「社労士試験 労基法 事例問題で読み解く割増賃金の計算方法」過去問・労基-49

割増賃金の計算をするには、時間外労働、休日労働がどのように規定されているのかを押さえることが必要です。

それが分かれば、あとはパズルのピースをはめるように当てはめていけば割増賃金の計算もできるようになります。

今回は事例問題を使って割増賃金がどのように扱われるのかを見ていくことにしましょう。

 

平成30年問3 問題文

労働基準法第 35 条に定めるいわゆる法定休日を日曜とし、月曜から土曜 までを労働日として、休日及び労働時間が次のように定められている製造業 の事業場における、労働に関する時間外及び休日の割増賃金に関する記述の うち、正しいものはどれか。
:休  :6  :6  :6  :6  :6  :6

労働日における労働時間は全て
始業時刻:午前10時、終業時刻:午後5時、休憩:午後1時から1時間

休日労働と時間外労働の関係

(A)日曜に10時間の労働があると、休日割増賃金の対象になるのは8時間で、8時間を超えた2時間は休日労働に加えて時間外労働も行われたことになるので、割増賃金は、休日労働に対する割増率に時間外労働に対する割増率を加算する必要がある。

 

解説

解答:誤り

法定休日に働いた場合、時間外労働の概念がないので、8時間を超えて労働しても、時間外の割増賃金賃金は発生しません。

法定休日は、そもそも労働日ではないので、法定労働時間が存在せず、どれだけ働いても「時間外」になることはないのです。

ただ、休日労働でも深夜割増賃金は適用されますので、区別しておく必要がありますね。

では、休日割増賃金はどこまでの範囲まで及ぶのでしょうか。

具体的に「何時まで」という規定はあるのでしょうか。

休日割増賃金の範囲は?

(B)日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、その間の労働は全てが休日割増賃金対象の労働になる。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、その間の労働の「すべて」ではなく、法定休日である日曜の午前0時から午後12時までのあいだに労働した時間が休日労働ということになります。

つまり、法定休日は暦日で区切られているんですね。

なので、問題文の場合の休日労働は、日曜の午後8時から月曜の午前0時になるまでということになります。

月曜日の午前0時になると休日労働ではなく、前日の22時から適用されている深夜割増賃金のみのカウントになります。

ちなみに、法定休日は日曜でなくてはならない訳ではないので、就業規則などで任意に決めることができます。

休日のカウントの仕方はわかりましたが、「労働日」の区切りはどうなっているのでしょうか。

休日と同じく、暦日で判断されるのでしょうか??

 

1日の労働の範囲

(C)月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

通常、「1日」というと、午前0時から午後12時までのいわゆる暦日を指しますが、問題文のように継続した勤務が2日にわたっている場合、1勤務として判断し、2日に分けることはしません。

ずっと仕事してるのに、2日の勤務にされたらお給料の計算とかややこしいことになりそうですよね。

さて、今度は時間外労働から休日労働に切り替わる境界がどこにあるのかを次の問題で見てみましょう。

 

時間外労働と休日労働の境目は?

(D)土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前3時までの労働に対する割増賃金は、土曜の勤務における時間外労働時間として計算される。

 

解説

解答:誤り

問題文のように土曜に仕事を始めて日曜日の午前3時まで仕事をした場合、勤務としては「1勤務」として取り扱いますが、

割増賃金の目線で見た場合、日曜日の午前0時になると、時間外労働から休日労働に切り替わります。

先ほどの(B)の問題にも出てきましたが、休日は暦日で区切りますので、休日になると時間外労働の概念はなくなり、休日割増賃金も午前0時からカウントされるということになります。

では最後に、割増賃金の計算方法について次の問題で確認しておきましょう。

 

割増賃金の計算方法

(E)日曜から水曜までは所定どおりの勤務であったが、木曜から土曜までの3日間の勤務が延長されてそれぞれ10時間ずつ労働したために当該1週間の労働時間が48時間になった場合、土曜における10時間労働の内8時間が割増賃金支払い義務の対象労働になる。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、割増賃金の対象になるのは、「土曜における10時間労働の内8時間」ではなく、

  • 木曜日、金曜日の10時間のうち8時間を超えた2時間 → 2H×2日=4時間
  • 土曜日の10時間のうち4時間

が時間外労働割増賃金の対象になります。

どういうことかというと、労働基準法第32条では次のように規定しています。

  1. 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
  2. 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

まず、木曜日と金曜日は8時間を超えて、法定労働時間を2時間オーバーしていますね。

次に1週間単位で時間外労働を見ていきますが、各曜日の労働時間は、

  • 月、火、水 →  6H×3日=18H
  • 木、金、土 →  8H+8H+10H=26H

(木曜日と金曜日の8時間を超えた2時間についてはすでに1日単位の時間外労働としてカウントしていますので、上記の木曜と金曜は「8H」として計算しています。)

となりますので、合計すると、「18H+26H=44H」となり40時間を超えた4時間分が時間外労働になっています。

なので、木曜と金曜の時間外労働「4H」と40時間を超えた土曜日の「4H」を足して、合計8時間が時間外労働の割増賃金の対象になります。

 

今回のポイント

  • 法定休日に働いた場合、時間外労働の概念がないので、8時間を超えて労働しても、時間外の割増賃金賃金は発生しません。
  • 休日労働は、法定休日である日曜の午前0時から午後12時までのあいだに労働した時間ということになります。
  • 継続した勤務が2日にわたっている場合は、1勤務とし、2日に分けることはしません。
  • 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならず、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはなりません。

 

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