過去問

「厚生年金法 遺族厚生年金の年金額を理解する時のポイント」過去問・厚-40

遺族厚生年金の年金額は基本的には老齢厚生年金の年金額の4分の3ということになっています。

ですが、社労士試験では老齢厚生年金の要件と引っ掛けてきたり、中高齢寡婦加算など遺族厚生年金特有のものなどを引っ張り出してきたりと、出題のバラエティに富んでいます。

このような場合、問題演習だけではなかなか知識が体系としてまとまらないので、必ずテキストを何度も通読することをお勧めします。

それでは最初の問題にいきましょう。

下の問題は遺族厚生年金に最低補償額はあるのかという論点になっています。

 

遺族厚生年金に最低補償はある?

(平成28年問10E)

被保険者が死亡したことによる遺族厚生年金の額は、死亡した者の被保険者期間を基礎として同法第43条第1項の規定の例により計算された老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額とする。この額が、遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額に満たないときは、当該4分の3を乗じて得た額を遺族厚生年金の額とする。

 

解説

解答:誤

問題文後半の「この額が、遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額に満たないときは、当該4分の3を乗じて得た額を遺族厚生年金の額とする。」という最低補償の規定はありません。

遺族厚生年金にあるのは、短期要件の時に、300月の補償があるだけです。

ちなみに、問題文にある「同法第43条第1項」というのは老齢厚生年金の年金額についての規定です。

問題を読んでて「え?この43条ってなに?!」と不安になるかもしれませんが、心配ご無用です。

問題文が最低補償の話だな、と読み取れたら後は遺族厚生年金の最低補償についての知識を引っ張り出してきて照合して「300月」の数字が出てくればOKです。

自分が知らない規定などが出てくるとつい不安になりますが、自分を信じましょう!

次は加給年金額を論点にした問題になっています。

遺族厚生年金に加給年金額は加算されたでしょうか。。。

 

遺族厚生年金に加給年金額は?

(令和元年問9E)

被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、その妻の有する遺族厚生年金に当該子の加給年金額が加算される。

 

解説

解答:誤

遺族厚生年金には加給年金額の規定はありません。

ただ、要件を満たせば受給権者になります。規定では、

被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは将来に向かって

その子は被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によつて生計を維持していた子とみなされることにより、

受給権が発生することになります。

なので加給年金額が加算されるわけではないのです。

さて、次は年金額の計算について見てみましょう。

遺族厚生年金の額を計算する時に、生年月日による給付乗率が適用されるのか確認します。

 

年金額を計算する時の給付乗率は適用されるか

(平成27年問5A)

老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金の額の計算における給付乗率については、死亡した者が昭和21年4月1日以前に生まれた者であるときは、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用される。(老齢厚生年金の受給権者は保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間とを合算した期間が25年以上であるものとします)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

これは、長期要件で適用されるのですが、「死亡した者が昭和21年4月1日以前に生まれた者であるとき」は、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用されます。

なので短期要件には適用されません。

それでは、遺族厚生年金の支給額が変更になったときの取り扱いについてチェックしましょう。

もし、受給権者の数が変わったときにはいつから年金額が改定されるのでしょう。

 

年金額が変更されるタイミング

(平成26年問1D)

遺族厚生年金の受給権者である子が2人いる場合において、そのどちらかが死亡したときは、他の受給権者に支給される遺族厚生年金の額は、受給権者の数に減少が生じた月の翌月から改定される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

ここは条文で確認しましょう。

 

法61条
1 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定する。(後略)

それでは最後にに中高齢寡婦加算についての問題を見ておきましょう。

中高齢寡婦加算や経過的加算額の過去問だけでも結構出題されているのですが、そちらについては、またあらためて触れたいと思いますので、今回は一問だけご紹介しますね。

 

中高齢寡婦加算の要件とは

(平成27年問10D)

子のない妻が、被保険者である夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得したときに30歳以上40歳未満であった場合、妻が40歳に達しても中高齢寡婦加算は加算されない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、中高齢寡婦加算の要件としては、子のない妻の場合、「40歳以上65歳未満」である必要があります。

中高齢寡婦加算の要件は以下の通りです。

  • 遺族厚生年金の権利を取得した当時、40歳以上65歳未満の妻
  • 40歳に達した当時、遺族基礎年金の要件に該当する子と生計を同じしていた65歳未満の妻

ですので、30歳以上40歳未満の場合は要件から外れてしまいます。

 

今回のポイント

  • 遺族厚生年金の最低補償は、短期要件で、被保険者期間が300月に満たないときに300月とみなす、という規定があります
  • 遺族厚生年金には加給年金額の規定はありません。
  • 長期要件の場合、「死亡した者が昭和21年4月1日以前に生まれた者であるとき」は、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用されます。
  • 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定することになります。
  • 中高齢寡婦加算の要件は以下の通りです。
    • 遺族厚生年金の権利を取得した当時、40歳以上65歳未満の妻
    • 40歳に達した当時、遺族基礎年金の要件に該当する子と生計を同じしていた65歳未満の妻

 

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