「労基法 これでわかる!賃金支払についての考え方」過去問・労基-44

正直、この「賃金の支払」については、過去の出題数がかなり多いので、超重要論点と言えるでしょうね。

いわゆる賃金支払5原則からの問題になるわけですが、色々な角度から問われています。

問題演習を通じて慣れていくことももちろんですが、「労働者の視線から見たらどうかな?」ということをイメージしながら問題を見てみると面白いかもしれませんね。

最初の問題は、賃金の手渡しについての論点です。

5原則のうち「直接払」の原則と照らし合わせるわけですが、どうなのでしょうか。。。

 

賃金の手渡しが大丈夫なケースはある?

(平成30年問6A)

派遣先の使用者が、派遣中の労働者本人に対して、派遣元の使用者からの賃金を手渡すことだけであれば、労働基準法第24条第1項のいわゆる賃金直接払の原則に違反しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

直接払の原則は、労働者が当然受け取るべきお給料を他の人に渡すことでピンハネを防ぐことが目的です。

なので、たとえ親兄弟であっても、場合によってはお給料を渡してはいけないことがあるのです

今回の場合は、派遣先が派遣元にお金を支払う仕組みになっているので、労働者のお給料をピンハネする理由はない、ということなんでしょうかね。

労働者と直接接する機会が多いのは派遣先でしょうから、それくらいの融通は効かせて欲しいところですよね。

次は、全額払の原則についての過去問になります。

お給料の計算をするときに、端数処理がどこまで認められるか、という論点なのですが、問題文が長いのでうっかり読み飛ばさないようにしましょう。

 

端数処理はどこまで認められる?

(平成25年問3B)

1日及び1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること並びに1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは、いずれも労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。

 

解説

解答:誤

問題文の一番最初に書かれている、「1日及び1か月」というところが間違いで、正しくは「1か月」となります。

時間外労働などの割増賃金の計算をするときに、端数処理をすることが認められていますが、「時間」についての端数処理は「1か月」が単位になっています。

1日ごとに30分未満の時間が切り捨てられたらたまったものではないですよね。

ここで、端数処理について整理してみましょう。

  • 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げ
  • 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げ
  • 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げ

となっています。

では同じく全額払の原則についてもう少し見てみましょう。

次の問題は、賞与の支給について、その支給対象者を賞与支給日に在籍している人に限定することがアリかナシか、というお話です。

 

賞与の支給対象者を支給日に在籍している人に限定するのはアリ?

(平成22年問3A)

賞与を支給日に在籍している者に対してのみ支給する旨のいわゆる賞与支給日在籍要件を定めた就業規則の規定は無効であり、支給日の直前に退職した労働者に賞与を支給しないことは、賃金全額払の原則を定めた労働基準法第24条第1項に違反するとするのが最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:誤

問題文のように、賞与支給日在籍要件を定めた就業規則の規定は有効となるので、全額払の原則には違反しません。

これは、大和銀行事件という最高裁の判例からの出題なのですが、賞与をその支給日に在籍している人に対して支給するということは慣例になっていたそうで、

就業規則はその慣例を文章化しただけなので、内容も特にひどいものではないということで就業規則の規定は有効ということになったのです。

それでは、もし自分から「要らない」と言ったときはどうなるのでしょうか。

賃金を受け取れる労働者本人が受け取りの権利を放棄したときでも全額払の原則に引っかかるのでしょうか?

 

もし、退職金を要らないと言っても全額払の原則に反する?

(令和元年問5B)

賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該意思表示は有効であるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働者の自由な意思で、賃金にあたる退職金債権を放棄する場合は、それは有効な意思表示というのがシンガー・ソーイング・メシーン事件という最高裁判例にあります。

この最高裁の判例のときは、労働者が退職するときに会社に対して、

「会社に対していかなる請求権をも有しないことを確認する」

という念書を書いて提出したそうです。

この請求権というのが退職金債権だったというわけですね。

さて最後に、一定期日払の原則についての問題を見てみましょう。

一定期日」という言葉をそのまま解釈すると、「決まった日」に賃金を支払うということになると思いますが、

その表現がどこまで認められるか、という論点になっています。

 

一定期日払の原則の定義とは

(平成27年問4E)

労働基準法第24条第2項に定める一定期日払の原則は、期日が特定され、周期的に到来することを求めるものであるため、期日を「15日」等と暦日で指定する必要があり、例えば「月の末日」とすることは許されない。

 

解説

解答:誤

問題文のように、賃金の支払日を「月の月末」しても一定期日払の原則には引っかかりません。

一定期日」というのは、その期日が特定されること、周期的に到来するもの、という条件を満たせばいいので、「月末」というようにしても大丈夫です。

ただ、「毎月15日から20日までの間」とか「毎月第2土曜日」というような定め方はアウト、ということですね。

「毎月第2土曜日」というのは、一見、周期的に見えますが、月によっては8日だったり13日だったり変動の幅が広すぎますよね。

そんな状態では、カードの引き落とし日が不安でしょうがなくなりますね。笑

 

今回のポイント

  • 直接払の原則は、労働者が当然受け取るべきお給料を他の人に渡すことでピンハネを防ぐことが目的です。
  • 端数処理について整理してみましょう。
    • 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げ
    • 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げ
    • 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げ

    となっています。

  • 賞与支給日在籍要件を定めた就業規則の規定は、全額払の原則には違反しません。
  • 労働者の自由な意思で、賃金にあたる退職金債権を放棄する場合は、それは有効な意思表示というのが最高裁判例にあります。
  • 一定期日」というのは、その期日が特定されること、周期的に到来するもの、という条件を満たせばいいので、「月末」というようにしても大丈夫です。

 

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