は財産差押えの前日」までの期間の日数に応じて決まることになります。

で、延滞金の利息は、

  • 納期限の翌日から2月を経過する日までの期間 → 年「7.3%」or「特例基準割合+1%低いほう
  • 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日   → 年「14.6%」or 「特例基準割合+7.3%低いほう

が採用されるということになっていて、特例基準割合は年によって変わってきますので、お手持ちのテキストで確認して見てくださいね。

では最後に延滞金が及ぶ範囲について確認しましょう。

先ほどから出ているように、延滞金は労働保険料などの徴収金にかかるわけですが、次の問題の場合はどうなるでしょうか?

 

追徴金にも延滞金が??

(平成29年雇用問9C)

認定決定された確定保険料に対しては追徴金が徴収されるが、滞納した場合には、この追徴金を含めた額に対して延滞金が徴収される。

 

解説

解答:誤

延滞金は確定保険料にはかかりますが、追徴金にはかかりません。

確定保険料は労働保険料なので滞納すると延滞金の対象になるのですが、追徴金はペナルティであって労働保険料ではないので延滞金の対象外になるのですね。

ペナルティにも利息がかかったとしたら、それこそ鬼のようですね。笑

ちなみに、追徴金の額は納付すべき額の100分の10で延滞金と比べるとシンプルですね。

 

今回のポイント

  • 督促は、労働保険料などの徴収金を納付しない者がいる場合、政府が期限を指定して支払いを促すものです。
  • 納期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日に設定されます。
  • 督促状に記載した指定期限経過後に督促状を交付しても、その督促状は無効です。
  • 督促をすることで得られる効果は、
    • 「払わないと滞納処分(差し押さえ)するよ」という予告をして支払いをうながす
    • 時効の進行がリセットされるので、回収するための時間を確保できる
    • 督促状には納期限が書かれているので、延滞金を算定する起算日が明確になる

    ということですね。

  • 延滞金の利息は、納期限の翌日から「完納又は財産差押えの前日」までの期間の日数に応じて決まることになります。
  • 延滞金は労働保険料にかかりますが、追徴金にはかかりません。

 

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