過去問

「社労士試験 国民年金法 過去問で読み解く障害基礎年金のキモ」過去問・国-57

国民年金のヤマの一つである障害基礎年金を取り上げたいと思います。

一口に障害基礎年金といっても、本体の支給要件から、事後重症、基準障害、20歳前の障害基礎年金などバラエティに富んでいますので、なかなか骨がありますね。

一度に覚えようと思ってもすぐに忘れてしまうので(私はそうです苦笑)、

年金科目全体に言えることですが、毎日10分でもいいので触れておくと定着してきますのでお試しいただければと思います。

それでは最初の問題を見てみましょう。

下の問題では、障害基礎年金の支給要件が論点になっていますのでここからスタートしますね。

 

障害基礎年金の支給要件

(令和2年問1イ)

初診日において被保険者であり、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態にあるものであっても、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がない者については、障害基礎年金は支給されない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合は、障害基礎年金が支給されます。

これは、障害基礎年金の保険料納付要件をチェックする必要があるのですが、規定によると、

『当該傷病に係る初診日の前日において、

当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり

かつ

当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2満たないときは、

この限りでない(障害基礎年金を支給しない)』

となっています。

上記の保険料納付要件は、初診日の前日時点で、初診日の前々月までに被保険者期間がある人が対象になっていますので、

問題文のように、そもそも被保険者期間が「ない」人は保険料納付要件の対象外ということになりますね。

考えられるケースとしては、20歳になって第1号被保険者になったものの、直後にケガをした場合です。

では、この保険料納付要件についてもう少し見てみましょう。

下の問題では、21歳6ヶ月の時に初診日になるケガをしているのですが、障害基礎年金をもらうことができるのでしょうか。

 

保険料納付要件の考え方

(平成28年問8A)

20歳に到達した日から第1号被保険者である者が、資格取得時より保険料を滞納していたが、22歳の誕生月に国民年金保険料の全額免除の申請を行い、その承認を受け、第1号被保険者の資格取得月から当該申請日の属する年の翌年6月までの期間が保険料全額免除期間となった。当該被保険者は21歳6か月のときが初診日となるけがをし、その後障害認定日において当該けがが障害等級2級に該当していた場合、障害基礎年金の受給権が発生する。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合は、残念ながら障害基礎年金の受給権は発生しません。

障害基礎年金の保険料納付要件は、

  • 「初診日の前日時点で」
  • 「初診日の前々月までに被保険者期間があって」
  • 「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上」

あればオーケーでしたね。

では、問題文の状況を整理してみましょう。

  1. 20歳から第1号被保険者
  2. 21歳6ヶ月の時に初診日
  3. 22歳の誕生月で全額免除申請が承認

となっていますね。

22歳で全額免除申請が承認されているものの、21歳6ヶ月の初診日の前日時点では保険料をすべて滞納していて保険料納付要件が満たされていないので、障害基礎年金は受給できないということになりますね。

なので、初診日以降に保険料免除期間になってもアカンということです。

それでは、基準障害について取り扱っている過去問を見てみましょう。

下の問題では、基準障害についての障害基礎年金の請求期限が論点になっています。

別の要件と混同しないようにしたいところです。

 

基準障害による障害基礎年金の請求期限

(平成29年問7D)

国民年金法第30条の3に規定するいわゆる基準障害による障害基礎年金は、65歳に達する日の前日までに基準障害と他の障害を併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当したとしても、その請求を65歳に達した日以後に行うことはできない。

 

解説

解答:誤り

基準障害による障害基礎年金の請求は、「65歳に達した日以後でも可能」です。

基準障害と他の障害を併合して障害等級に該当する状態になるタイミングは「65歳に達する日の前日までに」という要件がありますが、

請求は65歳を過ぎても大丈夫です。

ただ、障害基礎年金は障害の状態になった時点にさかのぼって支給されるわけではなく、請求があった翌月から支給開始になります。

ちなみに、65歳に達する日の前日までに請求しないといけないのは、「事後重症による障害基礎年金」ですね。

さて、次は、20歳前傷病による障害基礎年金を取り上げたいと思います。

下の問題では、支給要件について問われていますので見ていきましょう。

 

20歳前傷病による障害基礎年金の支給要件

(平成30年問10A)

傷病の初診日において19歳であった者が、20歳で第1号被保険者の資格を取得したものの当該被保険者の期間が全て未納期間であった場合、初診日から1年6か月経過後の障害認定日において障害等級1級又は2級に該当していたとしても、障害基礎年金の受給権は発生しない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合は、障害基礎年金の受給権が発生します。

20歳前傷病の障害基礎年金の場合は、初診日が20歳未満ということで、第1号被保険者になっておらず、保険料を納められないわけですから、

20歳前傷病の障害基礎年金の場合は、保険料の納付要件はありません。

なので、所定の要件を満たせば、障害基礎年金の受給権が発生します。

ただ、保険料を納めていない分、一定の所得がある場合は支給停止になる可能性があります

では最後に、20歳前傷病の障害基礎年金が受給権が発生するタイミングについて、下の問題を確認しましょう。

 

20歳前傷病による障害基礎年金の受給権開始はいつ?

(平成26年問9A)

被保険者でなかった19歳の時に初めて医療機関で診察を受け、うつ病と診断され継続して治療している現在25歳の者は、20歳に達した日の障害状態が障害等級1級又は2級に該当していれば、その日に20歳前傷病による障害基礎年金の受給権が発生する。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、障害基礎年金の受給権が発生するのは、20歳に達した時ではなく、

継続して治療しているということなので、障害認定日は初診日から1年6ヶ月経過した日の「障害認定日」となります。

障害認定日は、初診日から1年6ヶ月経過した日か、1年6ヶ月以内に「治った」日というのがポイントです。

で、障害基礎年金の受給権は、

  • 障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日
  • 障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日

に障害等級に該当している時に発生します。

 

今回のポイント

  • 障害基礎年金の保険料納付要件は、『当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がありかつ当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2満たないときは、この限りでない(障害基礎年金を支給しない)』となっています。
  • 基準障害と他の障害を併合して障害等級に該当する状態になるタイミングは「65歳に達する日の前日までに」という要件がありますが、基準障害による障害基礎年金の請求は、「65歳に達した日以後でも可能」です。
  • 20歳前傷病の障害基礎年金の場合は、保険料の納付要件はありません。
  • 障害基礎年金の受給権は、
    • 障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日
    • 障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日

    に障害等級に該当している時に発生します。

 

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