基本手当は原則として、4週間に1回ずつ支給されますが、その28日それぞれの日について失業の認定が行われるので、
基本手当の1回あたりの受給額は、「基本手当の日額×失業した日」ということになります。
で、その基本手当の日額をどのように算出するのかというと、「賃金日額×給付率」になるわけで、
「賃金日額」は離職前の賃金を基に算定されるわけです。
今回は、基本手当の日額にちなんだ過去問について見ていこうと思います。
最初の問題は、賃金日額を算定するのに取り入れられる離職前の賃金の範囲について問われています。
条文に近い表現の問題文になっているのでチェックしやすいと思います。
賃金日額を計算するために使われる賃金の範囲は?
(平成22年問4A)
賃金日額の計算に当たり算入される賃金は、原則として、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6か月間に支払われたものに限られる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
規定では、「賃金日額」は、
「算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6箇月間に支払われた賃金の総額を180で除して得た額」
としています。
ただし、臨時に支払われる賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は除かれます。
つまり、半年分のお給料の1日あたりの平均額を出すということですね。
では、そのお給料(賃金)とは基本給のことを指すのでしょうか。
たとえば家族手当や通勤手当などのいわゆる「手当」のたぐいは賃金に含まれないのでしょうか。。。
次の過去問で確認しましょう。
手当は賃金から除外される??
(平成22年問4B)
賃金日額の計算に当たり、家族手当、通勤手当及び住宅手当は、すべて賃金総額から除外されるので、それらの多寡によって基本手当の日額が異なることはない。
解説
解答:誤
先述したとおり、「臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」でなく、
普通に支給されているのであれば、家族手当、通勤手当及び住宅手当も賃金に参入されます。
なので、これらの多寡(多いか少ないか)は、基本手当の日額に影響を与えます。
さて、勤めていた職場を退職する理由にはそれぞれあるでしょうが、私傷病でやむなく離職することもあるでしょう。
そんな場合、健康保険の傷病手当金を受給していることもあり得ます。
もし、傷病手当金をもらいながら離職した場合、傷病手当金は賃金として算定されるのでしょうか。
次の問題を見てみましょう。
健康保険の傷病手当金は賃金のうちに入る?
(平成30年問3A)
健康保険法第99条の規定に基づく傷病手当金が支給された場合において、その傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額は、賃金と認められる。
解説
解答:誤
健康保険法に基づく傷病手当金は賃金とは認められません。
ちなみに、労働基準法第 76 条の規定に基づく休業補償費や解雇予告手当も賃金には入りません。
これらについては、業務取扱要領に記載してありますのでご興味のある方はご自由にご参考になさってくださいね。
99ページの「50502(2)賃金と解されないものの例」に記載があります。
参考記事:業務取扱要領 P99 50502(2)賃金と解されないものの例
で、話は戻りますが、賃金日額は、離職前6ヶ月間の賃金で算定するということでしたが、賃金の支払日になってもなんらかの理由で未払いの賃金があった場合、
賃金日額にはどういう影響があるのでしょうか。
もし未払いの分を算定してくれないなんてことになると基本手当の日額が下がってしまうこともありますが。。。
給料日が過ぎても未払いの賃金がある場合は、、、
(平成26年問3エ)
支払義務が確定した賃金であって所定の支払日を過ぎてもなお支払われていない賃金は、賃金日額の算定対象に含まれる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
たとえ未払の状態であっても、支払義務が確定している賃金についても賃金日額の算定に入れてくれます。
なので、実際に支払われた賃金だけが対象になるわけではない、ということを押さえておけば大丈夫ですね。
さて、無事に賃金日額の算定も終わって、基本手当をもらえるようになっている状態になると、当然に次の仕事探しをしていることになっているわけですが、
そういった失業中の状態でも、内職などでお金を稼ぐことも十分考えられます。
もし失業中に収入を得た場合は基本手当が減額されることになるか、「就職した日」とみなされて失業の認定をしてくれず、
基本手当がもらえない日になることもあります。
では、基本手当が減額される程度の労働の要件について、最後に確認しておきましょう。
基本手当が減額される労働の範囲は?
(令和元年問2オ)
失業の認定に係る期間中に得た収入によって基本手当が減額される自己の労働は、原則として1日の労働時間が4時間未満のもの(被保険者となる場合を除く。)をいう。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
被保険者になっておらず、内職程度の仕事で1日の労働時間が4時間未満の収入であれば基本手当の減額の対象になります。
もし、被保険者になっていたり、収入の有無にかかわらず1日4時間以上働いていた場合は、「就職した日」とみなされてその日については失業の認定をしてくれませんので、基本手当そのものがカットされることになります。
今回のポイント
- 「賃金日額」は、「算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6箇月間に支払われた賃金の総額を180で除して得た額」としています。
- 健康保険法に基づく傷病手当金は賃金とは認められません。
- たとえ未払の状態であっても、支払義務が確定している賃金についても賃金日額の算定に入ります。
- 被保険者になっておらず、内職程度の仕事で1日の労働時間が4時間未満の収入であれば基本手当の減額の対象になります。
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