被保険者になるための要件を勉強するには、被保険者にならない要件、つまり適用除外になるものを押さえるといいですね。
また、資格を喪失するタイミングも被保険者に関する重要な要件ですが、
「その日の喪失」や「翌日の喪失」の区別にも法則のようなものがありますので、今回の記事で少しでも参考になるものがあれば幸いです。
では最初の問題を見てみましょう。
通常、雇用保険では株式会社の代表取締役が被保険者になることはありませんが、厚生年金の場合はどうなのでしょうか。
下の問題で確認しましょう。
株式会社の代表取締役が被保険者に?
(令和2年問6E)
株式会社の代表取締役は、70歳未満であっても被保険者となることはないが、代表取締役以外の取締役は被保険者となることがある。
解説
解答:誤り
株式会社の代表取締役が、被保険者になることはありえます。
つまり、法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人の代表者であっても、法人に使用される者として被保険者の資格を取得することになります。
なので、法人から見たら代表者も労働者になるってイメージですね。
次は船員と被保険者との関係について見てみましょう。
船舶所有者に使用される船員も、被保険者の適用除外に当てはまるのかどうかが、下の問題の論点になっています。
船舶所有者に使用される船員が被保険者の適用除外になるか
(平成25年問1ウ)
船舶所有者に臨時に使用される船員であって、その者が引き続き1か月未満の期間日々雇い入れられる場合、厚生年金保険の被保険者とならない。
解説
解答:誤り
臨時に使用される者の適用除外要件は、「船舶所有者に使用される船員」には適用されません。
つまり、「日々雇い入れられる者」、「2月以内の期間を定めて使用される者」といった臨時に使用される者は、
原則としては被保険者になりませんが、「船舶所有者に使用される船員」には適用されず、被保険者になります。
船員さんは強い(?)ですね。笑
さて、適用除外といえば特定適用事業所ではたらく人に対しても要件があります。
特定適用事業所に使用されている人が被保険者に「ならない」要件を次の問題で確認しましょう。
特定適用事業所ではたらく人が適用除外になる要件
(令和2年問7ア)
特定適用事業所に使用される者は、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満であって、厚生年金保険法の規定により算定した報酬の月額が88,000円未満である場合は、厚生年金保険の被保険者とならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
特定事業所に使用される者で、勤務時間や勤務日数が通常の労働者(たとえばフルタイムではたらく正社員)の4分の3未満である
いわゆる短時間労働者の場合、次のいずれかに該当する場合は被保険者の適用除外になります。
それは、
- 1週間の所定労働時間が20時間未満
- その事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれない
- 報酬について資格取得時決定で算定した額が88,000円未満
- 高校生、大学生など
となります。
このあたりは数字の要件が多いですので、少しずつでも確実に押さえていきたいところですね。
今度は、被保険者の資格喪失に目を向けてみましょう。
被保険者がいつ資格喪失するのかが次の問題の論点になっています。
被保険者が資格を喪失するタイミング
(平成27年問2E)
被保険者(高齢任意加入被保険者及び第4種被保険者を除く。)は、死亡したときはその日に、70歳に達したときはその翌日に被保険者資格を喪失する。
解説
解答:誤り
問題文の場合、被保険者が資格を喪失するタイミングは、
- 死亡したとき → 「その翌日」
- 70歳に達したとき →「その日」
です。
どうやって区別して覚えるのかというと、
70歳になるタイミングは前から分かっているので「その日」、
被保険者が亡くなるのはいつになるか分からないので「翌日」、
にそれぞれ資格喪失するんだと覚えるとスムーズに思い出せますね。
では最後に、ある雇用契約と次の雇用契約との間に空白期間がある場合、被保険者の資格がどうなるのか見てみましょう。
通常は雇用契約が切れれば被保険者の資格も喪失するのが普通ですが、、、?
契約期間に数日の空白がある場合の被保険者資格の取り扱い
(平成26年問9D)
有期の雇用契約が数日の間を空けて再度行われる場合、雇用契約の終了時にあらかじめ、事業主と被保険者との間で次の雇用契約の予定が明らかであるような事実が認められるなど、就労の実態に照らして事実上の使用関係が中断することなく存続しているものと判断される場合には、被保険者資格は喪失しない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
通常は、雇用契約が消滅したら被保険者の資格も喪失しますが、次の雇用契約が成立することが分かっていて、
まだ雇用関係が続くと判断されるのであれば、わざわざ資格喪失させてまた資格取得するようなことはせずに、
被保険者資格をそのまま存続させることになります。
ただ、このような処置は、それぞれのケースごとに判断することになっています。
今回のポイント
- 法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人の代表者であっても、法人に使用される者として被保険者の資格を取得することになります。
- 「日々雇い入れられる者」、「2月以内の期間を定めて使用される者」といった臨時に使用される者は、原則としては被保険者になりませんが、「船舶所有者に使用される船員」には適用されず、被保険者になります。
- 特定事業所に使用される者で、勤務時間や勤務日数が通常の労働者(たとえばフルタイムではたらく正社員)の4分の3未満であるいわゆる短時間労働者の場合、次のいずれかに該当する場合は被保険者の適用除外になるのですが、それは
- 1週間の所定労働時間が20時間未満
- その事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれない
- 報酬について資格取得時決定で算定した額が88,000円未満
- 高校生、大学生など
となります。
- 被保険者が資格を喪失するタイミングは、
- 死亡したとき → 「その翌日」
- 70歳に達したとき →「その日」
です。
- 次の雇用契約が成立することが分かっていて、まだ雇用関係が続くと判断されるのであれば、わざわざ資格喪失させてまた資格取得するようなことはせずに、被保険者資格をそのまま存続させることになります。
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