このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、労基法から「36協定と労働時間などの適用除外」について見てみたいと思います。
労基法では、労働時間は1日8時間・1週間40時間までと定められていますが、36協定があれば法定労働時間を延長して労働をさせることができます。
他にも、所定の要件に該当する人は、労働時間や休憩、休日の適用除外になり、時間外労働という概念すらなくなってしまいます。
ということで、まずは36協定について見てみることにしますね。
下の問題では、36協定が成立する条件がテーマになっていますので、早速確認しましょう。
労基署に届け出ないと36協定の効力はない?
(令和3年問5A)
令和3年4月1日から令和4年3月31日までを有効期間とする書面による時間外及び休日労働に関する協定を締結し、これを令和3年4月9日に厚生労働省令で定めるところにより所轄労働基準監督署長に届け出た場合、令和3年4月1日から令和3年4月8日までに行われた法定労働時間を超える労働は、適法なものとはならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
労基法36条では、労使協定を結んで行政官庁に届け出ることで労働時間を延長したり休日出勤をさせることができる、と記載されています。
なので、問題文のように、4月9日に労基署に届け出たということであれば、その36協定は4月9日から有効ということになるので、
4月1日から8日までの間に法定労働時間を超えての残業や休日出勤をさせていた場合は違法となります。
で、この36協定では、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合と協定を結ぶこともあるわけですが、
労働組合に入っていない労働者がいる場合に、36協定の効力が及ぶのかどうかについて下の問題で確認しましょう。
労働組合と36協定を締結した場合、組合員でない労働者にも影響が?
(平成25年問3E)
事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合において、使用者が、その労働組合と36協定を締結し、これを行政官庁に届け出た場合、その協定が有する労働基準法上の効力は、当該組合の組合員でない他の労働者にも及ぶ。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
つまり、36協定が成立すると、労使協定を結んだ労働組合に入っていない人にも効力が及びます。
なので、自分は労働組合に入ってないから関係ないよ、ということにはならないんですね。
そういう意味では、多数決のような要素が含まれていますね。
さて、次に労働時間や休憩、休日の適用除外になる人について見てみましょう。
労働時間などの適用除外になるのは、「管理監督者」や「機密の事務を取り扱う者」、「監視または断続的労働に従事する者で行政官庁の許可を得ている者」です。
次の問題では、「機密の事務を取り扱う者」の定義がテーマになっていますので、どういう人が対象になるのか見てみましょう。
「機密の事務を取り扱う者」の定義
(平成27年問6エ)
労働基準法第41条第2号により、労働時間等に関する規定が適用除外される「機密の事務を取り扱う者」とは、必ずしも秘密書類を取り扱う者を意味するものでなく、秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者をいう。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
「機密の事務を取り扱う者」というのは、機密書類を扱っているという表面的なことではなく、
たとえば秘書のように経営者などと行動を共にするために、
一般の社員に適用されている始業時間や終業時間の規定がなじまない人のことを言います。
では最後に、「監視または断続的労働に従事する者」について見ておきたいと思います。
「監視または断続的労働に従事する者」については、労基署の許可がないと労働時間などの適用除外になりません。
で、下の問題では、医師や看護師の宿直業務が「監視または断続的労働に従事する者」に該当するかどうかが論点になっていますので確認しましょう。
医師などの宿直業務の取り扱い
(平成27年問6オ)
医師、看護師の病院での宿直業務は、医療法によって義務づけられるものであるから、労働基準法第41条第3号に定める「監視又は断続的労働に従事する者」として、労働時間等に関する規定の適用はないものとされている。
解説
解答:誤り
医師や看護師の宿直業務は、医療法に定められているものではありますが、だからといって労基法の適用を全面的に免れるわけではありません。
つまり、医師や看護師の宿直業務について、労働時間などを適用除外にするためには、労基署の許可が必要というわけです。
今回のポイント
- 労基法36条では、労使協定を結んで行政官庁に届け出ることで労働時間を延長したり休日出勤をさせることができる、と記載されています。
- 36協定が成立すると、労使協定を結んだ労働組合に入っていない人にも効力が及びます。
- 「機密の事務を取り扱う者」というのは、たとえば秘書のように経営者などと行動を共にするために、一般の社員に適用されている始業時間や終業時間の規定がなじまない人のことを言います。
- 医師や看護師の宿直業務について、「監視または断続的労働に従事する者」として労働時間などを適用除外にするためには、労基署の許可が必要です。
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