今回は、社会保険に関する一般常識から国民健康保険法について取り上げたいと思います。
医療保険に関する法律なので、健康保険法と中身が似通っている部分が多くありますが、
それでも国民健康保険法ならではの規定がありますので、健康保険法との違いを意識しながら勉強を進めていただければと思います。
それでは最初の問題を見ていきましょう。
この問題は、国民健康保険の保険者が論点になっていますので確認していきますね。
国民健康保険を行うことができるのはどこ?
(平成25年問7A)
国民健康保険を行うことのできるものは、市町村及び特別区のみである。
解説
解答:誤り
国民健康保険を行うことができるのは市町村と特別区だけでなく、
- 都道府県・市町村・特別区
- 国民健康保険組合
となっています。
では、国民健康保険組合を設立するときに必要なことについて問われている過去問がありますので見てみましょう。
論点は、誰の認可を受けることになるのか、ですね。
国民健康保険組合を設立するときに必要なこと
(平成28年問6ア)
国民健康保険法では、国民健康保険組合を設立しようとするときは、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければならないことを規定している。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
国民健康保険組合は、医師や土木建築業、弁護士など同種の事業や業務に従事していて、同じ地区内に住所を有する者が組合員となります。
国民健康保険組合を設立するときは、15人以上の発起人が規約を作成して組合員となるべき300人以上の同意を得た上で、都道府県知事の認可を受けることになります。
さて、次は国民健康保険の給付の内容を見てみましょう。
国民健康保険の給付には、法定給付と任意給付に分かれており、
法定給付では、さらに絶対的必要給付と相対的必要給付の2種類があります。
たとえば。療養の給付や入院時食事療養費などは絶対的必要給付になっていて、
国民健康保険独特の特別療養費も絶対的必要給付になっています。
それでは次の問題のように出産育児一時金や葬祭費はどの項目になっているでしょうか。
国民健康保険の給付内容
(令和元年問6B)
市町村(特別区を含む。)及び国民健康保険組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
国民健康保険では、出産育児一時金の支給や葬祭費(葬祭の給付)は相対的必要給付になっていて、
特別な理由があるときは、全部または一部を行わないことができます。
つまり、出産や死亡に関することは相対的必要給付ということですね。
ちなみに、法定給付ではない、任意給付にどんなものがあるかというと、傷病手当金です。
これは、条例や規約で定めれば傷病手当金の給付を行うことができるというもので、相対的必要給付よりもさらにゆるい感じがしますね。
では、次は国民健康保険独特の制度について見てみましょう。
健康保険法の被保険者と違って、保険料は給与から天引きされるのではなく、世帯主が納付する形になっています。
なので、保険料の滞納が起こってしまう場合があります。
そんなとき、市町村は世帯主に対して被保険者証の返還を求めることになり、その代わりに被保険者資格証明書を交付します。
で、被保険者資格証明書を持っている状態で病院に行ったりした場合、給付の内容は何になるのか、というのが次の問題の論点になっているのです。
資格証明書の交付を受けている場合に支給されるのは?
(平成26年問7A)
市町村及び国民健康保険組合は、被保険者の属する世帯の世帯主(以下「世帯主」という。)又は国民健康保険組合の組合員(以下「組合員」という。)がその世帯に属する被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている場合において、当該被保険者が保険医療機関等で療養を受けたときは、世帯主又は組合員に対しその療養に要した費用について、家族療養費を支給する。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:誤り
被保険者資格証明書の交付を受けている場合に、被保険者が保険医療機関で療養を受けたときは、
家族療養費ではなく、「特別療養費」が支給されます。
特別療養費というのは、まず、病院などに行ったときにはその窓口で医療費を全額自己負担します。
次に市役所などへ行き、特別療養費の申請をすると、自己負担額を除いた金額をもらえるわけですが、
その際に、滞納している保険料の全額もしくは一部をさし引いて支払われる形になります。
なので、滞納している保険料を払ってもらうための措置と言えるでしょうね。
では最後に、公費負担について確認しておきますね。
次の問題では、国庫負担の割合について問われていますので読んでみましょう。
国庫負担の割合は?
(平成27年問6A)
国民健康保険法では、国は、都道府県等が行う国民健康保険の財政の安定化を図るため、政令の定めるところにより、都道府県に対し、療養の給付等に要する費用並びに前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金並びに介護納付金の納付に要する費用について、一定の額の合算額の100分の32を負担することを規定している。(問題文を一部補正しています)
解説
解答;正
問題文のとおりです。
国は、療養給付などの負担金として、32%を負担しています。
それに加えて、国から調整交付金として9%が交付されています。
ちなみに、国民健康保険組合に対しては、事務費について国庫負担が行われていますね。
今回のポイント
- 国民健康保険を行うことができるのは、
- 都道府県・市町村・特別区
- 国民健康保険組合
となっています。
- 国民健康保険組合を設立するときは、15人以上の発起人が規約を作成して組合員となるべき300人以上の同意を得た上で、都道府県知事の認可を受けることになります。
- 国民健康保険では、出産育児一時金の支給や葬祭費(葬祭の給付)は相対的必要給付になっていて、特別な理由があるときは、全部または一部を行わないことができます。
- 被保険者資格証明書の交付を受けている場合に、被保険者が保険医療機関で療養を受けたときは、「特別療養費」が支給されます。
- 国は、療養給付などの負担金として、32%を負担しています。
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