過去問

「厚生年金法 ちょっとややこしい合意分割の読み解き方」過去問・厚-44

合意分割については、みなし被保険者期間がどこに使われて、どこに使われないのかを区分けするのがややこしいですね。

なので、みなし被保険者が採用されないものがどれなのかを最初に押さえておくと楽かもしれません。

まずは合意分割がどのように行われるのかについての過去問から見ていくことにしましょう。

 

按分割合の合意のための協議がうまくいかなかった時は

(平成27年問10C)

離婚等をした場合に当事者が行う標準報酬の改定又は決定の請求について、請求すべき按分割合の合意のための協議が調わないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

離婚をした時などに行う標準報酬改定請求について、当事者の合意のための協議がうまくいかなかった時は、

当事者の一方の申立てで、家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めることができます

しかし、上記のように協議する相手がいれば話もできますが、もし離婚相手に万が一のことがあった時は協議ができないわけですから、合意分割はどうなるのでしょうか。

 

もし、離婚相手に万一のことがあった場合は、、、

(平成29年問6D)

離婚が成立したが、合意分割の請求をする前に当事者の一方が死亡した場合において、当事者の一方が死亡した日から起算して1か月以内に、当事者の他方から所定の事項が記載された公正証書を添えて当該請求があったときは、当事者の一方が死亡した日の前日に当該請求があったものとみなされる。

 

解説

解答;正

問題文のとおりです。

当事者の一方が死亡した日から「1か月以内に」当事者のもう一方から公正証書を添えて請求があった時は、

亡くなった当事者の死亡の前日に合意分割の請求があったものとみなされます

ちなみに規定では、「合意分割の請求」ではなく「標準報酬改定請求」となっていますけどね。(施行令第三条の十二の七)

さて、次は無事に合意分割ができて、みなし被保険者期間が発生するわけですが、その「みなし被保険者期間」は老齢厚生年金などの額に反映されることになります。

しかし、「みなし被保険者期間」が反映されないものもあるのです。。。

それを見ていくことにしましょう。

 

特別支給の老齢厚生年金の支給要件とみなし被保険者期間

(平成24年問5イ)

離婚時における厚生年金保険の保険料納付記録の分割について、60歳台前半の老齢厚生年金の支給要件(被保険者期間1年以上)となる被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間及び被扶養配偶者みなし被保険者期間が含まれる。(問題文を再構成しています)

解説

解答:誤

被保険者期間が1年以上必要である特別支給の老齢厚生年金の被保険者期間には、みなし被保険者期間は含まれません

なので、自力で被保険者期間を稼ぐことが必要になります。

こちらの論点については、別の言い方で出題されているものがありますので、こちらも見てみましょう。

 

特別支給の老齢厚生年金の支給要件とみなし被保険者期間 その2

(平成27年問10B)

厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみである者は、特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

では、離婚時みなし被保険者期間が除外されるものは他にあるのか、下の過去問でもチェックしましょう。

 

加給年金額の加算要件とみなし被保険者期間

(平成24年問5エ)

離婚時における厚生年金保険の保険料納付記録の分割について、加給年金額の加算要件(被保険者期間240月以上)となる被保険者期間は、離婚時みなし被保険者期間及び被扶養配偶者みなし被保険者期間に含まれる。(問題文を再構成しています)

解説

解答:誤

被保険者期間が240月以上必要である加給年金額の加算要件にもみなし被保険者期間は含まれません

他にも、みなし被保険者期間が含まれないものには、「60歳台前半の老齢厚生年金の定額部分の額の計算」や、「長期加入者(被保険者期間44年以上)の被保険者期間」などがあります。

また、在職老齢年金で総報酬月額相当額を計算するときに、標準賞与額については改定前の標準賞与額が採用されます。

 

今回のポイント

  • 離婚をした時などに行う標準報酬改定請求について、当事者の合意のための協議がうまくいかなかった時は、当事者の一方の申立てで、家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めることができます
  • 当事者の一方が死亡した日から「1か月以内に」当事者のもう一方から公正証書を添えて請求があった時は、亡くなった当事者の死亡の前日に合意分割の請求があったものとみなされます
  • 被保険者期間が1年以上必要である特別支給の老齢厚生年金の被保険者期間には、みなし被保険者期間は含まれません
  • 被保険者期間が240月以上必要である加給年金額の加算要件にもみなし被保険者期間は含まれません

 

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